ESは書けたのに、面接で言葉が出てこない君へ
こんにちは、あなたらしいキャリアの一歩を、いっしょに考える【あおラボ】です。
ESには、きれいな文章で書けた。それなのに、面接で同じことを訊かれると、うまく話せない。そんな経験は、これから君にも訪れるかもしれない。
そのとき、多くの学生は「自分は話すのが苦手なのだ」と考えてしまう。けれど、原因は、話し方の才能ではないことが多い。準備が「書く」ところで止まっていて、「話す」練習と「聞いてもらう」練習に、進んでいないだけなのだ。
この記事では、書く、話す、聞いてもらうという3つの段階の順番と、それぞれのやり方を、一つずつ整理していく。
Chapter 17 書いて終わりにしない、理由
ESを書き上げると、ほっとする。「これで準備ができた」と感じるのは、自然なことだ。ただ、面接で必要になるのは、紙の上の文章ではなく、その場で口から出てくる言葉である。まず、書くだけでは足りない理由を整理しておこう。
17-1 書いた文章は、「話せる言葉」とは別のものである
文章を書くときは、考えながら、何度も書き直せる。言葉を選び、順番を入れ替え、読み返して整える。完成した文章は、そうした時間の積み重ねの結果だ。
一方で、面接で話すときは、書き直しができない。目の前に相手がいて、話した言葉は、そのまま相手の耳に届く。考える時間も、ほんの数秒しかない。
しかも、書き言葉と話し言葉は、そもそも違う。文章では自然な「〜であり、〜することで、〜に至った」のような長い一文は、声に出すと息が続かず、聞き手にも伝わりにくい。
だから、書けたことと、話せることは、別の力なのだ。書けたのに話せないのは、君の力が足りないからではない。使う筋肉が違うだけである。違う筋肉は、使って育てるしかない。
17-2 読み返すだけでは、「覚えたつもり」になる
ESを書いたあと、面接の前日にもう一度読み返して、「これで大丈夫」と安心する。多くの学生がやっていることだと思う。
けれど、学習の研究は、読み返しだけの準備には限界があることを示している。ヘンリー・ローディガー氏とジェフリー・カーピック氏が、2006年に『Psychological Science』誌で発表した研究では、文章を学んだあと、繰り返し読み直した人と、思い出す練習(テスト)をした人を比べた。直後は、読み直した人のほうが成績は良かった。ところが、1週間後に確かめると、思い出す練習をした人のほうが、よく覚えていたのだ。
何度も読むと、「見覚えがある」という感覚が強くなる。その感覚が、「覚えている」「話せる」という錯覚を生む。
面接で必要なのは、見覚えではなく、思い出して口に出す力である。だから、ESを読み返すより、何も見ずに話してみるほうが、準備としては確かなのだ。
17-3 面接は、「その場で、口で答える」場である
面接を、書類の審査の延長のように考えている人は多い。しかし、面接官がESを読んだうえでわざわざ時間をとって会うのは、書いてあること以外を知りたいからだ。
話す速さ、間の取り方、表情、言葉の選び方。ESには表れない君の人柄は、話しているときに、いちばんよく伝わる。
だから、同じ内容でも、書いたものと、話したものでは、相手に与える印象が違う。ESがどれだけ整っていても、話すときの印象が硬ければ、「文章は立派だが、本人の姿が見えない」と受け取られてしまうこともある。
逆に言えば、ESが少し不器用でも、話すときに君の言葉で語れていれば、人柄はきちんと伝わる。面接は、君の人柄を、君自身の声で届ける機会である。そのための準備は、声に出すところまで、進めておきたい。
17-4 3年生も2年生も、順番は同じ
3年生は、秋冬のインターンや、本選考に向けた準備の時期にいる。ESを書く機会も、面接で話す機会も、すでに目の前に来ているはずだ。この時期は、書く、話す、聞いてもらうの3段階を、一つの質問で、一周してみてほしい。
2年生は、ESを出す機会はまだ少ないかもしれない。けれど、インターンの選考で、面接やグループワークを行う企業はある。それに、話す練習は、早く始めた人ほど、長い時間をかけて育てられる。
しかも、この3段階は、早く始めても損をしない。10月に見つけた強みの一行は、時間がたっても、大きくは変わらないからだ。
