面接する側の視点

少子化、人手不足などの背景から新卒採用に意欲的な企業が規模の大小に関わらず巻き起こっています。それでも「来てくれるのなら誰でもいい」とはいかず、「優秀な学生に来てほしい」というのが企業側の本音です。「優秀」の定義は企業によって異なりますが、学業よりも重要視されているのは「自社の文化に合うか」なのです。つまり、IQ周りが高いことよりも、自社に馴染み一緒に働いて互いに愉しむことができる人ってイメージです。

少し脱線しますが、あえて「愉」を使いましたが、「楽しい」と「愉しい」の違いについて触れておきます。まず「楽しい」は、私たちが持つ基本的な感情の一つです。喜怒哀楽は「喜び」「怒り」「哀しみ」「楽しみ」を意味します。場合によって「喜び」は「慶び、歓び、悦び」と、「哀しみ」は「悲しみ」といったように文字を使い分けます。「楽しみ」も「愉しみ」と使い分けます。

「楽しい」は「職場で楽しく過ごす」のように、既に存在するものや与えられたものに対して使われます。一方で「愉」の字を使うと、自分の感情や気持ちで感じる意味合いが強くなり、自分の意識や感情次第でコントロールできるものと捉えることができます。

実は、「仕事/働くことが楽しい」と感じる人は、自分お意識や感情を上手くコントロール(セルフ・マネジメント)できていたり、独自の哲学をもっていることで、「楽しい」が「愉しい」に自然と昇華させていると考えられています。

話を戻します。愉しめる人とは、主体性が高く自己認識が高い方が多い傾向にあります。そのようなメンバー集まる職場で互いに協働しますので、職場は風通しが良く、雰囲気も良くなり、場が活性化するのです。そういう環境がベースとなり成果や業績向上につながっていくのです。

そこで選考時には「自社の文化に合うか」を丁寧かつ慎重に吟味するのです。

他にも、ESだけでは応募者の本質を知る/理解することはできません。そこで面接管は「エネルギー、知能、パーソナリティ」の3点を注視する傾向にあります。

まず、エネルギーでは、タスクへの(目標設定・計画立案・進捗管理・目標達成)の完遂能力を指します。加えて、対人関係へのエネルギー(積極性・主体性・共感性など)をチェックするのです。

たとえば、「これまでにやり遂げたのは、どのようなことですか?」、「周囲の人をどのように巻き込みましたか?」「うまくいかなかったことはありますか? どのようにすればよかったですか?」といった質問を使うことのです。

これまでの振り返りと反省を「具体的なエピソード」として話すといいでしょう。木業を設定し、計画を立て、進捗を管理し、目標を達成する。PDCAサイクルを回していくことは業務遂行の基本となりますので、学生生活でPDCAサイクルを主体的に回した経験や、そこでリーダーシップを発揮した経験者は、ほとんどの企業で「自社の文化に合う」ポイントが付くはずです。

次に知能については、仕事をするうえで大事と言われている「概念知能」と「感情知能」をチェックする傾向があります。概念知能とは、物事を構造的に理解し、それをわかりやすく伝える能力です。自分の思いや考えはもちろん、相手に訊かれたことを的確に理解し、問いに対して的を射た答えができるかどうか。概念知能は、優先順位をつけて仕事を段取りよく進めるタスクマネジメントにつながります。

面接時の質問例としては、「仕事をする上で会社に求めるものを3つ教えていただけますか?」といったように、要点を幾つかのポイントにまとめ、わかりやすく伝えることが求められるような質問です。

自分自身が仕事をする上で会社に求めるものを3つにまとめ的確に伝えることができたら、概念知能があると判断されるでしょう。ただし、3つにまとめて的確につたえることができたとしても、自社で提供が難しい内容が含まれていたら、残念ながら採用を見送られる可能性が高くなりますので、この点においても、事前の企業研究をしっかり行っておくことが必須であることが理解できると思います。

次に感情能力とは、人の気持ちがわかる能力です。相手の気持ちを理解し(あるいは理解しようと努め)、それに対して適切な言動が取れるかどうかがチェックポイントです。観情報力は、人を巻き込んだり、育てたりするヒューマンマネジメントにつながります。

たとえば、「周囲の人は、あなたのことをどんな人だと言っていますか?」といった質問になります。

自分自身について客観的かつ具体的に答えると、一定の感情能力があると判断されます。しかし「優しい人と言われます」のような曖昧な一言で返すと、具体的な説明がなかったことで感情能力があるとは判断できないと評価されてしまう可能性が高くなります。

3つめのパーソナリティとは、性格的特徴や行動傾向性を指します。パーソナリティは、生まれつき備わっている性格や素質に加え、家族や生活環境、周囲との人間関係など、本人の成長過程でしだいに形成されるものと考えられています。そのため、人によって考え方や行動に異なる特徴や傾向があらわるのです。

たとえば、周囲に気を使う人⇔週に惑わされずに行動する人、物事をすぐに決める人⇔決めるまでに慎重に行動する人、準備万端が好きな人⇔アドリブ好きな人、人と一緒にいたい人⇔一人で黙々と行動したい人など、上げればキリがありません。

どちらが正しい・間違っているということではありません。ですが、自社の仕事や社風文化に「合う・合わない」に直結するものであるために、企業では重要視している項目です。

たとえば、チームプレイを重視する企業なら「周囲に気を使う人」を採用するでしょう。逆に主体的に動くことを重視する組織では「優位に惑わされずに行動する人」を採用するのです。つまり、職種や仕事内容、企業文化によって、採用する人材のパーソナリティは異なることを理解しておくことが必要です。これは、企業とあなたのマッチ度につながる就活生にとっても大事な項目です。ズバリお伝えしますと、その経緯はどうであれ、ミスマッチはやがて離職への結末を迎えます。それはとても残念なことですし、気の毒なことだと考えています。そんな結果を招くことは企業にとっても社員にとっても不幸でしかないのです。ですから、この点はゆめゆめ忘れないでいただきたいと思います。

採用担当さんもパーソナリティについては、細心の注意を払って面接を行っています。それでもパーソナリティの判定は非常に難しいのが実情です。実は面接では、学生も採用されたい!の思いも強い程にパーソナリティを演じることが少なくないのです。そこでSPIなどの適性検査を活用するのですが、これも参考資料的なものにしかなりません。

一般的には面接による主観的な判断の妥当性は2割程度で、適性検査の妥当性はその時点にでは7割くらいですが、長期的には4割くらい(人の環境などによって変化していくので妥当性が下がる)、の確率で出力できるとされています。ですので、企業から求められていなくても、SPIなどの適性検査をできれば複数受けておき、自分分析の参考として把握しておくことがいいでしょう。また、お互いの不幸をつくり出さないためにも「選考は真摯さ」をベースに臨むことをお勧めします。 今週末、ラーニングカフェ(無料)で「実践的な面接対策」を行います。詳細・お申し込みはコチラからご確認ください。ご参加を心よりお待ちしています。

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