数字が、いつも正しいとは限らない
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就職活動の支援をおこなっている【あおラボ】です。
今週は、書き出した動詞をT・C・Lに分けて読み解いてきた。型は、仮に決まっただろうか。
ところで、こういう人がいると思う。「数ではTがいちばん多いのに、どうもしっくりこない」。あるいは「Cが多いと出たけれど、人と話すのは得意ではないと思っていた」。
この違和感は、無視しないでほしい。数字は手がかりだが、答えそのものではない。今日は、数と実感がずれたときの判断を扱いたい。
Chapter 13 なぜ、数と実感がずれるのか
まずは、ずれる理由を知っておきたい。原因がわかれば、どう読み直せばよいかも見えてくる。この章では、4つの原因を挙げていく。どれも、よく起こることだ。
13-1 書きやすい動詞が、多く出てしまう
いちばん多い原因が、これだ。思い出しやすいものに数が寄ってしまう。
理由は、作業の回数にある。レポートを書くとき、「調べる」という動きは何度も繰り返される。資料を探し、比べ、また探す。だから記憶に強く残り、動詞としても何度も出てくる。一方、Cに入る動きはどうだろうか。相手の表情を見て話す速さを変えた。質問される前に、先に説明を足した。こうした動きは一瞬で終わり、意識もしていない。だから記憶に残らず、書き出しにも上がらない。実際に数えると、Tの動詞は似たものが4つ5つ並ぶのに、Cの動詞は1つしか出ていない人がいる。つまり、数の多さは「思い出しやすさの多さ」でもある。ここを割り引いて見る必要がある。
数の多さを、そのまま信じないでほしい。思い出しやすいものに、数は寄りやすい。
13-2 最近の経験に、数が寄る
2つ目は、時期の偏りになる。直近のことが、多く出てしまうという問題だ。
書き出したとき、まず浮かんだのは最近の経験だったと思う。今年のアルバイト、いま受けている授業、夏のインターン。これらは記憶が鮮明なので、動詞も細かく出る。一方、大学1年のころの経験は輪郭がぼやけていて、せいぜい2つか3つしか出てこない。けれど、本当の傾向は長い期間で見るべきものだ。1年生から3年生まで、ずっと同じ動きをしているなら、それは環境ではなく自分の側にあるものになる。だから、時期ごとに動詞が散らばっているかを確かめてほしい。偏っていたら、古い時期を掘り直す価値がある。
時期の偏りを、確かめてほしい。長く続いている動きのほうが、確かな傾向になる。
13-3 「できること」が混ざっている
3つ目は、先週扱った話に戻る。できることと強みが、混ざっている場合だ。
書き出すとき、「やってうまくいったこと」を手がかりにしてもらった。ところが、うまくいったことの中には、無理をして達成したものも混ざる。たとえば、人前で話すのが苦手なのに、何度も練習して発表を乗り切った学生がいる。結果は出た。けれど、終わったあとに残ったのは疲れだけだった。これは、うまくいった経験ではあるが強みではない。先週書いたとおり、見分け方は疲れるかどうかだ。数の多い区分を見たとき、その動詞を使っている自分が消耗していないかを確かめてほしい。
数の多い区分の動詞を、疲れるかどうかで見直してほしい。消耗するものは、外していい。
13-4 他人の期待が、混ざっている
4つ目は、少し根の深い原因になる。自分の言葉ではないものが入っている場合だ。
「協調性がある」「リーダーシップがある」。こうした言葉は、就活の場で何度も目にする。説明会でも、就活サイトでも出てくる。そのため、自分でも気づかないうちに、そちらに寄せて書いてしまうことがある。先週、人に見せる前提で書かないでほしいと書いたのは、この理由による。もし「しっくりこない」と感じる動詞があるなら、それは他人の期待に合わせたものかもしれない。印をつけて、保留にしておいてほしい。経験から言うと、しっくりこない感覚はたいてい正確だ。書いた本人が違和感を覚えるものは、面接でも言いにくい。
