「おはようございます」は、チームを変える最初の言葉だ。
こんにちは、あなたとあなたの組織の未来を共に創造し、組織の活性化を支援している【あおラボ】です。
今朝の「おはようございます」を、あなたはどんなふうに言っただろうか。
相手の顔を見て言っただろうか。それとも、パソコンの画面を見たまま、小さな声で言っただろうか。あるいは、誰かに言われるまで、自分からは言わなかったかもしれない。あいさつは、当たり前のことだと思われている。けれど、当たり前のことを当たり前にやり続けるのは、思っているよりずっと難しい。それをやり続けることを、凡事徹底という。
前回(10月12日)は、チームで5Sを始めるための最初の1歩をお届けした。今日は、もう1つの目に見える環境である「あいさつ・言葉・態度」を、凡事徹底するための実践法をお届けする。難しいことは何もない。ただ、続けることがすべてだ。
Chapter 17 凡事徹底とは何か——なぜあいさつから始めるのか
「凡事徹底」という言葉は、多くのリーダーが知っている。けれど、「知っている」と「やっている」の間には、大きな開きがある。この章では、凡事徹底とはそもそも何なのか、そしてなぜ、あいさつから始めるのがいいのかを、4つの面から確かめておきたい。
「当たり前のこと」を侮らない
凡事徹底とは、平凡なことを、非凡なほどにやり続けることである。
あいさつをする。時間を守る。約束を守る。「ありがとう」を言う。こうした当たり前のことは、誰でもできると思われている。けれど、これを毎日、すべての相手に、意識して続けているリーダーは、実はそれほど多くない。「そんな当たり前のことを、わざわざ意識しなくても」。この感覚が、気づかないうちに行動を止めている。できるから大丈夫なのではない。できることを、やり続けているかどうかが問われているのだ。当たり前の積み重ねが、ほかにはない職場をつくっていく。
今日1日、自分が当たり前にやっていることを、本当に毎回できているか確かめてほしい。あいさつだけに絞って見てみるのがいい。できなかった場面があれば、それが明日の出発点になる。
あいさつは、言葉より「姿勢」が伝わる
「おはようございます」「お疲れさまです」「ありがとうございます」。あいさつで伝わるのは、言葉の意味だけではない。発する側の姿勢が、そのまま伝わる。
リーダーが顔を上げ、相手の目を見て、名前を呼んであいさつする。そのとき、メンバーは「自分のことを見てくれている」と感じる。この感覚が、チームの安心感の土台になっていく。反対に、うつむいたまま、通り過ぎながら言うあいさつは、「形だけ」として受け取られる。同じ言葉でも、姿勢が違えば、届くものがまったく違うのだ。あいさつは、毎日必ず訪れる、リーダーの姿勢を伝えるための機会だといえる。
明日の朝は、手を止め、顔を上げてあいさつしてほしい。それだけで、同じ「おはようございます」が、違う言葉として届くはずだ。
リーダーのあいさつが、チームのあいさつになる
職場のあいさつの空気は、多くの場合、リーダーがつくっている。
リーダーが明るくあいさつする職場では、メンバーも自然とあいさつするようになる。リーダーがあいさつをしない、あるいは返さない職場では、メンバーもあいさつを控えるようになる。「うちのチームは、あいさつが少ない」と感じているなら、まず見直したいのはリーダー自身だ。チームの文化は、リーダーの行動を映す鏡のようなものである。メンバーに求める前に、自分がその基準になる。遠回りに見えて、これがいちばんの近道だ。
「あいさつが少ない」と感じたら、メンバーに注意する前に、自分のあいさつを1週間変えてみてほしい。チームの反応は、そのあとで確かめればいい。変わったと感じた場面は、手帳に書き留めておいてほしい。
凡事徹底に、即効性はない。けれど確実に効く
「あいさつを変えたくらいで、職場の空気は変わらない」。そう思うかもしれない。確かに、凡事徹底に即効性はない。
けれど、確実に効く。積み重なることで変わるからだ。最初の1週間は、ほとんど気づかれない。2週間ほどで、「最近、上司が少し変わった気がする」と感じるメンバーが出てくる。1ヶ月たつと、メンバーの行動が少し変わる。3ヶ月たつと、チームの空気が変わっている。この時間の長さに耐えられるかどうかが、凡事徹底の本質である。すぐに結果が出なくても、やめない。それができるリーダーが、チームを変えていく。
