話はうまいのに、なぜか伝わらない。その原因は、順番にある
こんにちは、あなたらしいキャリア思考の一歩を、一緒に考える【あおラボ】です。
面接の練習で、こんな経験はないだろうか。話している内容は悪くない。経験も、強みもある。それなのに、聞いていた人から「で、結局、何が言いたいの?」と返されてしまう。
原因は、話の中身ではなく、順番にあることが多い。同じ材料でも、並べる順番が変わるだけで、伝わり方はまるで違ってくる。
10月に見つけた強みの一行と、前回整理した「場面」。この二つを、どの質問にも使える形で相手に届けるために、今日は、答えの組み立て方を一つ持とう。「結論・根拠・場面」という、3つの順番だ。
Chapter 9 答えには、「型」がある
型があると聞くと、窮屈に感じる人もいるだろう。けれど、型は、君の言葉を縛るためのものではない。持っている材料を、相手が受け取りやすい順に並べるための土台である。まず、順番がなぜ大切なのかを整理しておく。
9-1 同じ材料でも、順番で伝わり方が変わる
二人の学生が、同じ経験を話したとする。サークルの新歓で、人が集まらなかった。一人目は、「大学2年の秋、サークルの新歓の時期でした。最初は人が集まらず、いろいろ試してみて、最後は目標の人数に届きました」と、起きた順に話し始めた。
二人目は、「私は、相手が言葉にする前の困りごとに気づいて、動くことができます」と、先に言い切った。それから、同じ新歓の出来事を話した。
話した出来事は同じだ。けれど、聞き手の頭の中は違う。一人目の話は、最後まで聞かないと、何の話なのかがわからない。二人目の話は、最初から「この人の強みを確かめるための話だ」とわかるので、出来事の一つひとつが、強みの証拠として耳に入ってくる。
つまり、話のうまさは、言葉の巧みさだけで決まるのではない。何をどの順に置くかという設計で、伝わり方は大きく変わるのだ。
9-2 聞き手は、最初の一言で「聞く構え」を決める
人は、話を聞くとき、最初の数秒で「これから何の話が始まるのか」を探っている。それがわかると、残りの話を、その見立てに沿って受け取る準備ができる。
あおラボが企業の人事の方と接していると、裏が見えてくるものである。例えば、面接やESの現場は、限られた時間の中で、たくさんの学生に会い、たくさんの文章を読む場である。話の目的地が見えないまま進む答えは、聞き手に「読み解く」負担をかけてしまう。人の心情を考えるとこれは結構嫌われる要素となるものだ。
最初に結論を置くことは、旅の始まりに、目的地を告げるようなものだ。目的地がわかっていれば、途中の景色がどんなに細かくても、聞き手は迷わない。
結論を先に言うのは、気が引けるという人もいる。言い切るのが、偉そうに聞こえるのではないか、と。けれど、そうではない。先に結論を示すのは、聞き手の時間と労力を思いやる、相手本位の工夫なのだ。
9-3 「結論・根拠・場面」とは、何か
今日の型を、整理しておこう。3つの部品が、この順に並ぶ。
1つめは、結論。君がどんな人なのかを、一行で言い切る。10月に作った強みの一行が、そのまま使える。
2つめは、根拠。なぜ、そう言えるのか。結論と場面をつなぐ、理由の一文だ。
3つめは、場面。その理由を裏づける、実際に君が動いた出来事。いつ、どこで、何をしたかが、映像として浮かぶ話である。
法廷にたとえると、わかりやすい。結論は「主張」、根拠は「主張の理由」、場面は「証拠」にあたる。主張だけでは判断されず、理由だけでも足りず、証拠があって、はじめて聞き手は納得する。
この3つが順に並ぶと、聞き手は、「何を言いたいのか」「なぜそう言えるのか」「本当にそうなのか」という、頭に浮かびがちな3つの問いに、順番に答えをもらえる。だから、安心して聞けるのだ。
9-4 ビジネスの世界でも、同じ順番が使われている
この順番は、就活のためだけに考えられたものではない。ビジネスの文章や会議の場でも、広く使われている。
たとえば、PREP法という言葉を聞いたことがある人もいるだろう。結論(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、もう一度結論(Point)の順に話す方法で、多くのビジネス書で紹介されている。
