続けることが、変化を本物にする。
こんにちは、あなたとあなたの組織の未来を共に創造し、組織の活性化を支援している【あおラボ】です。
10月2日から始まったこの連載も、10月分は今日で一区切りとなる。
チームの今を測り、理想を言葉にした。5Sとあいさつで、目に見える環境を整えた。声かけと問いかけを変え、チームで合言葉をつくった。この1ヶ月の間に、あなたもいくつか試してみたことがあるのではないだろうか。前回(10月26日)の合言葉づくりを、すでにチームでやってみた人もいるかもしれない。
変化は、始めることより続けることのほうが難しい。けれど、続けることを「意志の問題」にしてしまうと、いつか止まる。今日は、10月に始めた変化を11月・12月へとつなげるために、続けることを「仕組み」にする3つの方法をお届けする。
Chapter 33 なぜ「続けること」は、いちばん難しいのか
変化を起こそうとするリーダーの多くは、始めることはできる。止まってしまうのは、続ける段階である。3つの仕組みに入る前に、なぜ続けることがそれほど難しいのか、そしてどう向き合えばいいのかを、4つの面から確かめておきたい。
始めたときの勢いは、長くは続かない
何かを始めた直後は、気持ちが高まっている。新しい試みへの期待、変化への希望、「今度こそ変える」という決意がある。
けれど、この勢いは、時間とともに少しずつ落ちていく。2週間もたつと、いつもの日常が戻ってくる。新しい仕事が積み上がり、「続けよう」という意識は薄れていく。これは、誰にでも起きる自然なことだ。問題は、勢いだけで続けようとすることにある。勢いに頼っていると、勢いが落ちたときに、そのまま止まってしまう。だから必要なのは、意志の強さではなく、仕組みである。仕組みは、気持ちの浮き沈みに関係なく、動き続けてくれる。
10月に始めたことの中で、すでに勢いが落ちてきているものがないか、振り返ってみてほしい。それが、今日の仕組みを最初に当てはめる対象になる。
「続けられなかった自分」を責めない
「始めたけれど、続かなかった」。そんな経験は、誰にでもある。
それを、自分の意志の弱さのせいだと考えてしまうリーダーは多い。けれど、そうではない。続かなかったのは、意志が弱かったからではなく、続けるための仕組みがなかったからだ。「続けよう」と決意するだけでは足りない。気持ちに頼らなくても、自然と続いてしまう状況をつくること。それが、仕組み化の本当の意味である。自分を責めるのに使っていた力を、仕組みづくりに向けてほしい。そのほうが、ずっと前に進める。
続かなかったことを思い出したら、「なぜ続かなかったのか」を仕組みの側から考えてみてほしい。「いつやるか決めていなかった」など、理由は意外と単純なことが多い。理由がわかれば、直し方も見えてくる。
止まっても、また始めればいい
途中で止まってしまっても、「また始めればいい」と考えてほしい。
完璧に続けることより、止まっても再開することのほうが、長い目で見ると大きな変化をつくる。一度も止まらずに続けられる人は、ほとんどいない。続けている人の多くは、止まっては再開することをくり返しているのだ。止まったから失敗、ではない。また始めたから、続いている。こう考えると、続けることへの重さが、ずいぶん軽くなるはずだ。そしてリーダーが「また始めよう」と言える姿は、チームにとっても良い手本になる。10月12日の5Sの記事でお伝えしたことと、同じである。
もし止まっているものがあれば、今日を再開の日にしてほしい。「しばらく空いたけれど、今日からまたやろう」と一言、チームに伝えてほしい。
「続けた証拠」が、続ける力になる
続けることの難しさを乗り越えるもう1つの力は、「続けてきた証拠」である。
記録に残っている積み重ねは、「自分はここまでやってきた」という自信になる。手帳に書いた一言、スマホのメモの日付、チャットに投稿した記録。形は何でもいい。目に見える証拠が積み上がっていくと、「ここまで来たのだから、続けよう」という気持ちが自然に生まれる。10月の連載の中で、毎週5分の振り返りや、手帳への記録を何度もおすすめしてきたのは、このためだった。記録は、未来の自分への励ましなのだ。
