自分の型を、一行で言えるか

言い切らないと、使えない

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就職活動の支援をおこなっている【あおラボ】です。

月曜から木曜まで、50個の動詞を分けて読み解いてきた。今週は今日で終わりになる。

今日やるのは、仕上げだ。自分の型を、一行で言い切る。

ここで止まる学生が、とても多い。「まだ自信がない」「もう少し考えてから」。その気持ちはよくわかる。けれど、言い切らないと使えない。今日は、言い切るための具体的な方法を書いていきたい。

Chapter 17 なぜ、一行にする必要があるのか

まずは、理由を確かめておきたい。なぜ、わざわざ一行にまとめるのか。長く説明してはいけないのか。この章では、4つの理由を挙げていく。

17-1 一行がないと、毎回ぶれる

いちばん大きな理由が、これだ。一行が決まっていないと、言うことが毎回変わる。

ここで知っておいてほしいのは、面接の仕組みだ。多くの会社では、1次と2次で面接官が違う。そして、1次の評価メモが2次の面接官に引き継がれる。つまり、1次で言ったことと2次で言ったことが、並べて読まれることになる。本人は同じつもりでも、言葉が変われば別の話に聞こえてしまう。「1次ではこう言っていたようですが」と確認されることもある。一行が決まっていれば、どこで何を聞かれても同じ話に戻れる。先週書いたとおり、軸があると説明がつながる。その軸が、この一行にあたる。3回面接がある会社なら、3回とも同じ話に戻れることになる。

一行を決めてほしい。決まっていないと、毎回ぶれてしまう。

17-2 短くすると、本当に大事な部分が残る

もう1つ、一行にする作業そのものに意味がある。削ると、残るものがはっきりする。

今月の流れを振り返ってみたい。動詞を50個書き出し、それをT・C・Lの3文字にして、今日はさらに一行にする。50個から1行だ。この過程で、何度も捨てることになる。そして、捨てるときに人は迷う。「これも大事なのに」と思う。けれど、迷った末に残したものが、本当に大事な部分である。全部を抱えていると、どれが中心なのかわからない。削ることは、捨てることではなく、中心を決める作業だと考えてほしい。50個のうち49個を外すことになるが、外した49個は面接で話す材料として残る。

削って残ったものを、見てほしい。迷った末に残したものが、中心になる。

17-3 相手が、覚えられる長さになる

3つ目は、聞く側の事情になる。人が覚えられる量には限りがある。

面接官は、1日に何人もの学生に会う。1人30分としても、午前に4人、午後に5人という日がある。夕方になると、どの学生が何を言ったかが混ざってくる。これは、面接官の能力の問題ではない。人間の記憶の限界である。そのとき残るのは、短くて具体的な一行だけだ。「調べたことを、相手に合わせて伝えられる人」。これなら覚えられる。一方、3分かけて丁寧に説明されたことは残らない。内容が悪いからではなく、量が多いからだ。だから、長く話せることと短く言えることは、別に用意する必要がある。来週の木曜に、この2つの長さを扱う予定だ。

覚えてもらえる長さを、意識してほしい。短いほうが、相手の中に残る。

17-4 一行から、全部が展開できる

4つ目は、実用的な利点になる。一行があると、そこから長い話も作れる。

順番が大事だ。長い話を縮めるのではなく、一行を膨らませる。この順で積み上がっていく。一行があれば、そこに経験を足して200字になる。200字があれば、面接で1分話せる。深掘りされたら、そのときの詳細を加えればいい。階段のように、一段ずつ上がる形だ。逆に、長い話から始めると、どこを削ればいいかわからなくなる。だから、一行を先に決める。これは、来週扱うESや面接の準備にも直結する。土台が一行で、その上に積み上げていく。来週の水曜に扱うESの自己PRも、この積み上げの途中にある。

一行を、土台として使ってほしい。縮めるのではなく、膨らませる順番がいい。

Chapter 18 一行の、組み立て方

理由がわかったところで、実際に組み立てたい。この章では、一行をつくる手順を4つに分けてお伝えする。昨日までの材料を、そのまま使っていく。

18-1 形は、決まっている

まず、形を決めてしまいたい。考える余地を減らすと、進みやすくなる。

使う形は、水曜日にお伝えしたものだ。前半に主の動詞、後半に従の動詞を入れる。この形に、自分の動詞を当てはめるだけでいい。形が1つしかないので、どう書くかで悩む時間が生まれない。じつは、ここで時間を使ってしまう学生が多い。「かっこよく書きたい」と考えて、形から考え始めてしまうのだ。けれど、形で工夫する必要はまったくない。読む側は、形ではなく中身を見ている。形を固定して、中身に集中してほしい。実際、形を工夫した一行が評価された例を、私は見たことがない。覚えられるのは、いつも中身のほうである。