学年にかかわらず、順番は同じである。まず書いて、次に話して、最後に人に聞いてもらう。この順番を守ると、準備が無駄なく進む。次の章から、一つずつ見ていこう。

Chapter 18 第1段階「書く」——材料を、文章に固定する
準備の最初の段階は、書くことだ。ただし、ここでの「書く」は、完成した文章を作ることが目的ではない。話すための材料を、目に見える形に置くための作業である。どこまで書けば十分なのかを、確認しておこう。
18-1 書く目的は、「完成品」ではなく「材料」である
ESの設問を前にすると、最初から完璧な文章を書こうとして、手が止まってしまう人がいる。気持ちはよくわかる。
けれど、この段階の目的は、きれいな文章ではない。頭の中にある経験や考えを、一度、紙の上に出して、固定することだ。頭の中にあるうちは、考えは形が定まらず、毎回違う言い方になってしまう。書くことで、初めて「何を話すのか」が、一つに定まる。
だから、最初は、箇条書きでもいいし、乱れた文でもいい。大切なのは、強みの一行、そのときの場面、君が考えて動いたこと、という材料を、すべて並べることだ。
10月に見つけた強みの一行は、ここで使う。一行と、それを証明する場面を並べて書く。それだけで、話す段階の土台ができる。きれいに整えるのは、あとでいい。まずは、材料を出し切ることを目指そう。
18-2 「結論・根拠・場面」の型に、入れて書く
材料が並んだら、答えの形に整えていく。11月4日の記事でお伝えした、「結論・根拠・場面」の順番を使うと、迷わない。
最初に、結論を一文で言い切る。「私の強みは、〇〇です」のように、強みの一行をそのまま置いてよい。
次に、根拠を述べる。なぜ、そう言えるのか。周りの人から言われたことや、くり返し起きた出来事を、短く添える。
最後に、場面を話す。強みが発揮された具体的な場面を、君が何を考え、どう動いたかがわかるように語る。強みは、この場面で証明される。
この順番で書いておくと、あとで声に出すときにも、そのまま使える。話の流れが決まっているので、話している途中で迷子になりにくい。書く段階で型に入れておくことは、話す段階の準備でもあるのだ。
18-3 まず、一つの質問に絞って、短く書く
準備を始めるとき、自己PR、ガクチカ、志望動機、長所、短所と、すべてを一度に進めようとする人がいる。気持ちは焦るが、一度に全部を進めると、どれも中途半端になりやすい。
おすすめは、質問を一つだけ選ぶことだ。まずは、いちばん訊かれやすい自己PRか、いちばん書きやすいと感じる質問でいい。
文章の量も、最初は短くてよい。声に出して言える長さ、200字から300字くらいを目安にしてみよう。ESの文字数制限に合わせて書くのは、そのあとでも間に合う。
短く書いておくと、話す練習にそのまま使える。また、一つの質問で3段階を一周すると、やり方がわかる。やり方がわかれば、ほかの質問にも同じ手順で進められる。最初に選ぶ一つが、あとの準備の見本になるのだ。
18-4 書いたら、いったん寝かせる
書き終えたら、すぐに次へ進まず、一晩置くことをおすすめしたい。10月に、50個を書き出したあと、一度寝かせるとよいと伝えたのと同じ考え方だ。
書いた直後は、自分の頭の中に、書いた内容がそのまま残っている。だから、わかりにくい箇所にも、言葉が足りない箇所にも、気づきにくい。
時間を置いて読み返すと、書いたときの記憶が薄れて、初めて読む人に近い目で見られる。「ここは何を言いたいのか」「この言葉は、唐突だ」と、気づける場所が増える。
気づいたところだけ、少し直す。書き直しは、ここで十分だ。完璧を目指すと、準備が終わらなくなる。次の段階の「話す」に進めば、また直す機会は来る。書く段階は、材料を固定して、一晩寝かせたら、いったん終わりにしよう。
Chapter 19 第2段階「話す」——声に出して、口になじませる
書いた文章を、次は声に出す。この段階を飛ばして、いきなり人前で話す人は多い。けれど、一人で声に出す時間は、とても効果が高い。誰にも見られない場所で、思い切り失敗できるからだ。やり方を見ていこう。
19-1 声に出すと、文章の「ぎこちなさ」が見つかる
書いた文章を、声に出して読んでみる。それだけで、いくつもの発見がある。
