若手時代の人づき合い

歳を重ねると時折、時間の速さにおののくことがありますが、今年も半分が終わりました。4月に入社し、新入社員研修を終え配属先の職場や仕事にも慣れてきたことではないでしょうか。

少し環境に慣れてきた頃から発生するのが他者との関係性における悩みです。自分が置かれた環境にどうしても馬が合わない人の存在を認知し始めるのです。実はこの手の悩みを抱え苦しむ新人や若手社員は少なくないのです。

あくまでも個人の意見ですが、「人は人生で出会うすべての他者と善い関係性を築くことはできない」のだと思います。ですから、残念なことではありますが、職場に苦手な方がいることもあり得るのです。

ただし職場では、人を好き嫌いで判断する場所ではないことを理解しておくことが大切です。基本的に職場では、共通の目的を持った人々がそれぞれに役割を通して、その目的を果たす協働する組織体です。最も大切なのは、理念や目的を共有できている仲間であることです。その次が、その仲間と共に協働する意思があることです。そこには相互依存が働くようになるのではないでしょうか。

ビジネスパーソンにも一流と言われる人がいれば、三流の人もいます。三流の共通点のひとつがこの好き嫌いで他者を判断するのです。一方で一流の人は自分の好みを判断基準にすることは殆どありません。組織やチームの成果、顧客の利益を最優先されています。

それでも、どうしても馬が合わない上司や先輩が近くにいて、どうしたらいいのかと思い悩んでいる方には、20代後半の頃に傾聴について学んだのですが、そのときに触れたカウンセリングの神様って呼ばれている人の話を紹介します。

カール・ロジャースというアメリカの心理学者が説いた「2:7:1の法則」という、人間関係の法則というのがあります。例えばあなたの職場に10人の仲間がいれば、2人は気の合う人で、7人は普通に問題のない人、残った1人は気が合わない人になるというものです。

この法則はカウンセリングの相談現場で導き出されたものらしくて、相談者に説明したり助言したりする場合に、10人のうち2人は無条件に考えを受け入れ、7人は説明によって受け入れたり受け入れなかったりで、残りの1人はどんなに説明しても賛同しないのです。相談員は7人の相談者に賛同してもらうために努力をすることが重要になります。決して賛同しない1人に対しては、どんなに努力しても賛同を得ることができないと結論づけています。

このような相談者に対しては、「どんなに説明しても受け入れられない人だ」と考えて、ほどほどの対応にしておくべきだと説いています。これは、いい加減に扱うとか、手抜きをするとかではなく、すでにある程度努力はしているのだから、打ち切ると考えても仕方がないのだと言っているのです。

だらだらと引きずっても得られるものは何もないのです。それどころか、精神的にマイナスの影響を受けてしまう恐れがあります。1人のために多くのエネルギーを注ぎ込むことは損失であり、そんなエネルギーがあるのなら別の相談者への対応にエネルギーを注ぐべきというのが、ロジャースが長年のカウンセリング現場で導き出した法則です。

つまり、「この世の中には、どんなに努力をしても賛同しない1人が存在する」。そう思った方も気持ちが楽になることがあのではないかと思っています。

努力しても、頑張っても報われないと感じる人間関係もあると考えることで、自分を必要としてくれている人のためには時間を割く方が建設的で、精神衛生上もそうする方がいいと思うのです。

万人から愛される人生を送ることができたら、それは素晴らしいことですが、自これまでの人生を振り返ってみると、私には現実的に実現できるモノとは思えません。ですので、若手社員時代は、存分に力を尽くせる環境では、いつでも、どこでも、誰とでも、全力投球でやり切る姿勢と態度を善として歩むことをお勧めします。

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