しっくりこない動詞に、印をつけてほしい。その感覚は、無視しないほうがいい。

Chapter 14 ずれたときは、質で判断する
原因がわかったら、判断の方法に移りたい。数と実感がずれたときは、質を見る。この章では、4つの基準を紹介する。先週つけた印が、ここで役に立つ。
14-1 印のついた動詞の位置を、優先する
最初に見るのは、印の位置だ。これが、いちばん信頼できる手がかりになる。
先週、3種類の印をつけてもらった。感情が強く動いたもの。3回以上くり返し出たもの。好きでしかもうまくいったもの。この3つのうち、とくに3つ目が重要になる。理由は定義にある。先週扱ったコンピテンシーは、どんな状況でも一定以上の成果を出せる型だった。「好きで、しかも手ごたえがあった」という条件は、この定義にいちばん近い。だから、数ではTが最多でも、この印がCに集まっているなら、中心はCだと読んでいい。数は量を示し、印は質を示す。ずれたときは、質を取ってほしい。
印の位置を、数より優先してほしい。質のほうが、本当の傾向を示している。
14-2 いちばん古い記憶を、確かめる
次の基準は、時間の長さになる。古くから続いているものを探してほしい。
高校時代、あるいはもっと前から同じことをしているなら、それは根の深い動きだ。「小学生のころから、人に教えるのが好きだった」。こういうものは、小学校、中学校、高校、大学と環境が4回変わっているのに続いている。環境のせいではないことが、それだけで証明されている。先週扱った3つの円でいえば、中心に近い部分にあたる。逆に、最近始めたことは、まだ根が浅い。もちろん、新しい強みが育つこともある。ただ、ずれて迷ったときは古いほうを信じたほうが確かだ。半年続いたことと10年続いたことでは、根の深さが違う。
いちばん古い記憶を、1つ思い出してほしい。長く続いているものを、信じていい。
14-3 人からの評価と、照らし合わせる
3つ目は、外からの確認になる。自分の判断だけでは、どうしても限界がある。
先週、2人以上に聞いてみてほしいと書いた。聞いていない人は、今日でも間に合う。質問は2つでいい。「私って、どういうときが生き生きしてる」。「私に何か頼むとしたら、何を頼む」。返ってきた答えを、T・C・Lのどれかに振り分けてみてほしい。「調べものを頼む」ならT、「相談を聞いてもらう」ならC、「段取りを任せる」ならLだ。自分の数と一致していれば裏づけになる。ずれていたら、他人の見方のほうが正しいことが多い。2人以上に聞くのは、1人だとその人との関係に寄るからだ。
人からの言葉を、T・C・Lに振り分けてほしい。一致すれば裏づけ、ずれれば発見になる。
14-4 やってみて、確かめる
最後は、もっとも確かな方法になる。実際にやってみることだ。
ずれて判断がつかないなら、試せばいい。Cが本当に中心なのか迷うなら、今週のうちに誰かに声をかけてみる。9月の連載で書いた依頼文を使って、社会人に連絡を取る。あるいは、後輩の相談に乗る時間をつくる。やってみて、疲れたか、充実したかを確かめる。この感覚は、想像では出てこない。実際にその場に身を置かないとわからないものだ。学生のうちは失敗の損が小さいので、試す費用はほとんどかからない。考えて迷っている時間より、動いて確かめる時間のほうが短く済む場面は多い。1回会うだけで、迷いが消えることもある。
迷ったら、小さく試してみてほしい。考えるより、動いたほうが早く決まる。
Chapter 15 数に出にくい強みを、拾う
もう1つ、扱っておきたいことがある。数には出てこないけれど、大事な強みがある。この章では、その拾い方を4つに分けて書いていく。見落としやすい部分だ。
15-1 続ける力は、動詞になりにくい
いちばん見落とされるのが、これだ。続ける力は、動詞として書きにくい。