今日から、何か1つを必ず記録するようにしてほしい。すでに記録を始めている人は、10月分を一度読み返してみてほしい。読み返すと、思っていた以上に動いてきたことに気づくはずだ。

Chapter 34 続けるための仕組み①——「定点」をつくる
1つ目の仕組みは、「定点」をつくることである。決まった時間に、決まったことを確かめる場を、あらかじめ設けておく。定点があると、忙しさに流されても、必ずそこで立ち止まれる。この章では、定点のつくり方と、その効き目を4つの面からお伝えする。
週に1度の「チェックタイム」を決める
毎週、決まった曜日の決まった時間に、自分の行動を振り返る時間を設けてほしい。
長い時間はいらない。5分でいい。「今週、声かけはできたか」「5Sは続いているか」「問いかけを1つ使ったか」。こうした問いを、自分に向ける時間である。10月2日の記事でおすすめした毎週5分の振り返りを、ここで正式な定点にしてほしい。カレンダーに「チェックタイム」と予定として入れておくと、「やろうと思っていたのに忘れていた」ということがなくなる。習慣は、思い出させてくれる仕組みがあって、はじめて続くのだ。
今日、チェックタイムの曜日と時間を決めて、12月末までのカレンダーに入れてほしい。繰り返しの予定にしておけば、1回の設定で済む。通知も、あわせて設定しておいてほしい。
月に1度、チームで振り返る
個人の振り返りに加えて、月に1度は、チームで一緒に振り返る場を設けてほしい。
「今月、チームとして変わったことは何か」「合言葉に沿えた場面はどこだったか」「来月は、どこを意識するか」。こうした問いを、チームで話し合う場である。時間は30分もあれば十分だ。ここで大切なのは、リーダーが一方的に報告する場にしないことである。10月23日にお伝えした問いかけを使って、メンバーの言葉を引き出す場にしてほしい。チームで振り返ることが、「変化は、みんなでつくるものだ」という感覚を育てていく。
11月と12月のチームでの振り返りの日を、今日のうちに決めてほしい。決めたら、チームに予定として伝えておいてほしい。当日の最初の問いも、あわせて考えておいてほしい。
【H3】定点は、少ないほうがいい
定点を増やしすぎると、かえって続かなくなる。
週に1度の個人の振り返りと、月に1度のチームでの振り返り。まずは、この2つだけで十分である。ほかにもやりたいことが出てくるかもしれない。けれど、増やすのは、この2つが自然にできるようになってからにしてほしい。どれだけ多くやるかより、どれだけ長く続くかのほうが大切だからだ。仕組みは、シンプルなほど続きやすい。複雑な仕組みは、忙しい時期に真っ先に崩れてしまう。最初は物足りないくらいで、ちょうどいいのだ。
今、予定に入っている振り返りの場が多すぎないか、確かめてほしい。多ければ、2つに絞ってほしい。減らすことも、続けるための大切な工夫である。2つが自然にできるようになったら、そのときに次を考えればいい。
定点を続けると、変化が見えてくる
定点で振り返りを続けていると、時間の流れの中で変化が見えてくる。
「先月は報告が遅かったが、今月は早くなってきた」「あいさつは根づいてきたが、問いかけはまだ意識しないと出てこない」。こうした具体的な変化の手応えが、続ける力になる。変化は、比べることでしか実感できない。毎日同じ職場にいると、少しずつの変化には気づきにくいからだ。定点での振り返りは、その比べるための物差しになる。同じ問いで、同じ間隔で確かめるからこそ、違いがはっきり見えてくるのだ。
振り返りのたびに、先週や先月の記録と見比べてほしい。変わったところを1つ見つけたら、それを書き添えておいてほしい。小さな違いでも、確かな前進である。見つけた違いは、次のチームでの振り返りで共有してほしい。
Chapter 35 続けるための仕組み②——「見える化」する