この形に、自分の動詞を入れてほしい。形で悩む時間を、なくしてしまおう。

18-2 動詞は、いちばん近いものを選ぶ

次に、入れる動詞を選ぶ。ここが、いちばん時間をかけてほしい部分になる。

選ぶ範囲は、先週の50個だ。その中から、主の区分でいちばん自分に近いものを取る。基準は、印がついているかどうかである。「好きでしかもうまくいった」の印があるものから選んでほしい。候補が複数あれば、何度も出てきたものを取る。そして、必ず口に出してみる。「調べる」より「掘り下げる」のほうがしっくりくるかもしれない。「伝える」より「かみくだく」が近いかもしれない。自分の口から出やすい言葉は、面接でも自然に出てくる。逆に、言いにくい言葉は本番で詰まる。普段使わない言葉を選ぶと、緊張したときに出てこない。

動詞を、口に出して選んでほしい。言いやすい言葉が、いちばん自分に近い。

18-3 避けたい表現が、3つある

形と動詞が決まったら、表現を確認したい。使わないほうがよい言い方が3つある。

1つ目は、「〜力があります」という形だ。「コミュニケーション力があります」と言われても、何ができるのかが伝わらない。動詞で書けば具体的になる。2つ目は、「頑張れます」「努力できます」といった姿勢の言葉である。これは強みではなく、社会人としての前提にあたる。3つ目は、「誰とでも仲良くなれます」のような、程度が大きすぎる表現になる。この手の表現は、掘られると崩れる。「苦手な人はいませんか」と聞かれて、答えに困ることになるからだ。等身大のほうが、かえって信じてもらえる。

この3つの表現を、使わないでほしい。抽象的な言葉は、何も伝えない。

18-4 一行を、声に出して確かめる

最後に、確認の作業をしたい。書いたら、必ず声に出してほしい。

9月の連載でも書いたが、書けることと話せることは別だ。やり方は単純で、書いた一行を見ないで言ってみる。これを3回やる。詰まったら、そこが直すべき場所になる。詰まる理由は2つしかない。言いにくい言葉が入っているか、自分の言葉ではない表現が混ざっているかだ。どちらの場合も、そこだけ入れ替えればいい。時間は5分もかからない。この5分を省くと、せっかくの一行が紙の上だけのものになってしまう。書けたのに言えない、という状態がいちばんもったいない。ESは通ったのに面接で落ちる人の、よくある原因でもある。

書いたら、3回声に出してほしい。詰まるところが、直すべき場所になる。

Chapter 19 言い切ったあと、どう使うか

一行ができたら、次は使い方だ。この章では、来週からの使い道を4つに分けてお伝えする。ここまで来れば、今月の作業はほぼ完成する。

19-1 200字に、膨らませる

最初にやってほしいのは、一行を200字にすることだ。ここは、9月の連載で扱った形を使う。

事実に、意図と変化を足す。水曜日に、主と従の両方が出ている経験を1つ選んでもらった。それを、この形で書く。「○○したくて(意図)、○○した(事実)。その結果、○○が変わった(変化)」。一行があるので、ゼロから考える必要はない。時間は30分ほどで済む。この200字が、ESの自己PRの下書きになる。そして面接では、1分弱で話せる長さになる。1つつくっておけば、企業が変わっても使い回せる。変えるのは、来週の水曜に扱う志望動機の部分だけになる。

一行を、200字に膨らませてほしい。9月に扱った型を、そのまま使えばいい。

19-2 企業を見る条件に、変える

次に、一行を条件に変換する作業がある。これが、来週の中心になる。

やり方は、一行に問いを投げるだけだ。「この力が出るには、何があればいいか」。たとえば「調べて整理したことを、相手に合わせて伝えられる」が一行なら、こうなる。調べる時間が確保されていること。伝える相手がいること。その相手が専門外であること。3つ出てきた。この3つが、会社を測るときの目盛りになる。何度も書いてきたが、見るのは自分の側が先である。一行から条件を導き、条件で企業を探す。この流れを、来週5日かけて扱っていく。条件が決まると、就活サイトでの探し方まで変わってくる。

一行から、条件を3つ書き出してほしい。来週、その条件で企業を探すことになる。

19-3 面接の深掘りに、備える

3つ目は、面接の準備になる。一行があると、備えやすくなる。

面接官は、一行に対して必ず掘ってくる。来る質問は、だいたい3つに絞られる。「なぜそれが得意だと思うのですか」。「ほかの人と比べて、どこが違いますか」。「それを仕事でどう活かしますか」。この3つは、ほぼ必ず来る。だから、今のうちに答えを1つずつ用意しておく。用意といっても、暗記する必要はない。一度考えておくだけでいい。考えたことがあるかどうかで、当日の落ち着きがまるで違う。先週書いたとおり、掘られても崩れないのは、自分で掘った人だけだ。答えを用意していなくても、材料があれば場で組み立てられる。