「続ける」と書いても、何を続けたのかが見えない。だから、書き出しの段階で落ちてしまう。けれど、具体的に挙げてみるとどうだろうか。同じアルバイトを2年半続けた。毎日欠かさず記録をつけた。苦手な授業を最後まで取り切った。これらは、すべて強みにあたる。先週扱ったコンピテンシーの定義でいえば、「どんな状況でも一定以上の成果を出せる」という部分に当てはまる。2年半のあいだには、体調の悪い日もシフトの入りにくい時期もあったはずだ。それでも続いた。これは相当な力である。
長く続けたことを、1つ思い出してほしい。続いた事実そのものが、強みになる。
15-2 人の役に立った実感は、T・C・Lに収まらない
2つ目は、動機に関わる部分になる。何のためにやっているかは、区分に収まらない。
「人の役に立ちたい」「きちんとしたい」「新しいものを見たい」。これらは、T・C・Lのどれでもない。先週扱った3つの円でいえば、中心の価値観にあたる部分だ。けれど、これが志望動機の芯になる。具体例を挙げたい。同じCが多い人でも、「人の役に立ちたい」から関わる人と「話すのが楽しい」から関わる人がいる。前者は福祉や支援の仕事で力が出るが、後者は営業や広報のほうが合うかもしれない。同じ数字でも、動機が違えば向かう先が変わる。だから、自分の動機を1行書いておいてほしい。
自分の動機を、1行書いてほしい。区分に収まらない部分に、芯がある。
15-3 環境の好みも、強みの一部になる
3つ目は、火曜日に少し触れた部分だ。どれにも入らなかった動詞を思い出してほしい。
「体を動かす」「静かな場所にいる」「外に出る」「1人の時間を持つ」。こうしたものは、T・C・Lには収まらない。けれど、働く環境を選ぶときの条件になる。1日中座っているのがつらい人は、それを知っておくべきだ。騒がしい場所で集中できない人も同じである。能力の話ではないが、続けられるかどうかに直結する。実際、仕事そのものは合っていたのに、職場の環境が合わずに辞めてしまう方を何人も見てきた。能力の条件と環境の条件、両方そろって初めて判断できる。どちらか片方だけでは、数年先の自分を守れない。
環境の好みを、3つ書き出してほしい。能力と同じくらい、続けられるかを左右する。
15-4 苦手なことの裏側も、見ておく
最後は、先週も扱った方法になる。苦手なことから、強みを読む。
「急な変更が苦手」なら、段取りを大事にしているということだ。「大勢の前で話すのが苦手」なら、1人ひとりと向き合うほうが力が出るのかもしれない。「細かい確認が苦手」なら、大きな方向を見るのが得意な可能性がある。苦手は、裏返すと特徴になる。ただし、これは自分を慰めるための読み替えではない。実際に、苦手と得意はつながっている。段取りを大事にする人が急な変更に弱いのは、同じ性質の裏表だからだ。だから、苦手を知ることは強みを知ることでもある。慰めではなく、同じ性質を別の角度から見ているだけだ。
苦手を3つ挙げて、裏返してほしい。裏側に、あなたの特徴が見えてくる。

Chapter 16 今日の作業と、明日の予告
最後に、今日やることをお伝えする。明日は今週の仕上げになるので、今日のうちに材料を整えておきたい。
16-1 数と実感が合っているか、確かめる
今日の最初の作業は、確認だ。数で出た型と、自分の実感が合っているかを見てほしい。
合っていれば、それでいい。明日の仕上げに、そのまま進める。合っていなければ、今日扱った4つの基準で見直す。ただ、今日できるのは最初の3つだ。印の位置を見るのは5分で終わる。古い記憶をたどるのは10分あればできる。人に聞くのも、相手がつかまれば5分で済む。4つ目の「やってみて確かめる」は、週末や来週になるだろう。合わせて20分ほどの作業になる。3つのうち2つが同じ方向を示していれば、そちらを信じていい。今日のうちに、違和感の正体を突き止めておいてほしい。