文が長すぎて、息が続かない。同じ語尾が何度も続いて、単調に聞こえる。読んでいて、舌がもつれる言葉がある。目で読んでいたときには、まったく気づかなかった点だ。
声に出して読むことには、記憶の面での利点もある。ミカエル・マクラウド氏らが、2010年に『Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition』誌で発表した研究では、単語を声に出して読んだときのほうが、黙読したときより、あとの記憶テストで成績が良かった。この効果は「プロダクション効果」と呼ばれている。声に出すという行動が、その言葉を、記憶の中で目立たせるのだと考えられている。
つまり、声に出すことは、ぎこちなさを見つけるだけでなく、話の中身を覚えやすくする。まずは、一人の部屋で、小さな声でいい。書いた文章を、そのまま読んでみよう。
19-2 スマートフォンで録音して、自分の声を聞く
声に出すときは、スマートフォンの録音機能を使うことをすすめたい。録音した自分の声を聞くのは、少し恥ずかしい。けれど、その分、気づけることが多い。
早口になっていないか。「えーと」「あの」が多くないか。語尾が消えて、聞き取りにくい箇所はないか。話している最中は気づけなくても、録音なら、あとから冷静に確かめられる。
聞くときは、全体の出来を評価しなくていい。確かめるのは、一つか二つの点だけで十分だ。「結論は、最初の一文で言えているか」「場面の話に入る前に、長くなりすぎていないか」のように、見るポイントを決めると、疲れずに続けられる。
一度で完璧にしようと思わなくていい。録音して、聞いて、少し直して、もう一度録る。それを、3回くり返せば、最初のころとは違う話し方になっているはずだ。変化は、録音を聞き比べると、はっきりわかる。
19-3 暗記しない。「骨組み」だけ覚える
声に出す練習を始めると、「全部、一字一句、覚えなければ」と考える人がいる。しかし、丸暗記は、おすすめしない。
暗記した文章を話すと、一つ言葉が飛んだだけで、頭が真っ白になりやすい。面接官にも、「準備した文章を読み上げている」という印象を与えてしまう。また、質問のされ方が少し変わっただけで、答えが出てこなくなる。
覚えるのは、骨組みだけでよい。結論は何か。根拠は何か。どの場面を話すのか。この3つの札を覚えておけば、言葉は、その場で組み立てられる。
言葉が毎回少し違っても、問題はない。11月5日の記事でお伝えしたとおり、変わってはいけないのは、強みの中身と、事実である。言い回しが変わるのは、むしろ自然なことだ。
骨組みを覚え、言葉は、その場で、君の声で選ぶ。それが、いちばん強く、いちばん自然な話し方になる。
19-4 同じ話を、短い版と、少し長い版で言ってみる
面接では、時間の長さを指定されることがある。「1分でお願いします」と言われる場合もあれば、「もう少し詳しく聞かせてください」と深掘りされる場合もある。
そこで、同じ話を、短い版と、少し長い版の2つで話せるようにしておくと、安心できる。
短い版は、結論と根拠だけを、1分ほどで話す。長い版は、そこに場面の話を加えて、もう少し時間をかけて話す。骨組みは同じで、場面の話をどれだけ入れるかだけが違う。
タイマーを使って、実際に時間を計ってみよう。思っていたより長い、あるいは短いと、気づくはずだ。時間を計る練習は、地味だが、本番の落ち着きにつながる。
骨組みが頭に入っていれば、時間の指定が変わっても、慌てずに調整できる。声に出す練習は、話す内容だけでなく、話す量の感覚も育てるのである。

Chapter 20 第3段階「聞いてもらう」——他の人の耳を通す
一人での練習を重ねたら、最後の段階に進む。人に聞いてもらう段階である。ここを飛ばすと、一人で完成したつもりでも、相手に伝わらないまま本番を迎えることになる。なぜ必要なのか、誰に頼むのか、何を頼むのかを整理しよう。
20-1 自分では、「わかりにくさ」に気づけない
自分の話の中に、わかりにくい箇所があるかどうか。実は、これを自分で見つけるのは、とても難しい。
たとえば、ガクチカで「サークルの新歓イベントを成功させた」と話す場面を考えてみよう。話す君の頭の中には、準備の苦労も、当日の景色も、仲間の顔も入っている。だから、この一言で十分に伝わった気がする。