2つ目の仕組みは、「見える化」である。目に見えにくい変化を、目に見える形にすることが、続ける力になる。この章では、自分の行動、チームの変化、ビフォー・アフター、そして評価の仕方という4つの面から、見える化の方法をお伝えする。
「やったこと」を記録する
毎日、あるいは毎週、やったことを簡単に記録してほしい。
「今日、名前を呼んであいさつした」「1on1で問いかけを使った」「チームで5Sタイムをやった」。日付とともに書き残すだけでいい。記録していくと、「やった」という事実が積み上がっていく。その積み上がりが、「自分はやってきた」という自信になる。記録する場所は、ノートでも、手帳でも、スマホのメモでもかまわない。形式にこだわる必要はない。大切なのは、続けて書くことである。書く場所を1つに決めておくと、読み返すときにも迷わずにすむ。
今日やったことを、今夜1行だけ書いてほしい。書く場所を、今日のうちに1つに決めてほしい。書く時間も、寝る前など決まった時間にしておくと続けやすい。
チームの「変わった場面」を集める
リーダーとして、チームの中で「変わったな」と感じた場面を記録してほしい。
「今日、メンバーが自分から声をかけていた」「ミーティングで、誰も黙っていなかった」「報告が、いつもより早かった」。こうした場面を書き留めていくと、「変化の証拠」が集まっていく。12月に今年を振り返るとき、この記録が大きな力になる。そして、集めた場面をチームに伝えると、メンバーの自信にもつながる。変化を記録することが、次の変化を呼び込んでいくのだ。場面は、大きなものでなくていい。小さな場面ほど、見逃さずに書き留めてほしい。
今週、チームの変わった場面を3つ見つけて、書き留めてほしい。見つけたら、その場で本人にも伝えてほしい。伝えた言葉も、あわせて書き留めておいてほしい。
「ビフォー・アフター」を比べる
10月5日の記事でつくったチェックシートを、もう一度開いてみてほしい。
報連相のタイミング、ミーティングの発言、メンバー同士の関わり。あのとき印をつけたチームの状態と、今の状態を比べてみる。「ここが変わった」「ここはまだ課題だ」ということが、具体的に見えてくるはずだ。ビフォー・アフターの比較は、自分の振り返りに使えるだけでなく、チームと共有することもできる。「この1ヶ月で、こんなふうに変わった」と伝えることが、メンバーの自信になるからだ。変わっていない項目があっても、落ち込む必要はない。そこが、11月の重点になる。
チェックシートに、今日の日付で新しい印をつけてほしい。10月5日の印と並べて、違いを確かめてほしい。
数字よりも「場面」で見る
変化を見える化するとき、売上や生産性の数字だけで判断しないでほしい。
数字は大切である。けれど、職場の空気の変化は、数字にはすぐには表れない。「どんな場面が増えたか」「どんな会話が生まれたか」。こうした場面の変化のほうが、チームの文化の変化をよく映し出す。数字は、多くの場合、後からついてくるものだ。場面の変化を見ずに数字だけを追うと、「効果が出ていない」と判断して、せっかくの取り組みを止めてしまうことにもなりかねない。まず場面を見ることで、変化を正しくとらえることができる。
今月のチームを振り返るとき、数字の前に、印象に残った場面を3つ書き出してほしい。その場面が、今月の本当の成果である。チームにも、ぜひ伝えてほしい。

Chapter 36 続けるための仕組み③——「仲間」をつくる
3つ目の仕組みは、一緒に続ける仲間をつくることである。ひとりで続けることには、どうしても限界がある。その限界を、仲間が補ってくれる。最後の章では、チームの内と外に仲間をつくる方法をお伝えし、年末に向けた最後の準備で、10月の連載を締めくくりたい。
メンバーを「変化の仲間」にする
続けるための最も強い仕組みは、「一緒にやっている人がいる」という事実である。
