企業研究の「見えない部分」に注目していますか?
就職活動において、「企業研究」は志望動機や面接準備に欠かせないプロセスです。しかし、その中で見落とされがちなのが、“制度として明文化されていること”と“実際に現場で働く中で自然と守られている暗黙のルール”の違いです。
企業ホームページには、評価制度や研修制度、働き方改革など、制度として明記された内容がずらりと並びます。一方で、現場では「公式ルールとは別に、こう動くのが当たり前」とされているような“見えない空気”が存在していることも少なくありません。
この“見えない部分”を知らずに入社すると、「思っていたのと違った」「評価されない」「他部署が非協力的に見える」といったリアリティショックに直面しやすくなります。
この記事では、26卒・27卒の就活生に向けて、企業研究の際に注目すべき“制度と暗黙ルールの違い”を知るためのヒントと工夫をお伝えします。
明文化された制度と、暗黙のルールの違い
企業には、以下の2つのレイヤーのルールが存在します。
① 明文化された制度・仕組み
これには、人事評価制度、キャリアパス、勤務体系、福利厚生、フレックスタイム制度などが含まれます。企業パンフレットや採用ページ、説明会などで詳しく説明されることが多く、就活生が企業研究で触れやすい情報です。
これらは「あるか・ないか」「どんな仕組みか」が比較的分かりやすく、就活生もチェックリストのように確認できます。
② 明文化されていない暗黙のルール
一方で、実際に入社してみなければ見えない“空気”や“慣習”が存在します。たとえば以下のようなものです。
• 会議では役職の高い人が話すまで発言しづらい
• 定時退社OKとは書いてあるが、実際はほとんどの社員が残業している
• OJT担当者によって新入社員の扱いにばらつきがある
• チーム間で協力体制が取れていないが、表には出ていない
これらは「制度としては存在しないが、現場では“常識”とされている動き」であり、誰も明言していないために、入社後のギャップが大きくなりやすいポイントです。
【制度と暗黙ルールの違いと影響】
制度(明文化) → 公式な資料や説明で確認可能
暗黙ルール → 実際に働く人の話や雰囲気から読み取る必要あり
【ギャップがあると起きやすいこと】
・自分だけ浮いてしまう
・期待通りの働きができず評価が下がる
・他部署や先輩社員とのすれ違いが増える
・リアリティショックでモチベーションが低下する
リアリティショックの原因になる「見落とし」
企業研究で公式資料や制度ばかりをチェックしても、「なぜか思ったように評価されない」「他部署の人が冷たい」といった問題が生まれる背景には、暗黙の価値観・ルールの見落としがあります。
実際に、入社後3ヶ月以内に感じるリアリティショックの要因は、次のような声に現れています。
• 「制度としてはOJTと書いてあったけど、実際は放任型で誰も教えてくれなかった」
• 「“風通しが良い”と書いてあったが、実際は上司に意見を言いづらかった」
• 「チームで動くと聞いていたけれど、部署間は壁があって連携しづらい」
これらは企業が嘘をついていたわけではなく、制度だけでは伝わらない“職場の文化”の影響です。
学生でも“暗黙のルール”に気づく方法はあるのか?
結論から言えば、100%は無理でも、ある程度のヒントは得られます。以下に、企業研究の際に“制度と現実のギャップ”を減らすための具体的な方法を紹介します。
① OB・OG訪問では「エピソード」を聞く
「どんな制度がありますか?」ではなく、「どんなふうに上司と話す機会がありますか?」「新人の頃に困ったことは何でしたか?」といった具体的なエピソードを引き出す質問をしてみましょう。
これにより、表には出ていない実態や、制度がどのように運用されているのかが見えてきます。
② SNS・口コミサイトを“批判的に活用する”
就職会議、OpenWork、転職会議などの口コミサイトには、在籍経験者の声が投稿されています。もちろん、個人の主観が含まれるため鵜呑みにするのはNGですが、同じような傾向のコメントが複数見られる場合は、現場の雰囲気を映している可能性が高いです。
③ インターンでの“空気感”をメモに残す
インターンに参加した場合、業務内容だけでなく人の呼び方・態度・会議の雰囲気などを観察し、「ここは公式には書かれていないな」と思ったことを記録しておきましょう。
これは、将来その企業に入社した場合の文化的ギャップを小さくする手がかりになります。
④ 説明会で他の学生の質問に注目する
説明会での質疑応答では、他の就活生の質問にも耳を傾けてみてください。鋭い質問に対する企業側の回答は、その企業がどういうことを重視しているのか、どこまでオープンにしているのかが見えるチャンスです。
【暗黙のルールに近づく方法】
方法 | 得られる情報 | 注意点 |
OB・OG訪問 | 実態とズレを感じた瞬間のエピソード | 質問の仕方がポイント |
口コミサイト | 実際の社風、裏側の評価 | 偏った意見を見抜く力が必要 |
インターン観察 | 空気感・非言語情報 | 比較対象があると◎ |
説明会の質疑応答 | 会社の透明度、傾向 | 他人の質問にも注目 |
おわりに|企業研究は“見えること”だけでは足りない
制度や仕組みの整備された企業は魅力的に映りますが、現場でどう運用されているか、どんな文化があるのかを読み取ろうとする姿勢こそが、リアリティショックを防ぎ、自分らしく働くためのヒントになります。
26卒・27卒の皆さんへ。企業の“顔”だけではなく、“内面”にも目を向けてみてください。それは簡単なことではありませんが、だからこそ、あなたの企業研究は他の就活生よりも一歩深くなり、納得のいく選択につながるはずです。
“情報を得る力”と“見抜く力”を身につけ、後悔しないキャリアの第一歩を踏み出しましょう。
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