リーダーの言葉が、チームの空気をつくっている。
こんにちは、あなたとあなたの組織の未来を共に創造し、組織の活性化を支援している【あおラボ】です。
「うちのチームは、なんとなく暗い」「ミーティングで意見が出ない」「報告が、いつも遅い」。
こうした悩みを、メンバーの性格や意欲の問題だと考えているリーダーは少なくない。けれど、多くの場合、その原因の一部はリーダー自身の声かけにある。メンバーが変わらないのではない。メンバーが変わりにくい言葉を、リーダーが毎日使っているのかもしれない。
前回(10月16日)は、あいさつ・言葉・態度の凡事徹底をお届けした。今日はそこから一歩進んで、リーダーが日々使う「声かけの言葉」そのものを変える、7つの習慣をお届けする。言葉は習慣だ。意識して変えれば、必ず変わる。
Chapter 21 リーダーの言葉が、チームに与える影響
なぜ、リーダーの声かけが、それほどまでにチームに影響するのか。7つの習慣に入る前に、その理由を確かめておきたい。理由がわかると、言葉を変える意味が腹に落ちる。この章では、言葉と職場の空気の関係を、4つの面から見ていく。
言葉は、職場の「空気」をつくる
職場の空気は、目に見えない。けれど、確かにある。
「ここは話しやすい」「ここでは失敗できない」。こうした感覚は、長い時間をかけてつくられていく。そして、その空気をいちばん強くつくっているのが、リーダーの言葉である。リーダーが「なんでこうなったの?」と責める言葉を使い続けると、「質問されるのが怖い」という空気ができあがる。「どうしたらいいと思う?」という言葉を使い続けると、「考えを聞いてもらえる」という空気ができる。言葉の選び方が、毎日少しずつ職場の空気を塗り替えているのだ。一言一言は小さくても、積み重なると大きな違いになる。
今日、自分がよく使う言葉を3つ書き出してみてほしい。それぞれが、どんな空気をつくっているかを考えてみてほしい。
自分の言葉が「どう届いているか」を想像する
多くのリーダーは、自分の言葉がどう受け取られているかを、実はよく知らない。
「そんな言い方はしていない」と思っていても、メンバーの耳には違って届いていることがある。忙しいときに「今、忙しいから」と一言だけ返す。リーダーにとっては事実を伝えただけでも、メンバーには「相談すると迷惑なんだ」と届いているかもしれない。言葉は、発した側の意図ではなく、受け取った側の感じ方で意味が決まる。だからこそ、自分の言葉が相手にどう届いているかを想像することが大切になる。想像するだけで、言葉の選び方は変わり始める。
今日、メンバーに声をかけた後、相手の表情を一瞬だけ確かめてほしい。表情が曇ったなら、言葉を選び直すきっかけにしてほしい。
言葉を変えるとは、習慣を変えること
言葉は、1日では変わらない。なぜなら、言葉は習慣だからである。
「ありがとう」を言い慣れていない人が、いきなり毎回言うのは難しい。「なんでできないんだ」が口ぐせになっている人が、すぐに「どこで詰まっている?」に言い換えるのも難しい。長い時間をかけて身についた言葉は、同じくらいの時間をかけないと変わらないのだ。だからこそ、「今日は1つの言葉だけを変える」という小さな目標を立ててほしい。一度に全部を変えようとすると、どれも続かなくなってしまう。1つずつ変えていくほうが、結果として早く変わる。
今日紹介する7つの習慣の中から、まず1つだけ選んでほしい。選んだ1つを、2週間続けることから始めてほしい。選んだ言葉は、手帳の最初のページに書いておいてほしい。
【H3】最初は「意識して言う」でかまわない
「意識して言う言葉なんて、本物ではない」。そう感じるリーダーもいるかもしれない。けれど、最初は意識的でかまわない。