また、元マッキンゼーのバーバラ・ミント氏の著書『新装版 考える技術・書く技術』 は、まず結論を示し、それを支える理由を、その下に並べるという考え方を示している。結論を頂点に置くことから、「ピラミッド原則」と呼ばれる。
今日の「結論・根拠・場面」は、こうした考え方を、就活の答えに合わせて整えたものだ。違いは、具体例を「君が動いた場面」に絞っていること。評価されるのは、出来事そのものより、その中での君の動き方だからである。
この型が身につけば、入社後の報告や会議でも、そのまま使える。就活は、一生使える話し方を手に入れる、よい練習の機会になる。

Chapter 10 3つの部品を、一つずつ作る
型の全体像がわかったところで、部品を一つずつ作っていく。どの部品も、特別な才能は要らない。10月と前回の作業で作った材料が、そのまま使える。順番に見ていこう。
10-1 結論は、一行で言い切る
結論は、10月に作った強みの一行を使えばいい。「私の強みは、〇〇することです」と、迷わずに言い切る。
ここで気をつけたいのは、長い前置きをしないことだ。「えっと、私は、どちらかというと、〇〇なほうだと思うのですが」と始めると、聞き手には、結論が見えにくくなる。控えめな言い方は、日本語の美しさでもあるが、答えの冒頭だけは、言い切ったほうが、かえって誠実に聞こえる。
もう一つは、結論を一つに絞ること。「私の強みは、行動力と、協調性と、粘り強さです」と並べると、聞き手の記憶には、どれも残らない。強みは、一つを深く、が基本だ。
言い切るのが怖いと感じるのは、一行に、まだ自信が持てていないからかもしれない。その場合は、一行を使ってみて、ぎこちない箇所を直せばいい。一行は変わってよいものだと、10月に書いたとおりだ。まずは、言い切る練習から始めよう。
10-2 根拠は、「なぜ、そう言えるのか」への一文
根拠は、結論と場面をつなぐ橋の役目をする。結論を言い切ったあとに、聞き手の頭に浮かぶ「なぜ、そう言えるの?」という問いに、一文で答える部分だ。
たとえば、「相手が言葉にする前の困りごとに気づいて、動くことができます」という結論なら、「なぜなら、相手の様子を観て、先回りして動くことを、繰り返してきたからです」と続ける。理由は、短くていい。
ここで多い失敗が、根拠が結論の言い換えになってしまうことだ。「私は〇〇な人間です。なぜなら、〇〇だからです」と、同じ言葉をくり返しても、新しい情報は何も増えていない。
根拠には、「新しい情報」を一つ入れる。「繰り返してきた」「どんな場でも」「立場が変わっても」など、結論を支える事実や条件を足すのだ。そうすると、聞き手は、場面を聞く前から、「なるほど、それなら本当かもしれない」と、心の準備ができる。
10-3 場面は、「いつ・どこで・何をしたか」を、君の動きで語る
場面は、前回整理したとおり、「その時、その場所」の出来事である。型の中では、答え全体の中心になる部分で、時間も、いちばん長く使っていい。
語る順序には、コツがある。まず、状況。いつ、どこで、何が起きていたのか。次に、君が考えたこと。その状況で、何に気づき、何を大事だと判断したのか。そのあとに、君がしたこと。最後に、その結果、周りや相手に、どんな変化が起きたのか。
この中で、聞き手がいちばん知りたいのは、「君が考えたこと」と「君がしたこと」だ。出来事の説明だけで終わると、強みの証拠にならない。出来事は、背景として短く、君の動きは、くわしく。この配分を意識するだけで、場面の説得力は大きく変わる。
結果は、数字でなくて構わない。「次の回から、新入生が自分から話しかけてくれるようになった」のような、小さな変化で十分だ。変化が語れると、君の動きが、確かに何かを動かしたことが伝わる。
10-4 最後に、結論に戻って終える
場面を語り終えたら、もう一度、結論に戻って終える。「だから私は、〇〇することができます」と、最初の一行をもう一度、言い切る。
人の記憶には、最初と最後が残りやすいと言われる。最後の一言は、聞き手が持ち帰る印象になる。場面の余韻で終わらせず、結論で締めくくると、「この人は、こういう人だった」という印象が、はっきり残る。
ただし、最初とまったく同じ文を繰り返すのではなく、場面を語った分だけ、言い方に厚みを足す。たとえば、冒頭が「相手の困りごとに気づいて、動くことができます」だったなら、結びは「だから私は、相手が声にする前の困りごとに気づき、行動に移せる人間です」とする。
