リーダーシップの教材

VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)時代。変化が激しく、あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が発生する未来予想が困難な状態を示す言葉がVUCA。このVUCA時代の変化に対応するには、どのようなリーダーシップやマネジメント・チームカルチャーが求められるのかは、組織人だけではなく、就活生にとっても関心があるテーマのひとつではないでしょうか。

その道のベテランから昨日入社した新人まで、組織人ともなれば一人ひとりにその能力が問われるものの一つにリーダーシップがあります。

リーダーシップにはいくつかの型に分類されるものがありますが、理想とされるスタイルは時代とともに変遷するものです。

強いリーダーが先頭に立ちメンバーを導くスタイルもありました。一方で、先の見通しが困難となった今は、リーダー一人の経験だけでは乗り切れず、メンバー全員の能力を結集して、総力戦で解を探索することが重要となりました。メンバーの成長を支えて限界を越えさせるようなリーダーが理想と言われています。つまり、徹底的に話を聴き徹底的に議論をするが、最後の決定は責任を持って自ら下すリーダーが求められているのです。

支配的な力や才能で引っ張っていくようなスタイルより、魅力あるリーダーのもとで成り立つチームプレイを学ぶことができる、実在の人物がモデルのリーダーシップが学べる名作を専門家が選んだ。映画を紹介します。

マネーボール

弱小だったアスレチックスを上昇糾弾に育て上げた主人公ビリー・ビーンの苦悩と栄光が描かれている。

  • 業界の常識に縛られることなく、詳細なデータと理論によってゲームの法則を変えてみせた。さまざまな場面で改革が叫ばれている昨今、最も必要なリーダーの一人。
  • 他チームから問題視、戦力外通知された選手を集め、あれらの長所に着目する形で起用した。ビジョン型と奉仕型を兼ねたリーダーシップの理想。
  • チーム編成においては支配的にふるまいながら、いざゲームが始まると監督にすべてを委ねる様子にも注目。
  • 目標のためなら非常な判断を辞さないリーダーの孤独と挫折も描かれて心にしみる。

ドリーム

米国人として初めて地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士ジョン・グレンの功績を陰で支えた、NASAの3人の黒人女性が主役。差別や偏見と闘いながら歴史的な偉業に田主さらっていく道のりが描かれている。

  • 一人ひとりが能力を発揮することと、組織全体のパフォーマンスを上げることという、リーダーが考えるべきことが描かれている。
  • 差別のせいで実力を発揮できないヒロインを引っ張り上げる上司の姿も心証的

アポロ13

月まであとわずかのところで爆発事故が発生した実話を基に、乗組員たちは管制センターと力を合わせて地球への生還を目指す、絶体絶命の危機に陥った乗組員たちの救出劇が描かれている。

  • 主席管制官ジーン・クランツの非常時におけるリーダーシップが見事である。非常事態が起こるや否やミッションを変更し、全ての活動を底に集中させる手腕から学ぶものは多い。
  • 非常事態でもリーダーは冷静に、目指すゴールを修正し、皆に徹底し、そのエイでメンバーのアイデアや能力が最大限発揮されるよう努めることが求められる。そんなジム・ラヴェル船長のリーダーシップにも注目。

インビクタス

南アフリカ共和国のマンデラ大統領とラクビーチームの白人主将がW杯制覇へ向けて奮闘する姿が描かれている。

  • 変革には、確固たるビジョンを持つトップリーダーと、それを補佐するチェンジエージェント(変格の仕掛人)が重要な役割を果たす。
  • メンバーの力を引き出すヒントや、人種間の分断を意外なアイデアで融和する大統領の至言が印象的

シンドラーのリスト

ユダヤ人従業員を安価な労働力ではなく一人の人間だと認識を変え成長する実業家シンドラー。ナチスによるユダヤ人大虐殺から多くの命を救ったオスカー・シンドラーが描かれている。

  • 表面的にはナチスに融和的な態度を見せたが結果的に多くの命を救った。これも正義の行動の形。
  • 行いが輝かしいほど救えなかった者の影が重くのしかかる。良きリーダーゆえの苦悩がここにある。

ペンタゴン・ペーパーズ

キャサリン・グラハムは亡き夫に変わりワシントン・ポスト紙の発行人に就く。ベトナム戦争に関する国防省の最高機密文書の記事掲載を巡り、投獄されるリスク化報道の自由化で判断を迫られる姿が描かれている。

  • 難しいリーダーの意思決定や企業の存在意義を明確化するパーパス経営を考えさせられる。
  • 葛藤や成長を描き、リーダーシップは天賦の才ではなく、機会が育むものだという勇気を多くの人に与える

恥ずかしながら情実した作品のうち「ペンタゴン・ペーパーズ」だけ見ていなかった。近年パーパスがマネジメントに限らず、組織で働く多くの人から注目されていると思うと、これ間まずいと思いA社のPrime Videoで鑑賞した。

文書の存在をスクープしたニューヨークタイムズとライバル紙のワシントン・ポストの樹茶たちが戦いながらも連携して、政府の圧力に屈することなく真実を世間に公表しようとするストーリーには、アメリカの国家権力の凄さが滲み出ている。言論の自由に大きな影響を与えた史実を知ることはビジネスパーソンとしての教養を豊かにしてくれると思います。

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