スポーツのフォームを思い出してほしい。最初は「肘の角度はこう」「足の位置はここ」と意識しながら体を動かす。何度もくり返すうちに、意識しなくても自然にできるようになる。言葉も同じである。「今日はこの言葉を使ってみよう」と意識することが、やがて無意識に出てくる言葉へと変わっていく。意識して言うことは、偽りではない。新しい習慣を身につけるための、正しい練習なのだ。ぎこちなさは、練習している証拠でもある。
今日、選んだ言葉を、意識して1回使ってほしい。ぎこちなくてもかまわない。使えた日は、手帳に丸をつけておいてほしい。

Chapter 22 今日から使える声かけ習慣(前半)
ここから、具体的な声かけの言葉を、今日から使える形でお伝えする。7つの習慣のうち、この章では前半の4つを紹介する。難しく考えず、「これなら使えそうだ」と思えるものを1つ見つけながら読んでほしい。気に入った言葉は、手帳に書き写しておくといい。
習慣① 「どうしたらいいと思う?」と問いかける
1つ目の習慣は、答えを出す前に「どうしたらいいと思う?」と問いかけることである。
問題が起きたとき、リーダーがすぐに答えを出すと、メンバーは考えなくなっていく。答えは、上から降ってくるものだからだ。「どうしたらいいと思う?」と問いかけると、メンバーは自分の頭で考え始める。最初は「わかりません」と返ってくるかもしれない。それでも、「少し考えて、また聞かせてほしい」と返してほしい。すぐに答えを出さないことで、「ここでは自分で考えていいんだ」という空気がつくられていく。この問いかけについては、次回さらに詳しくお届けする。
次に相談を受けたとき、答える前に一度だけ「どうしたらいいと思う?」と聞いてほしい。答えを出すのは、その後でいい。
習慣② 「それ、どういう考えで?」と理由を聞く
2つ目の習慣は、メンバーの行動や判断に対して、理由を聞くことである。
「なんでそんなことをしたの?」と聞く代わりに、「それ、どういう考えでそうしたの?」と聞いてほしい。似ているようで、まったく違う空気が生まれる。前者は責める問いに聞こえ、後者は理解しようとする問いに聞こえるからだ。理由を聞いてもらえると、メンバーは自分の考えを説明する機会を得る。説明しながら、「なぜそうしたのか」を自分で振り返ることにもなる。理由を聞く習慣は、メンバーの考える力を育てると同時に、リーダーへの信頼もつくっていく。
今週、メンバーの判断に疑問を持ったら、まず「どういう考えで?」と聞いてほしい。結論を言うのは、理由を聞いた後にしてほしい。
習慣③ 「助かった、ありがとう」と具体的に伝える
3つ目の習慣は、感謝を具体的に伝えることである。
「ありがとう」だけでも、言わないよりずっといい。けれど、何が助かったのかを添えると、感謝はさらに深く届く。「早めに報告してくれて、助かった」「あの場でフォローしてくれて、ありがとう」「締め切りより前に出してくれたので、確認に余裕ができた」。具体的に伝えると、メンバーは自分の行動の何が役に立ったのかを知ることができる。知った行動は、またくり返される。具体的な感謝は、メンバーの良い行動を育てる、いちばん確かな方法なのだ。
今日、1つだけ具体的な感謝を言葉にしてほしい。「ありがとう」の前に、何が助かったのかを一言添えてほしい。伝えたときの相手の表情も、覚えておいてほしい。
習慣④ 「大変だったね」と、共感を先に出す
4つ目の習慣は、対策より先に、共感を言葉にすることである。
メンバーが悩みや困りごとを打ち明けてくれたとき、最初に「こうすればよかったのに」「次からはこうして」と対策を口にしていないだろうか。リーダーとしては、早く解決したいという気持ちからの言葉だろう。けれど、メンバーが最初に求めているのは、対策ではなく「わかってもらえた」という感覚であることが多い。「大変だったね」「それは困ったね」と共感を先に伝え、そのあとで対策の話に移ってほしい。順番を入れ替えるだけで、メンバーの「話してよかった」という感覚は大きく変わる。
次に困りごとを打ち明けられたら、最初の一言を「大変だったね」にしてほしい。対策は、その後でゆっくり話せばいい。