この、結論→根拠→場面→結論という流れが、答えの基本形になる。名前は「3つの順番」だが、結びで結論に戻ることで、話は一つの輪になって閉じる。閉じた話は、聞き手にとって、とても受け取りやすいのだ。
Chapter 11 どの質問にも、同じ型を当てる
型の便利なところは、質問が変わっても、使い回せることだ。質問に応じて、結論に入れる中身が少し変わるだけで、骨組みは同じである。ここでは、ESや面接で多い質問に、型を当ててみよう。
11-1 自己PR 型を、そのまま使う
自己PRは、型をもっとも直接に使える質問だ。結論は、強みの一行。根拠は、その強みがあると言える理由。場面は、その強みが発揮された出来事。結びで、一行に戻る。
文字数に制限があるESでは、各部品の配分を決めておくと書きやすい。たとえば、全体を100とすると、結論と根拠で2割、場面で6割、結びで2割、という具合だ。場面に重みを置くことが、ポイントになる。
面接では、時間も限られている。1分ほどで話せる量に収めたいなら、場面を削る前に、前置きと、重複する説明を削る。型に沿って話せば、削るべき部分が見つけやすくなる。
自己PRは、一行を知ってもらう場である。その一行が、君の言葉で、君らしい場面とともに届いたとき、聞き手は「この人に会えてよかった」と感じる。型は、そのための道具である。
11-2 ガクチカ 「力を入れたこと」が、結論になる
「学生時代に力を入れたことは何ですか」という質問では、結論は、「私が力を入れたのは、〇〇です」という一文になる。これが、質問への直接の答えだ。
続く根拠は、なぜ、それに力を入れたのか。きっかけや、君の思いを一文で言う。ここに、君の価値観が表れる。そして場面で、力を入れた経緯を語る。その中で、君の強みの一行が、どう発揮されたのかを見せる。
ここで、質問への答えと、強みのアピールを、うまく両立させたい。結論で「何に力を入れたか」を答え、場面の中で「そこで強みが発揮された」ことを見せ、結びで「だから私の強みは〇〇だ」と、一行に戻る。こうすると、質問にも答えながら、強みも伝えられる。
力を入れた経験に、派手さは要らない。型に沿って語れば、小さな経験でも、君が動いた手触りが伝わるのだ。
11-3 深掘りの質問 一言で答え、また型に戻る
面接では、答えたあとに、「それは、なぜですか」「そのとき、どう感じましたか」と、深掘りの質問が続くことが多い。ここで慌てる人が少なくない。
深掘りの質問も、型で答えられる。まず、質問に対する答えを、一言で言い切る。「それは、〇〇だと考えたからです」。それが結論だ。次に、理由を一文、そして具体的な場面を一つ。小さな型が、もう一度回るイメージである。
質問を受けたとき、すぐに話し始めなくてもいい。「少し考えてもよろしいでしょうか」と、数秒の間を取ることは、失礼にあたらない。考えながら話して、話が長くなるより、数秒置いて、結論から話し始めるほうが、聞き手に伝わりやすい。
深掘りは、君を追い詰めるためのものではない。君のことを、もっと知りたい、という関心の表れである。型を持っていれば、その関心に、落ち着いて応えられる。
11-4 型が崩れる、よくある3つの形
型を使い始めたころに、起こりやすい崩れ方が、3つある。あらかじめ知っておくと、自分で気づいて、直せる。
1つめは、前置きが長い形。結論に入る前に、状況の説明が続いてしまう。直し方は簡単で、書き出しの一文を、結論に置き換えるだけだ。
2つめは、根拠が結論の言い換えになる形。先ほど触れたとおり、新しい情報が一つも入っていない。「なぜなら」のあとに、事実や条件を足そう。
3つめは、場面が説明で終わる形。出来事は詳しいのに、君の動きが見えない。「そのとき、自分は何を考え、何をしたか」を、必ず入れる。
あおラボが学生と接していても、この3つのどれかに当てはまる人がほとんどだ。だから、気にしすぎなくていい。自分がどの崩れ方をしやすいのかを知るのは、型を使いこなす近道である。

Chapter 12 今日から、できること
型は、知っただけでは身につかない。使ってみて、はじめて自分のものになる。ここでは、学年ごとの動き方と、今日の作業を整理する。
12-1 3年生は、ESの設問一つを、型で書いてみる
