一行を、条件に変えていく
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就職活動の支援をおこなっている【あおラボ】です。
先週で、自己分析の作業は終わった。手元には、自分の型を言い切った一行があるはずだ。
今週は、最終週になる。ここからは、その一行を使う週だ。企業をどう探すか、ESにどう書くか、面接でどう語るか。順に扱っていく。
今日やるのは、一行を条件に変える作業だ。先月から何度も書いてきたとおり、順番は自分が先で企業が後になる。ようやく、その後ろ側に入っていく。
Chapter 1 なぜ、条件に変える必要があるのか
まずは、理由を確かめたい。一行があるなら、そのまま企業を探せばいいのではないか。そう思うかもしれない。けれど、あいだに1つ工程が必要になる。この章では、その理由を4つに分けて書いていく。
1-1 強みの言葉では、企業を検索できない
いちばん実務的な理由が、これだ。強みの言葉は、検索に使えない。
就活サイトの検索欄を思い出してほしい。並んでいるのは、業界、職種、勤務地、従業員数といった項目だ。自由に言葉を打ちこめる欄もあるが、そこに「相手に合わせて伝えられる」と入れても、結果は0件になる。企業の情報は、企業の側の言葉で整理されているからだ。だから、自分の強みを企業側の言葉に翻訳する必要がある。翻訳したものが、条件になる。条件になれば、検索欄に入れられる。この工程を飛ばすと、一行はあるのに企業が探せないという状態になってしまう。実際、ここで止まってしまう学生を毎年見ている。
一行を、探せる言葉に変えてほしい。翻訳しないと、使えないままになる。
1-2 条件がないと、また知名度で選んでしまう
2つ目は、9月の連載で書いたことにつながる。比べる物差しの話だ。
条件がないまま企業を並べると、どの会社も似て見える。試しに、知らない会社のページを3社開いてみてほしい。たいてい、同じようなことが書かれている。人を大切にする。挑戦を歓迎する。若いうちから成長できる。これでは区別がつかない。そして区別がつかないと、最後は名前を知っているかどうかで決めてしまう。これが、いちばん避けたい形だった。条件があれば、同じページを読んでも見え方が変わる。「この会社は、自分の条件のうち2つを満たしている」と判断できるようになる。同じ文章なのに、読み取れる情報が増えるのだ。
条件を、比べる物差しにしてほしい。物差しがあれば、情報が増えても迷わない。
1-3 条件は、そのまま志望動機になる
3つ目は、先の工程につながる話になる。条件は、志望動機の骨格そのものだ。
条件が3つあって、ある会社がそのうち3つとも満たしているとする。このとき、志望動機はもう書けている状態にある。文にしてみたい。「私は、調べたことを人に伝えるときに力が出ます。そのためには、調べる時間と、専門外の相手がいることが必要だと考えています。御社の○○という業務には、その両方が揃っていると感じました」。これで成立する。9月の連載で、志望動機を探しに行かないでほしいと書いた。条件をつくるということは、志望動機の材料を先につくっておくことでもある。
条件をつくることが、志望動機をつくることだと考えてほしい。あとで探さなくて済む。
1-4 入社後の判断にも、使える
4つ目は、少し先の話をしておきたい。条件は、働き始めてからも使える。
就職した先で、配属や異動がある。希望どおりにならないこともある。そのとき、条件を持っている人は「この仕事は自分の条件にいくつ合っているか」を自分で判断できる。合っていなければ、どこを近づけられるかを考えられる。先週扱ったコンピテンシーの話でいえば、自分の強みが発揮されやすい状況を自らつくるという部分にあたる。一方、条件を知らない人は、与えられた環境に合わせるしかない。この差は、3年後5年後に大きくなっていく。希望の部署に行けなかったときの受け止め方も、変わってくる。
条件を、長く使う道具だと考えてほしい。就職してからも、判断の基準になる。

Chapter 2 条件の、つくり方
理由がわかったところで、実際につくりたい。この章では、条件をつくる手順を4つに分けてお伝えする。30分ほどで終わる作業だ。
2-1 「何があれば、この力が出るか」と問う
つくり方は、1つの問いから始まる。自分の一行に対して、こう問いかける。
「この力が出るには、何があればいいか」。具体的にやってみたい。「調べて整理したことを、相手に合わせて伝えられる」が一行だとする。何が必要だろうか。まず、調べる時間が確保されていること。次に、伝える相手がいること。そして、その相手が専門外であること。3つ出てきた。問いを1つ投げるだけで、条件は自然に並ぶ。むずかしく考えなくていい。自分がうまくいったときの状況を思い出せば、そこに条件が揃っていたはずだ。逆に、うまくいかなかった場面を思い出すと、条件が欠けていたことがわかる。
一行に、この問いを投げてほしい。「何があれば出るか」。これだけで並ぶ。
2-2 先週書いた、区分の外側も足す
次に、先週別のページに書いたものを足したい。T・C・Lに収まらなかった部分だ。