【H2】Chapter 23 声かけ習慣(後半)と、続けるためのコツ
前半の4つに続いて、後半の3つの習慣をお伝えする。後半は、話の聞き方と、チームとしての姿勢にかかわる習慣だ。章の最後には、7つの習慣を無理なく身につけていくための進め方もあわせてお伝えする。全部を一度に始める必要はない。
習慣⑤ 「今、話せる?」と、聞く時間を確保する
5つ目の習慣は、話を聞く前に、聞く時間を確保することである。
忙しいリーダーが陥りやすいのが、「ながら聞き」だ。パソコンを見ながら、書類を整理しながら、メンバーの話を聞く。メンバーはその様子を見て、「ちゃんと聞いてもらえていない」と感じる。「今、話せる?」と一言確かめ、手を止めて聞くだけで、メンバーの受け取り方は変わる。短い時間でも、集中して聞くことが相手への敬意になるのだ。どうしても手が離せないときは、「10分後に聞かせてほしい」と伝えればいい。それも、誠実な聞き方の1つである。
今日、話しかけられたら、手を止めて相手のほうを向いてほしい。聞けないときは、聞ける時間を約束してほしい。約束した時間には、自分から声をかけてほしい。
習慣⑥ 「いい視点だね」と、考えを受け止める
6つ目の習慣は、メンバーの意見や考えを、まず受け止めることである。
ミーティングでメンバーが意見を出したとき、「でも、現実的には」「それはもう検討した」とすぐに返していないだろうか。否定される経験が続くと、メンバーは意見を言わなくなる。まず「いい視点だね」「その考えは面白い」と受け止めてほしい。そうすると、「この場では考えを言っていい」という空気が生まれる。すべての意見を採用する必要はない。けれど、「受け止めてもらえた」という経験が、次の発言を生む。採用しない意見でも、出してくれたこと自体には感謝を伝えてほしい。
次のミーティングでは、出てきた意見に、まず「いい視点だね」と返してほしい。検討するのは、その後でいい。
習慣⑦ 「一緒に考えよう」と、姿勢を見せる
7つ目の習慣は、問題が起きたときに「一緒に考えよう」と伝えることである。
「自分で解決してきて」と言うリーダーと、「一緒に考えよう」と言うリーダー。メンバーが感じる安心感は、まったく違う。「一緒に考えよう」という言葉は、「あなたをひとりにしない」というメッセージになるからだ。この一言が、チームに「ここは安心できる場所だ」という感覚をつくっていく。もちろん、いつも代わりに解決する必要はない。一緒に考えながら、メンバー自身が答えにたどり着けるよう支えればいい。問題を一緒に乗り越えた経験は、チームの信頼を深めていく。
次に問題が起きたとき、最初の一言を「一緒に考えよう」にしてほしい。その一言が、チームの安心感をつくる。
7つの習慣は、1つずつ増やしていく
ここまで紹介した7つの習慣を、一度に全部始めようとしなくていい。
まず1つを選び、2週間続けてほしい。自然に口から出るようになったら、次の1つを加える。このペースでいくと、7つすべてが身につくまでには数ヶ月かかるかもしれない。それでいい。言葉の習慣は、急いで身につけると、かえって長続きしない。ゆっくりでも、確実に積み重ねていくほうが、チームには深く届く。10月2日の記事でお伝えした毎週5分の振り返りに、「今週、選んだ言葉を使えたか」を加えておくと、続けやすくなる。
今日、最初の1つを選んで、手帳に書いてほしい。2週間後の日付に「次の習慣へ」と書き込んでおいてほしい。その日が来たら、次の1つを選んでほしい。

Chapter 24 言葉が変わると、チームが変わる
言葉を変えることで、実際に何が変わっていくのか。この連載も、ちょうど折り返しに来た。最後の章では、声かけを変えたチームに起きる変化と、その変化を確かなものにするための工夫を、4つの面からお伝えしたい。
「話してもいい」という空気が生まれる
リーダーの声かけが変わると、最初に変わるのは、メンバーが話してくれる量である。