大学3年生の君は、秋冬のインターンと、(早期)本選考の準備が重なる時期にいると思う。ESを書く機会が、これから増えていく頃だ。
そこで勧めたいのは、募集中のインターンや、気になる企業の設問を一つ選び、「結論・根拠・場面」の順で書いてみることだ。設問は、自己PRでもガクチカでもいい。完成させなくていい。まず、3つの部品を、箇条書きで書き出す。
書き出してみると、どの部品が弱いのかが見えてくる。結論は言い切れているか。根拠に、新しい情報があるか。場面に、君の動きが入っているか。型は、ここを点検するための、ものさしにもなる。
インターンの選考に出す場合は、そこでの設問が、そのまま本選考の練習になる。うまくいかなくても、記録を残しておくといい。何が伝わり、何が伝わらなかったかが、次の準備の貴重な材料になる。
12-2 2年生は、日常の会話で、型を試してみる
大学2年生の君は、ESを書く機会は、まだ少し先かもしれない。それでも、今日の型は使える。いちばんのおすすめは、日常の会話の中で、型を試してみることだ。
たとえば、友人に、最近あった出来事を話すとき、先に「今日、〇〇なことがあったんだ」と結論を言う。次に、理由、そして具体的な出来事。これだけで、型の感覚が体に入ってくる。
多くの2年生は、3年生の夏にインターンシップへの参加を考えていると思う。企業によっては、インターンにも選考が行われる。だから、このような準備を2年生のうちから始めても、決して早すぎることはないのだ。
型に慣れておくと、いざESを書く段になって、書き出しに悩む時間が減る。まず、日常の会話という、失敗しても構わない場所で、練習を重ねておこう。
12-3 今日の作業 「結論・根拠・場面」を、紙に書く
今日の作業を、一つだけ提案したい。紙かノートに、横に3つの欄を作ってほしい。左から、「結論」「根拠」「場面」だ。
1つめ。結論の欄に、10月に作った強みの一行を書き写す。2つめ。根拠の欄に、「なぜ、そう言えるのか」を、新しい情報を入れて、一文で書く。3つめ。場面の欄に、前回選んだ出来事を、「状況」「考えたこと」「したこと」の順に、短く書く。
書けたら、最後に、結びの一文を考える。結論に戻り、場面を語った分だけ厚みを足した言い方を、一つ作る。
所要時間は、15分ほどだ。完璧に書こうとしなくていい。3つの欄が埋まれば、それで今日の作業は十分に成立する。
行動を確実にするコツは、いつやるかを先に決めてしまうことだ。「夕食のあと、机に座ったら、ノートを開く」のように、場面と行動を結んでおくと、気持ちに頼らず動き出せる。
12-4 声に出して、1分で話してみる
書き終えたら、最後に一つだけ、してほしいことがある。書いた3つの欄と結びを、声に出して、1分ほどで話してみることだ。
書き言葉は、読み返すと自然に感じても、声に出すと、息が続かなかったり、言いにくかったりする。そこが、話し言葉に直す場所だ。直すのは、その場でなくてもいい。印をつけておくだけで構わない。
スマートフォンの録音機能を使うのも、よい方法だ。聴き直すと、自分の話が、聞き手にどう届くのかを、少しだけ客観的に観られる。「思ったより伝わる」と感じる人もいれば、「ここは言い直したい」と気づく人もいる。
型は、暗記して唱えるものではない。声に出して使ううちに、君の言葉になじんでいくものだ。型に沿いながらも、君らしい言い回しが出てきたら、それは上達のしるしである。
今日のまとめ
話が伝わるかどうかは、中身だけでなく、順番で決まる。答えは、「結論・根拠・場面」の順に組み立て、最後に結論へ戻って終える。
結論は、10月に作った一行で、言い切る。根拠には、新しい情報を一つ入れる。場面では、君が考え、動いたことを、くわしく語る。この型は、自己PRにも、ガクチカにも、深掘りの質問にも、そのまま使える。
3年生はESの設問一つを型で書き、2年生は日常の会話で試してみる。今日は、紙に3つの欄を作り、1分で声に出して話してみてほしい。型を使うことで、君の強みは、確かに相手へ届くようになるのだ。
自己分析も、伝える練習も、使いながら深まっていくものだと、あおラボは信じている。君の挑戦を、いつも全力で応援している。
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