ところが、聞く人の頭の中には、そのどれもない。「成功」とは何人の集まりのことなのか、君は何を担当したのか。肝心なところが、わからないままだ。話し手の頭の中にある情報は、聞く人の頭の中にはない。だから、足りないことに、自分では気づけない。
強みの話も、同じである。君の頭の中には、場面の背景も、そのときの気持ちも、すべて入っている。だから、聞く人にとって足りない情報に、自分では気づけない。他の人の耳を通すことが、必要になる理由だ。
20-2 聞いてもらう相手は、就活の専門家でなくていい
「人に聞いてもらう」と言われても、誰に頼めばよいのか迷うと思う。結論から言うと、就活の専門家である必要はない。
友人、家族、サークルの先輩、アルバイト先の人。君の話を、初めて聞く立場の人は、みな適任だ。場面の背景を知らない人のほうが、わかりにくい箇所を見つけてくれる。
もちろん、大学のキャリアセンターや、あおラボのような就活の支援をしている場所を使うのもよい。面接官の目線に近い意見がもらえる。
最初の一人目は、気軽に頼める人でかまわない。「就活の練習をしたいから、3分だけ聞いてもらえない?」と声をかけてみよう。多くの人は、快く応じてくれる。頼むのは少し勇気がいるが、一度やってみると、「頼んでよかった」と思えることが多い。
20-3 頼むのは「評価」ではなく、「聞いて、どう感じたか」
聞いてもらうとき、「どうだった?」とだけ訊くと、「よかったと思うよ」で終わってしまうことが多い。相手も、友人の話に厳しいことは言いづらいからだ。
そこで、訊き方を工夫する。点数をつけてもらうのではなく、感じたことを教えてもらうのだ。
たとえば、こう頼んでみる。「どの場面が、いちばん印象に残った?」「わかりにくかったところは、あった?」「私の強みを、一言で言うと、何に聞こえた?」。
最後の質問は、特に効果が高い。君が伝えたい強みと、相手が受け取った強みが、一致しているかどうかが確かめられる。
フィードバックの研究でも、役に立つ助言とは、「どこに向かっているか」「いまどこまで来ているか」「次に何をすればよいか」を教えてくれるものだと整理されている(ジョン・ハッティ氏とヘレン・ティンパーリー氏、2007年、『Review of Educational Research』誌)。相手の感想は、その材料になる。聞いたら、お礼を言って、直せるところだけ直せばよい。
20-4 今日の作業 質問を一つ選び、3段階を一周する
ここまでの内容を、今日の作業にしてみよう。質問は、一つだけ選ぶ。自己PRでも、ガクチカでもよい。
まず、書く。10月に見つけた強みの一行と、場面を、「結論・根拠・場面」の順番で、200字から300字で書く。今日は、ここまででも十分だ。
次に、話す。時間があれば、スマートフォンで録音しながら、声に出してみる。聞き返して、直す箇所を一つだけ決める。
最後に、聞いてもらう。今週中に、一人でいいので、話を聞いてくれる人を探す。「どの場面が印象に残った?」と訊く。
3年生は、本選考で出す質問から始めるとよい。2年生は、インターンの志望理由か、自己紹介から始めてもよい。
三つとも終えたとき、答えは、書いただけのときより、ずっと深く、君のものになっている。一つの質問で、やり方を身につければ、残りの質問も、同じ順番で進められる。
今日のまとめ
ESを書いて終わりにせず、書く、話す、聞いてもらうの順で、答えを育てていく。書くことは、材料を固定する作業である。話すことは、文章を、口になじませる作業である。そして聞いてもらうことは、自分では気づけないわかりにくさを、見つける作業なのだ。
3年生は、本選考に向けて、一つの質問で3段階を一周してみよう。2年生は、自己紹介など、小さな質問から始めても、決して早すぎることはない。まずは、今日、強みの一行と場面を書くところから、始めてほしいと思う。
声に出して、人に聞いてもらった答えは、本番でも、君を支える。書いた言葉が、君の言葉になったとき、面接は、少しだけ楽になるのだ。
自己分析も、伝える練習も、使いながら深まっていくものだと、あおラボは信じている。君の挑戦を、いつも全力で応援している。
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