数と実感が合っているかを、確かめてほしい。合っていないなら、質で判断しよう。
16-2 区分に収まらないものを、別に書く
2つ目の作業は、区分の外側を整えることだ。別のページを使ってほしい。
書くのは3つになる。1つ目は、自分の動機を1行。「何のためにやっているか」だ。2つ目は、環境の好み。3つくらい挙げる。3つ目は、長く続けてきたこと。1つでいい。この3つは、T・C・Lの数には出てこないが、来週の企業選びで必ず使う。とくに環境の好みは、入社後に続けられるかを左右する部分だ。全部書いても10分ほどで終わる。型を書いたページと同じところに混ぜず、別に分けておくと見やすい。来週、このページを開くことになる。能力の条件だけで選ぶと、環境が合わずに苦しむことがある。
区分の外側を、別のページに書いてほしい。来週の企業選びで、必ず使うことになる。
16-3 型を、もう一度書き直す
3つ目の作業は、昨日書いた1行の見直しになる。今日の作業を踏まえて、書き直してほしい。
昨日、「私は、○○して、○○できる人です」という形で書いてもらった。今日の確認で、主従が入れ替わることがある。印の位置を見たら、思っていたのと違っていたという場合だ。動詞がもっと正確なものに変わることもある。遠慮なく書き直してほしい。ただし、消すのではなく、下に新しく書き足す形にするといい。昨日の分が残っていれば、どう変わったかが見える。この変化そのものが、理解が深まった証拠になるからだ。明日、この1行を最終の形に仕上げる。何度書き直しても構わない。むしろ、書き直した回数だけ正確になる。
今日の時点の1行を、書き足してほしい。昨日の分も、消さずに残しておこう。
16-4 明日は、今週の仕上げになる
最後に、明日の予告をしておきたい。明日で、今週の作業が完成する。
扱うのは、自分の型を1行で言い切ることだ。今週ずっと仮で進めてきたものを、形にする。内容は3つある。言い切るときの言葉の選び方。避けたい表現。そして、言い切ったあとにどう使うか。とくに避けたい表現については、具体的に挙げる予定だ。就活でよく使われるが伝わらない言い方がいくつかある。今週の総まとめにもなる回になる。たとえば「コミュニケーション力があります」という言い方は、何も伝わらない。こうした例を挙げながら扱う。そして来週は、この1行を持って企業選びに入っていく。
今日の作業を済ませて、明日を迎えてほしい。明日、1行を仕上げることになる。
今日のまとめ
数と実感がずれる原因は4つある。レポートの「調べる」のように回数の多い動きは量が出やすく、相手の表情を見て話す速さを変えたような一瞬の動きは記憶に残らない。これが、いちばん大きな理由だ。
ほかにも、直近の経験に数が寄ること、無理をして達成したことが混ざること、そして就活でよく聞く言葉に自分を寄せてしまうことがある。しっくりこない感覚があれば、それは正確な信号である。
ずれたときに信じるのは、印の位置だ。「好きで、しかも手ごたえがあった」という条件は、コンピテンシーの定義にいちばん近い。ほかに、小学校から続いていることを探す方法、人の言葉を振り分ける方法、そして実際に試す方法がある。
数に出ない強みもある。同じアルバイトを2年半続けた事実。何のためにやっているかという動機。1日中座れるかという環境の好み。そして、苦手の裏側に隠れた特徴だ。
今日の作業は3つ。数と実感が合っているか確かめる。区分の外側を別のページに書く。そして、型の1行を書き足す。合わせて30分ほどで終わる。
明日は、今週の仕上げになる。自分の型を1行で言い切る回だ。一緒に見ていこう。
数字は手がかりであって、答えそのものではないと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。
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