はじめに|企業研究って、実は「比較」がカギ
「企業研究やってますか?」と聞かれて、
「はい!企業のホームページを見ました」と答える人、多いですよね。
でも実際には、1社だけ見ても“良い会社に見える”のが当たり前。
その会社の魅力を100%理解できたつもりでも、他の会社と比較しないと“その会社らしさ”は見えてきません。
企業研究で本当に大切なのは、「その企業が、他とどう違うのか?」を知ること。
つまり、“比較”を通してはじめて、その企業の「個性=らしさ」が浮かび上がってくるのです。
今回の記事では、Z世代の就活生が陥りがちな「企業研究の落とし穴」から抜け出し、
“志望動機の深掘り”にもつながる「業界・他社比較」のステップを紹介します。
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第1章|なぜ、企業研究に“比較”が必要なのか?
企業って、どこも同じようなことを言ってると思いませんか?
• 「人を大切にします」
• 「社会に貢献します」
• 「お客様第一です」
これらの言葉は、一見魅力的ですが、どの会社にも当てはまるように見えてしまいます。
つまり、それだけ見ても「らしさ」にはつながらないということ。
ここで必要なのが、「比較」という視点。
同じ業界の会社を3社並べてみると、それぞれの戦い方・スタンス・未来ビジョンが見えてきます。
たとえば、コンビニ業界で考えてみましょう。
企業名 | 強み・特徴 | キーワード |
A社 | 新商品開発力が高く、ヒット商品多数 | 開発重視・独自性 |
B社 | 地域密着型。高齢者・介護サポートも展開 | 地域連携・社会性 |
C社 | デジタル化が進み、キャッシュレス・AI活用が強み | テクノロジー志向 |
このように見比べることで、「その会社らしい戦い方」が浮かび上がるのです。
第2章|他社比較で見えてくる“企業らしさ”の正体
では実際に、比較から“企業らしさ”をどう見つけていくのか。
以下の4つの視点がカギになります。
1.「理念や価値観」はどう違う?
• ミッション/ビジョン/バリュー(MVV)を比べる
• 「社会にどう貢献したいか?」に企業ごとの色が出る
✅ たとえば:
「すべての人に移動の自由を」VS「地域に生きる人々の“当たり前”を守る」
→ どちらも交通インフラ企業。でも、アプローチする社会課題の視点が異なる。
2.「商品・サービスの違い」は何にフォーカスしているか?
• 類似のサービスでも、訴求ポイントが違う
• BtoB(法人向け)か、BtoC(個人向け)かによっても異なる
✅ たとえば:
同じ「教育系サービス」でも…
• A社:eラーニングを通じてDX人材育成
• B社:対面型の高校キャリア支援プログラム
• C社:大学の就活支援をオンラインマッチングで実施
→ 全部“教育”だけど、顧客も提供価値も全然違う。
3.「働き方・社風」はどう違う?
• 採用ページ・インターンの内容に注目
• 社員インタビューの語り口・キーワードもヒント
✅ たとえば:
「一人ひとりが経営者目線で動く」「チームで挑戦する」「失敗から学ぶ風土」など
→ 社風が言葉ににじみ出てくる。自分に合うかどうかも見えてくる。
4.「今後の戦略・ビジョン」はどう語られている?
• 中期経営計画/社長インタビューなどを見る
• “未来に向かって何を目指すか”が語られているか?
✅ 見逃しがちですが、ここが志望動機の“未来軸”になります。
第3章|“企業らしさ”を読み解く比較のステップ
ここからは、実際に比較・分析をするための3ステップを紹介します。
▶ STEP1|同じ業界から3社ピックアップする
例:メーカー(食品)/広告/金融/IT/地域企業など
→ 競合・準競合・異業種パートナーをセットで選ぶのもおすすめ。
▶ STEP2|以下の観点でざっくり比較表を作る
視点 | A社 | B社 | C社 |
理念・ビジョン | |||
商品・サービス | |||
顧客ターゲット | |||
働き方・文化 | |||
未来戦略・方向性 |
→ まずはざっくりでOK。書き出していくうちに、「あ、この会社は“挑戦型”だな」とか、「この会社は“安定志向”だな」といった印象の違いが見えてきます。
▶ STEP3|“自分の価値観”と照らし合わせる
「どれに一番惹かれる? なんで?」と問いかけてみてください。
• なぜその理念に共感したのか?
• なぜその商品に興味を持ったのか?
• その社風、自分に合いそう?違和感ある?
こうして比較→深掘りをしていくと、“自分と企業のつながり”が自然に言語化されていきます。
第4章|比較することで、志望動機が「伝わる言葉」になる
企業を比較することで得られる一番の成果は、
「だから私はこの会社を選びました」が語れるようになること。
単に「共感しました」ではなく、
他にも似た企業を見たけれど、私はこの理念に一番リアルさを感じた。
この商品へのこだわりが、自分の価値観と重なった。
他社と比べて、社員の言葉に一番“人間味”があった。
…など、“比較したからこそ気づけたこと”があると、説得力が格段に上がります。
まとめ|“企業らしさ”に気づいたとき、志望動機が自分の言葉になる
企業研究って、つい表面的になりがち。
でも、“比較”というレンズを通すだけで、「見える世界」が変わります。
企業の違いが見えてくると、自然と「自分に合いそうな会社」も見えてきて、
そこから“自分らしい志望動機”が言えるようになります。
就活は、“自分を売り込む場”ではなく、“お互いを知るプロセス”。
企業をよく知ろうとする姿勢こそが、相手からの信頼や評価につながっていくのです。
最後に
たくさんの会社を見ていく中で、迷うこともあると思います。
でも、比較して気づいたこと、違和感を持ったこと、そのすべてが“あなたの軸”を育ててくれます。
自分にフィットする企業を、自分の頭で、心で、探していきましょう。
応援しています!