3つの質問に、答えを考えてほしい。考えておくだけで、当日が変わる。

19-4 一行は、変わっていい

最後に、大事なことをお伝えしておきたい。この一行は、固定するものではない。

経験が増えれば、言葉は変わる。冬にインターンへ行けば、新しい発見があるだろう。面接で話してみて、相手の反応から気づくこともある。「そこを聞かれるのか」と思った瞬間が、修正の合図になる。そのたびに書き直していい。むしろ、書き直すほど正確になっていく。だから、今日決めた一行が完璧でなくても構わない。大事なのは、いま時点のものがあることだ。何もない状態と、仮でも一行ある状態では、進み方がまったく違う。手元にあるものを直すのは、ゼロから考えるよりずっと軽い作業だ。更新を前提に、今日は決めてしまってほしい。

今日の一行を、仮として決めてほしい。更新は、何度でもしていい。

Chapter 20 今週のまとめと、来週へ

今週も、今日で終わりになる。この章では、今週を振り返り、来週の見通しをお伝えしたい。今月も、あと1週になった。

20-1 今週の5日間を、振り返る

今週たどってきた道筋を、順に並べておきたい。5つの工程を通ってきたことになる。

月曜は、T・C・Lの3つに分ける作業だった。火曜は、偏りの読み方。偏りは欠点ではなく、選ぶための物差しになるという話だ。水曜は、2つにまたがる人の強み。またがっているほうが多く、組み合わせのほうが像がはっきりするという内容だった。木曜は、数と実感がずれたときの判断。質を優先するという話をした。そして今日、一行に言い切った。50個の動詞が、たった一行になったことになる。5日間で、50分の1まで絞ったわけだ。絞れたのは、毎日少しずつ進めてきたからである。

今週の流れを、もう一度たどってほしい。50個が、一行になるまでの道筋だ。

20-2 4つの作業が、すべて終わった

ここで、今月の全体を振り返っておきたい。第1週に、4つの作業をお伝えした。

集める、掘る、束ねる、言い切る。この4つだった。第2週と第3週で集めて掘り、今週で束ねて言い切った。つまり、今月予定していた作業は、今日すべて終わったことになる。ここまで続けてきた人は、手元に一行の言葉がある。3週間前には、何もなかったところからだ。白紙のノートが、50個の動詞と3つの数字と一行になった。これは、小さくない前進である。来週は、この一行を使う週になる。つくる段階から、使う段階へ移っていく。ここから先は、外の情報と突き合わせる作業が増える。

4つの作業が終わったことを、認めていい。ここまで来られたことは、確かな前進だ。

20-3 週末に、一行を人に見せてみる

今週末の過ごし方をお伝えしたい。今回は、人に見せてほしい。

これまでは、書いたものを自分だけのものにしてもらった。50個の動詞には、人には見せにくいものも混ざっているからだ。けれど、一行になった今は違う。見せる価値がある。相手は友人でも家族でもいい。「これ、自分のことだと思う」と聞いてみてほしい。「合ってる」と言われれば、裏づけになる。「え、そうかな」と言われれば、そこに発見がある。どちらでも得るものがあるので、損がない。1行なので、相手の時間も5分で済む。長い文章を読んでもらうより、頼みやすいはずだ。身構えずに聞けるので、相手も素直な反応を返してくれる。

週末に、一行を1人に見せてほしい。反応が、そのまま確かめになる。

20-4 来週は、企業選びに入る

最後に、来週の予告をしておきたい。いよいよ、最終週になる。

来週扱うのは、一行から企業を選ぶ方法だ。5日間の予定も決まっている。月曜は、強みが活きる会社をどう探すか。火曜は、業界ではなく仕事の中身で見る方法。水曜は、ESに落とす書き方。木曜は、面接での語り方。そして金曜に、10月の総まとめをする。今月ずっと自分の内側を掘ってきたが、来週は外へ出ていく週になる。順番を守ってきたからこそ、ここから進めるようになっている。もし今月、企業探しから始めていたら、今ごろ手が止まっていたと思う。比べる物差しを持たないまま、会社を並べることになるからだ。

来週は、外へ出ていく週になる。一行を持って、月曜日にまたお会いできることを楽しみにしています。

今日のまとめ

一行が決まっていないと、言うことが毎回ぶれる。多くの会社では1次と2次で面接官が違い、評価メモが引き継がれる。だから、違う言葉で話すと別の話に聞こえてしまう。

削る作業にも意味がある。50個から3文字へ、さらに一行へ。この過程で何度も捨てることになり、迷った末に残したものが本当に大事な部分になる。

面接官は1日に何人もの学生に会う。午前に4人、午後に5人という日もある。夕方に残るのは、短くて具体的な一行だけだ。3分かけた説明は、内容が良くても残らない。

組み立て方は決まっている。形は固定し、動詞は口に出して選ぶ。そして3つの表現を避ける。「〜力があります」「頑張れます」「誰とでも仲良くなれます」。どれも、掘られると崩れてしまう。

一行ができたら、200字に膨らませ、企業を見る条件に変え、深掘り3問に備える。そして、一行は変わってよいものだと考えておく。更新するほど正確になる。

今月予定していた4つの作業は、今日すべて終わった。来週は、この一行を使って企業選びに入る。一緒に見ていこう。

言い切った一行だけが、使える言葉になると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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