木曜日に、動機・環境の好み・長く続けたことを書いてもらった。この3つから、条件が出てくる。たとえば「人の役に立ちたい」という動機なら、相手の反応が見える仕事という条件になる。「静かな場所がいい」という好みなら、落ち着いた職場環境が条件だ。ここで、2種類の条件が揃うことになる。能力の条件と、環境の条件である。この両方を持っておくと、判断の精度が上がる。能力だけで選ぶと、仕事は合っているのに職場が合わない、という事態が起きてしまう。実際、業務内容には満足していたのに辞めた方の話を聞くと、こちらが理由だった例が多い。
環境の条件も、2つ足してほしい。能力と環境、両方そろうと精度が上がる。
2-3 条件は、5つまでに絞る
ここで、数の話をしておきたい。条件は、多すぎると機能しない。
欲張ると、10個くらい出てくる。けれど、10個すべてを満たす会社はまず存在しない。そして、すべて満たす会社を探そうとすると、候補がゼロになってしまう。だから、5つまでに絞る。絞り方は、優先順位をつけることだ。これがないと力が出ない、という条件を上に置く。あったほうがいいけれど必須ではないものは、下に置く。そして、上から3つが満たされていれば十分な候補とみなす。実際、4つ以上揃う会社はかなり少ない。20社並べて、4つ揃うのが1社か2社というところだ。完璧を求めると、どこにも行けなくなってしまう。
条件を、5つまでに絞ってほしい。上から3つ満たせば、十分な候補になる。
2-4 条件を、企業側の言葉に直す
最後に、翻訳の作業をしたい。自分の言葉を、企業の情報に出てくる言葉に直す。
対応表をつくると早い。「調べる時間が確保されている」は、企業側では「企画」「分析」「開発」「調査」といった業務名になる。「伝える相手がいる」は、「顧客対応」「提案」「指導」「説明」だ。「若手にも任せる」は、「少人数」「裁量」「早期から実務」といった表現で書かれていることが多い。この翻訳をしておくと、募集ページを読むときに引っかかるようになる。自分の条件に関わる言葉が、文章の中から浮き上がって見えてくる。知らない言葉は、そのまま通り過ぎてしまうものだ。読む前に対応表をつくるかどうかで、同じ5分の価値が変わる。
条件を、企業側の言葉に直してほしい。直すと、情報が目に入るようになる。
Chapter 3 条件で、探してみる
条件が揃ったら、探しに行きたい。この章では、探す手順を4つに分けてお伝えする。9月の連載で扱った情報の入口を、ここで使う。
3-1 業界から入らない
探すときの原則を、先に確認しておきたい。業界名から入らないでほしい。
9月の連載で書いたとおり、業界という区切りは粗い。同じメーカーでも、営業と技術と管理では、日々やっていることが違う。朝から晩まで取引先を回る人と、実験室で数字を見ている人が、同じ会社にいる。だから、業界で絞ると自分に合う仕事を見落とすことになる。代わりに使うのは、仕事の中身だ。「調べて提案する仕事」で探すと、候補は業界をまたいで広がる。メーカーにも、金融にも、医療にも、行政にもある。この探し方のほうが、条件に合う会社にたどり着ける。明日、この見方を詳しく扱う。
業界ではなく、仕事の中身で探してほしい。業界をまたいで、候補が出てくる。
3-2 就活サイトは、職種で絞る
実際の操作の話をしておきたい。就活サイトを使うときは、職種から入る。
手順は単純だ。業界の欄は、いったん「すべて」にしておく。そのうえで、職種の欄で条件に合うものを選ぶ。企画、営業、技術、人事、総務。サイトによって区分は違うが、たいてい職種での絞りこみがある。これで検索すると、思っていなかった業界が出てくる。9月の連載で、知らない企業のなかに良い会社があると書いた。この探し方をすると、その会社に出会える。逆に、知っている会社から探すと、知っている範囲しか出てこない。検索の入口が、見える範囲を決めてしまう。職種で絞ると、社名を1つも知らない候補が並ぶこともある。
職種の欄から、絞りこんでほしい。業界は、いったん開けておくのがいい。
3-3 県内の企業は、別に調べる
もう1つ、お伝えしておきたいことがある。地元の企業は、別のルートで探してほしい。
9月の連載でも書いたが、地方の中小企業は就活サイトに載せず、自社のサイトだけで募集していることが少なくない。掲載には費用がかかるからだ。だから、サイト検索だけでは出てこない。使うルートは3つある。1つは、大学のキャリアセンター。大学に直接届く求人がある。2つ目は、地元の経済団体や自治体の就職支援サイト。3つ目は、あおラボのような、企業と学生をつなぐ場だ。県内で働く可能性を残すなら、こちらのルートを必ず使ってほしい。条件に合う会社が、通学路の途中にあることもある。
地元企業は、キャリアセンターで探してほしい。サイトには載っていない求人がある。
3-4 まずは20社、並べてみる
最後に、今週の目標を決めておきたい。20社を並べることを目指したい。