チームのメンバーを、変化の仲間として巻き込んでほしい。「一緒に、こういうチームをつくっていきたい」と伝えることで、メンバーも「これは自分たちの変化だ」と感じられるようになる。リーダーひとりで変えようとするより、チームで変えようとするほうが、ずっと続きやすい。誰かが止まりかけても、ほかの誰かが声をかけてくれるからだ。合言葉づくりのワークは、まさにメンバーを仲間にするための場でもあった。仲間がいると、続けることは「義務」から「一緒にやること」に変わっていく。
次の朝礼で、「この3ヶ月、一緒に続けていきたい」と一言伝えてほしい。その一言が、メンバーを仲間に変える。
「良かったこと」を分かち合う場をつくる
週の終わりに、「今週、良かったこと」をチームで分かち合う場を設けてほしい。
時間は5分でいい。「誰かが助けてくれた」「お客様にお礼を言われた」「困っていた問題が片づいた」。小さなことでかまわない。良かったことを言葉にすると、チームの中に前向きな記憶が積み重なっていく。その記憶が、次の週も動こうとする力になる。人は、うまくいかなかったことばかりを覚えがちだ。だからこそ、良かったことを意識して言葉にする場が必要になる。リーダーが最初に話すと、メンバーも話しやすくなる。
今週の金曜日、終業前の5分で試してほしい。最初の1つは、リーダーから話してほしい。小さな話題のほうが、メンバーも続きやすい。一度で終わらせず、毎週の決まりにしてほしい。
「外の目」を取り入れる
ひとりのリーダー、1つのチームだけで変化を見ていると、どうしても見方が固まりやすい。
信頼できる同業者、先輩のリーダー、社外の相談相手。こうした人に話を聞いてもらう機会を持つと、「外から見ると、こう見える」という視点が入ってくる。自分たちが当たり前だと思っていたことの価値に、外の目を通して気づくことも少なくない。あおラボも、そのための場として使ってほしい。外の目は、変化を客観的に確かめる手段であると同時に、続けるための励ましにもなる。話すことで、自分の取り組みを整理することもできるからだ。
今月中に、この3ヶ月の取り組みを話せる相手を1人思い浮かべてほしい。思い浮かんだら、話す日を決めてほしい。話す前に、10月の記録を持参するといい。
年末に「来年に向けて」を語る場を予約する
12月の終わりに、チームと一緒に「来年は、どんなチームにしたいか」を話す場を設けてほしい。
時間は1時間あれば十分だ。この連載で取り組んできたことを振り返り、来年も続けることと、新しく始めることを話し合う。この場があると、年末に「やってよかった」という手応えが生まれる。そして、メンバーが来年への思いを口にすることで、新しい年の動き出しが変わってくる。終わり方が、始まり方を決めるのだ。10月2日に「12月の最終週に振り返りの時間を」とお伝えしたのは、この場のことである。まだ予定に入れていなければ、今日がその日だ。
10月の連載の締めくくりとして、今日、その場をカレンダーに予約してほしい。予約した日を、チームにも伝えておいてほしい。
今日のまとめ
変化は、始めることより続けることのほうが難しい。続かないのは、意志が弱いからではなく、続けるための仕組みがないからだ。止まっても、また始めればいい。
1つ目の仕組みは「定点」である。週に1度の個人の振り返りと、月に1度のチームでの振り返り。まずは、この2つだけで十分だ。
2つ目の仕組みは「見える化」である。やったことを記録し、チームの変わった場面を集め、10月5日のチェックシートと今を比べてほしい。数字より先に、場面を見てほしい。
3つ目の仕組みは「仲間」である。メンバーを変化の仲間にし、良かったことを分かち合い、外の目も取り入れてほしい。そして、年末に来年を語る場を、今日予約してほしい。
10月の連載は、今日で一区切りとなる。11月は、10月に試してきたことを、毎日の習慣へと深めていく月だ。ここまで読んでくださったことに、心から感謝している。
この3ヶ月が、あなたとあなたのチームにとって本物の変化の起点になると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。
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