「大変だったね」と共感してもらえたメンバーは、次も困ったことを言いやすくなる。「一緒に考えよう」と言ってもらえたメンバーは、問題が起きたときに早めに相談してくる。「いい視点だね」と受け止めてもらえたメンバーは、ミーティングでまた意見を出す。「話してもいい」という空気は、こうしてリーダーの言葉から少しずつ生まれていく。話してくれる量が増えると、リーダーに入ってくる情報も増える。結果として、問題を小さいうちに見つけられるようになるのだ。
声かけを変えてから、メンバーが話しかけてくる回数を意識して数えてみてほしい。増えていたら、それが変化のサインである。
声かけの変化は、ゆっくりやってくる
声かけを変えても、すぐにチームが劇的に変わることは少ない。変化は、ゆっくりとやってくる。
「最近、上司が少し変わった気がする」。メンバーがそう感じ始めるのは、多くの場合、2〜4週間ほどたってからだ。そこから少しずつ、メンバーの行動が変わっていく。最初の数週間は、手応えを感じられないかもしれない。けれど、そこでやめてしまうと、変化の手前で止まってしまう。変化が見えない時期こそ、続けることに意味がある。種をまいてすぐに芽が出ないからといって、水やりをやめないのと同じだ。
手応えがなくても、最低4週間は続けてほしい。4週間後の日付に、「声かけの振り返り」と書き込んでおいてほしい。その日に、メンバーの様子の変化を書き出してほしい。
「言葉を変えた日」を記録しておく
今日から声かけを変えるなら、その日付を記録しておいてほしい。
「10月19日から、『どうしたらいいと思う?』を使い始めた」。この1行が、後になって大きな意味を持つ。どれだけ続けてきたかを確かめる材料になるからだ。そして、チームに変化が見えたとき、「あの日から始めたことが、ここにつながったのか」と実感できる。変化の手応えは、始まりの日付があってはじめて感じられる。記録は、自分自身を励ます証拠にもなるのだ。手帳に1行書くだけでいい。その1行が、続ける理由になる。
今日の日付と、選んだ言葉を、手帳に書いてほしい。その下に、使えた日の丸を並べていってほしい。丸が並んでいくこと自体が、続ける励みになる。空いた日があっても、翌日からまた並べればいい。
声かけは「練習できる」技術である
声かけは、生まれつきの性格で決まるものではない。練習すれば、誰でも上手くなる技術である。
明日の朝礼で「どうしたらいいと思う?」を1回使う。今週の1on1では、「大変だったね」を先に言う。今月中に、「一緒に考えよう」を3回使う。このように、具体的な練習の目標を立ててほしい。目標があると、行動に移しやすくなる。うまく言えなかった日があっても、気にしなくていい。練習とは、うまくいかない日を含めて続けることだからだ。言葉は、使った回数だけ自然になっていく。
今日、今週の練習の目標を1つ決めて、手帳に書いてほしい。「いつ」「どこで」「どの言葉を」使うかまで決めておいてほしい。決めておくと、その場面が来たときに自然と口から出てくる。
今日のまとめ
リーダーの一声が、チームの空気をつくっている。言葉は、発した側の意図ではなく、受け取った側の感じ方で意味が決まる。
今日から使える声かけ習慣は7つある。「どうしたらいいと思う?」「どういう考えで?」「助かった、ありがとう」「大変だったね」「今、話せる?」「いい視点だね」「一緒に考えよう」だ。
7つを一度に始める必要はない。1つを選び、2週間続け、自然になったら次を加えてほしい。最初は意識して言うことでかまわない。
声かけの変化は、ゆっくりやってくる。手応えがなくても、最低4週間は続けてほしい。言葉を変えた日を記録しておくと、続ける力になる。
次回(10月23日)は、今日の習慣①をさらに深め、メンバーが自ら動き出す「問いかけ」の練習方法をお届けする。一緒に見ていきたい。
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