結果を急がず、まずは3ヶ月続けると決めてほしい。手帳の12月のページに、「凡事徹底の振り返り」と書いておいてほしい。

Chapter 18 今日からできる凡事徹底の行動リスト
「やってみよう」と思えたら、次は具体的な行動に落とすことが大切だ。この章では、あいさつ、言葉、態度、時間の4つの面から、今日から取り組める凡事徹底の行動をお伝えする。全部を一度に始める必要はない。1つ選んで、今日から始めてほしい。
あいさつ編——相手の名前を呼ぶ
最初に取り組んでほしいのは、あいさつに名前を添えることである。
「おはようございます」ではなく、「田中さん、おはようございます」。「お疲れさまです」ではなく、「鈴木さん、お疲れさまです」。たった一言、名前を加えるだけで、あいさつの温度は大きく変わる。名前を呼ばれた人は、「自分に向けて言ってくれた」と感じるからだ。大勢に向けた「おはようございます」は、誰に向けたものでもない。名前を添えたあいさつは、その人のためのあいさつになる。人数の少ない職場ほど、この違いははっきり表れる。
明日の朝から、あいさつに名前を添えてほしい。今週のうちに、チーム全員の名前を一度ずつ呼ぶことを目標にしてほしい。呼べなかった人がいたら、翌週の最初に呼んでほしい。
言葉編——感謝と承認を、口に出す
凡事徹底の「言葉」として意識してほしいのは、感謝と承認である。
「ありがとう」「助かった」「それ、良かったよ」。思っているだけでは、相手には伝わらない。口に出して、相手に届けて、はじめて伝わる。リーダーの多くは、心の中では感謝している。けれど、忙しさの中で、それを言葉にする機会を逃している。言葉にしなかった感謝は、相手にとっては存在しないのと同じである。感謝や承認が自然に口から出るようになるまでは、意識して言う必要がある。最初は照れくさく感じても、続けていると自然になっていく。
今日、1つだけ感謝を言葉にしてほしい。「ありがとう」に、何が助かったのかを一言添えると、さらに届きやすくなる。言えた日は、手帳に小さく丸をつけておいてほしい。
態度編——話を最後まで聞く
態度として最初に変えてほしいのは、話を最後まで聞くことである。
話の途中で口をはさむ。パソコンやスマホを見ながら聞く。先に結論を言ってしまう。こうした態度が、メンバーの「話しにくさ」をつくっている。話を最後まで聞くことは、相手への何よりの敬意だ。とはいえ、忙しくて聞けないときもあるだろう。そのときは、「今は手が離せないので、3時に改めて聞かせてほしい」と伝えればいい。中途半端に聞くより、時間を約束して聞くほうが、ずっと誠実に伝わる。大切なのは、約束した時間を必ず守ることだ。
今日、誰かが話しかけてきたら、手を止め、相手のほうを向いて最後まで聞いてほしい。聞けないときは、時間を約束してほしい。約束した時間は、手帳に書いておいてほしい。
時間編——時間を守る
凡事徹底の中でも、特に効き目が大きいのが、時間を守ることである。
ミーティングを時間どおりに始める。締め切りを守る。「明日までに返事をする」と言ったら、明日までに返す。リーダーが時間を守ると、「この人は約束を守る人だ」という信頼が生まれる。反対に、リーダーが時間にゆるいと、チーム全体に「だいたいでいい」という空気が広がりやすい。時間の守り方は、チームの規律の象徴でもあるのだ。そして、時間を守ることは、相手の時間を大切にしているというメッセージにもなる。
今週は、ミーティングの開始時間だけは必ず守ってほしい。リーダーが時間どおりに席についている。それだけで、チームの空気は引き締まる。守れた日は、手帳に丸をつけておいてほしい。
Chapter 19 凡事徹底を「チームの文化」にする
凡事徹底を、リーダー個人の習慣で終わらせず、チーム全体の文化にしていく。そのためには、いくつかの工夫が必要になる。この章では、理由の伝え方、認め方、リーダー自身のつまずき方、振り返り方の4つをお伝えする。どれも、今週から取り入れられることばかりだ。
「なぜやるのか」を言葉で共有する
凡事徹底をチームの文化にするうえで大切なのは、なぜやるのかを言葉で共有することである。