多すぎず、少なすぎない数だ。条件で絞ると、自然とこのくらいになる。並べ方も決めておく。書くのは、名前と、満たしている条件の数だけでいい。「○○社/条件のうち3つ」。これで十分だ。深く調べる段階は、まだ先になる。今の段階で1社ずつ深く調べると、5社目あたりで力尽きてしまう。広く並べて、あとから絞る。この順番のほうが、確実に早く終わる。並べ終えると、上位がはっきり見えてくるはずだ。20社のうち、条件を3つ以上満たす会社は5社から8社に収まることが多い。そこが、冬のエントリー先の候補になる。
今週のうちに、20社並べてほしい。詳しく調べるのは、絞ってからでいい。

Chapter 4 今日の作業と、今週の流れ
ここまでで、条件のつくり方と探し方は見えたと思う。残りは、今日どこまでやるかの確認になる。今週の予定も、あわせてお伝えしたい。
4-1 今日は、条件を5つ書く
今日の作業は、はっきりしている。条件を5つ、書き出してほしい。
手順は、さきほどのとおりだ。まず一行に「何があれば、この力が出るか」と問う。これで能力の条件が3つほど出る。次に、先週書いた区分の外側から、環境の条件を2つ足す。合わせて5つだ。そして、優先順位をつけて並べ直す。最後に、企業側の言葉に直す。4つの工程で、時間は30分ほど見ておいてほしい。この5つが、今週ずっと使う道具になる。内訳は、問いを投げて10分、環境の条件に5分、優先順位に5分、翻訳に10分というところだ。道具をつくる日なので、使うのは明日からになる。5つが揃えば、今週の残り4日はこれを使うだけだ。
今日、条件を5つ書いてほしい。30分で終わる作業になる。
4-2 新しいページに、まとめて書く
書く場所も決めておきたい。これまでのノートの、新しいページを使ってほしい。
1ページに、4つのものを並べて書く。いちばん上に、先週決めた一行。その下に、条件を5つ。さらに下に、企業側の言葉に直したもの。そして、ページの下半分は空白のまま残しておく。この空白に、これから探す企業名を書き足していく。1ページにまとまっていると、今週ずっとこのページだけを開けば作業ができる。ノートをめくって探す手間がなくなる。小さな工夫に見えるが、続けやすさに関わってくる部分だ。開くまでに手間がかかると、人はやらなくなる。9月の連載で書いた、負荷を下げる工夫と同じ考え方だ。
1ページに、まとめて書いてほしい。今週は、このページだけで作業できる。
4-3 企業探しは、明日から始める
今日は、条件をつくるところまででいい。企業を探すのは、明日からにしてほしい。
理由がある。条件ができた直後に探し始めると、条件が甘くなるのだ。目に留まった会社が良さそうに見えると、「この会社に合わせて条件を広げよう」と考えてしまう。実際、そうやって条件を3つから6つに増やした学生がいた。それでは、条件をつくった意味がなくなってしまう。だから、一晩置いて条件を固めてから探す。この順番を守ってほしい。9月の連載でも、時間を置くと見え方が変わると書いた。一晩寝かせると、甘くした条件に自分で気づくことがある。急がないほうが、結局は早い。
今日は、条件をつくるだけにしてほしい。探すのは、明日からで間に合う。
4-4 今週の5日間の流れ
最後に、今週の予定をお伝えしておきたい。今月の最終週になる。
今日は、条件をつくった。明日は、募集ページから仕事の中身を読み取る方法を扱う。どこを見れば判断できるかの話だ。水曜は、ESに落とす書き方。自己PRとガクチカと志望動機を、順に組み立てる。木曜は、面接での語り方。短く答える練習と、深掘りへの備えを扱う。そして金曜に、10月の総まとめをする。水曜はESに落とす書き方で、自己PRとガクチカと志望動機を順に組み立てる。木曜は面接での語り方だ。金曜は、10月22日分を通した振り返りにあてる。今月ずっと自分の内側を掘ってきたが、今週は外へ向かう週になる。
今週の流れを、頭に入れておいてほしい。最後の5日間になる。
今日のまとめ
一行があっても、そのままでは企業を探せない。就活サイトの検索欄は、業界や職種という企業側の言葉でできているからだ。自分の言葉を、そちらの言葉に翻訳する必要がある。
翻訳しないまま企業を並べると、どのページにも似たことが書かれていて区別がつかない。人を大切にする、挑戦を歓迎する、若いうちから成長できる。そして最後は、名前を知っているかどうかで決めてしまう。
つくり方は、一行に問いを投げるだけだ。その力が出るために何が必要かを考える。ここに、先週書いた動機や環境の好みを足す。能力の条件と環境の条件、2種類が揃う形にしたい。
数は5つまでに絞る。10個すべてを満たす会社は存在しないからだ。優先順位をつけて、上から3つ満たされていれば候補とみなす。
探すときは、業界を開けて職種で絞る。地元企業は、キャリアセンターや自治体のサイトなど別のルートで探す。今週のうちに20社を並べたい。
明日は、業界ではなく仕事の中身で見る方法を扱う。見方が変わると、候補も変わってくる。一緒に見ていこう。
条件は、企業を絞るためだけでなく、働き始めてからも使う道具になると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。
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