若年世代の働くことの思考

昨日、内定式を迎えられた25年卒の皆さん。おめでとうございます。職業人としての門をくぐった感想はいかがでしたでしょうか。

これから卒業までは、学生生活でやり残しがないように卒業まで学生としての日々を積んでください。

「働きたい組織の特徴」調査(就職みらい研究所・14年卒~25年卒)データを見ると、過去12年の推移に若い世代の働く価値観の変化が伺えます。調査では、A、どちらかといえばA、B、どちらかといえばBの4つの選択肢から単一回答でデータ化されていましたが、A、どちらかといえばAを「Ⓐ」と、B、どちらかといえばBを「Ⓑ」として価値観の変化を見てみます。

自身の成長スタイルに関する設問

「A:どこの会社に行ってもある程度通用するような汎用的な能力が身につく」組織と、「B:その会社に属していてこそ役に立つ、企業独自の特殊な能力が身につく」組織のどちらで働きたいかを聞いたところ、「Ⓐ」と答えた25年卒は77.0%でした。24年卒の数値からは0.9pt微減しましたが、12年前から経年を見るとⒶを選ぶ傾向はずっと続いていました。従来の日本的雇用慣行にあった、新卒で入社した会社で定年まで勤め上げる志向が薄れ、転職も視野に入れて就職先の選択をしている姿が伺えました。

次に、「A:会社の持つノウハウや型を学ぶことで成長する」組織がいいか、「B:個人が試行錯誤を行うことで成長する」組織がいいかを聞いた質問では、Ⓐと回答した学生は74.7%でした。会社からっ積極的に学びを得て、自分のキャリアを考える人が増加傾向にあると思われます。

また、「A:これまでの経験(学業など)を活かして成長できる」組織がいいか、「B:これまでの経験(学業など)とは無関係に、ゼロから学べる」組織がいいかという問いについては、Ⓐが増加傾向となっていて、25年卒では61.8%となっていました。自身が持っているスキルを活かし、さらに伸ばしていける環境を望む傾向に進んでいることが推察されました。

生長とストレスのバランについては、「A:短期で成長できるが、体力的・精神的なストレスもかかる」と、「B:短期での成長はしにくいが、体力的・精神的なストレスがかからない」を尋ねたところ、Ⓑの回答が69.5%となり、ストレスのかからない職場を好む傾向は経年で変わっていませんでした。一方で、この数値は24年卒から5.1pt減少しており、短期での成長を求める学生が去年よりも増えていることがわかりました。

成長志向が高いがワークライフバランスも重視

「新入社員意識調査2024」(リクルートマネジメントソリューションズが実施した新入社員導入研修受講者2,516人)より、実際に働いている新入社員は、働きたい組織の特徴をどう考え、どんな働き化や仕事観をもっているかを探ってみます。

働きたい職場の特徴を聞いたところ、「お互いに助け合う」が64.1%で最多回答でした。次いで、「遠慮をせずに意見を言い合える」45.1%、3位「お互いに個性を尊重する」44.3%となっていました。

2010年の調査開始以降、「お互いに助け合う」が1位になっていますが、「遠慮をせずに意見を言い合える」は10年前と比べると9.8pt増していて、最高位では2位になっています。一人ひとりの個性を尊重されて教育を受けてきたことに加え、デジタルネイティブ世代として自分の意見を発信できる環境が当たり前の時代となった社会で育ってきた背景がある世代らしいと感じました。ビジネス世界においても心理的安全性の重要性が広く認知されてきた流れも考えると、今後も「自分の意見を自由に言える」ことが重視されると思われます。

個の尊重・意見を言い合える環境を望む

一方、ポイントが低かったものは「皆が一つの目的を共有している」25.9%、「お互いに鍛えあう」15.9%、「ルール・決めごとが明確」12.7%でした。個性重視の流れから、組織のカラーに自分が合わせるようにして、「一つの目的を共有する」よりも、自分の意向を大事にしながら働きたいという思いがあるのではないかと推察されます。また、「鍛える」という厳しさを感じさせる環境よりも、お互いに協力し合う働き方を望んでいることが伺えました。

個を尊重して欲しいという志向は、「上司に期待することは何か」の問いにも反映された回答が見られました。

最多は「相手の意見や考え方に耳を傾けること」45.9%でした。一方最下位となっていたのは「部下に仕事を任せること」5%でした。Z世代の特徴のひとつである丁寧なサポートを求める姿勢が伺えました。

「働くうえで大切にしたいことは何か」という質問では、「社会人としてのルール・マナーを身につけること」45.2%が最多の回答でした。19年の調査以降1位だった「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」は44.4%で2位となり、6年振りに1位が逆転した結果になりました。コロナ禍を経て、出社で仕事や対面コミュニケーションへの回帰が起こったことで、対人関係のスキルを高めることを意識したなかでのマナーかと推察されます。

「仕事をする上で重視したいこと」を尋ねたところ、「成長:自分が成長できる」32.2%と「貢献:人や社会の役に立つ、感謝される」23.1%が上位となりました。コチラも調査開始以降、傾向が変わっていません。変化としては「専門性」19.7%で3位になったことです。転職が珍しくなくなった今、「専門性を身につけて市場価値を上げたい」「キャリアアップに役立てたい」という志向が高くなっていることが伺えます。

一方で、去年に引き続き最下位だったのは「競争:競争に勝つ、No.1になる」ことで2.6%でした。競争で一番になることよりも、お互いに助け合い回りから感謝されるような関係性や、自分の中で成長実感があることを重視していることを伺えました。

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