「あいさつをしましょう」と言うだけでは、「言われたからやる」で終わってしまう。「あいさつが自然に交わされるチームにしたい。だから一緒に意識してほしい」。こう伝えると、受け取り方が変わる。理由が共有されると、行動は「やらされるもの」から「自分たちのためにやるもの」に変わっていく。この違いが、文化として根づくかどうかを大きく左右する。10月9日に書いた理想の一言と結びつけて話せると、さらに伝わりやすくなるはずだ。
次の朝礼で、「なぜあいさつを大切にしたいのか」を1分だけ話してほしい。完璧な言葉でなくてかまわない。自分の言葉で話すことが何より大切だ。
できていることを、具体的に認める
凡事徹底に取り組んでいるメンバーの行動は、具体的に認めてほしい。
「最近、あいさつがいいね」「ありがとうって言ってくれて、うれしかった」「時間どおりに来てくれて、助かった」。こうした具体的な言葉が、行動を続ける力になる。「当たり前のことだから」と言って、認めるのを省かないでほしい。当たり前のことをしている人をきちんと認めるから、チームの当たり前の水準が上がっていく。認められない当たり前は、いつの間にか崩れていくからだ。承認は、その場で、短く、具体的に伝えるのがいちばん届く。
今週、凡事徹底ができているメンバーを1人見つけて、その場で具体的に伝えてほしい。何が良かったのかを、一言添えてほしい。認めた相手と場面も、1行残しておいてほしい。
リーダー自身も「できなかったこと」を認める
凡事徹底を続けていると、できない日も必ずある。遅れてしまった。あいさつを忘れた。約束を守れなかった。
そのとき大切なのは、ごまかさないことだ。「今日は遅れてしまった。申し訳ない」。こう一言言えるリーダーが、チームの信頼をつくる。完璧な姿を見せることより、誠実な姿を見せることのほうが、メンバーには深く届くのである。リーダーができなかったことを認めると、メンバーも「できなかった」と言いやすくなる。できないことを正直に言えるチームは、問題が小さいうちに手を打てるチームでもある。凡事徹底は、完璧さではなく、誠実さの積み重ねなのだ。
できなかった日は、その日のうちに一言、自分から認めてほしい。言い訳を添えず、短く伝えるのがいい。
週に1度、凡事徹底を振り返る
凡事徹底は、放っておくと少しずつ崩れていく。だから、週に1度、自分に問いかける時間を持ってほしい。
今週、全員の名前を呼んであいさつしたか。感謝を言葉にしたか。話を最後まで聞いたか。時間を守れたか。この4つの問いを、週の終わりに5分で確かめるだけでいい。10月2日の記事でお伝えした毎週5分の振り返りに、この4つを加えてもかまわない。できたことには丸を、できなかったことには理由を一言書いておく。続けていくと、自分の崩れやすいところが見えてくる。崩れやすいところがわかれば、先回りして手を打てる。
今日の終わりに、この4つの問いを手帳に書き写してほしい。今週の金曜日から、振り返りを始めてほしい。最初の週は、丸が少なくてもかまわない。

Chapter 20 凡事徹底が「チームの自信」をつくる
凡事徹底は、チームの仕事ぶりを整えるだけではない。メンバー一人ひとりの自信をつくり、ときには職場の外にまで伝わっていく。最後の章では、凡事徹底を続けた先にある変化をお伝えしたい。そして、明日の朝の最初の一言を決めて、この記事を締めくくりたい。
「自分たちは、ちゃんとやれている」という感覚
凡事徹底を続けているチームには、共通する自信がある。「自分たちは、ちゃんとやれている」という感覚だ。
あいさつが交わされている。時間が守られている。感謝が言葉になっている。こうした当たり前の積み重ねが、チームとしての誇りをつくる。この誇りは、売上や成果の数字だけからは生まれない。毎日の小さな行動の積み重ねから生まれるものだ。「うちのチームは、ちゃんとやれている」。この感覚があると、チームは次の難しい課題にも向かっていける。土台に自信があるから、挑戦ができるのである。
チームで凡事徹底ができている場面を見つけたら、「このチームは、ちゃんとやれているね」と言葉にして伝えてほしい。その一言が、チームの誇りを育てる。
凡事徹底は、職場の外にも伝わる
凡事徹底は、チームの内側だけにとどまらない。職場の外にも、自然と伝わっていく。
来客があったとき、誰もが気持ちよくあいさつをする。電話の応対が、いつも丁寧である。約束の時間が、きちんと守られる。こうした姿は、お客様や取引先の目にしっかりと映っている。「あの会社は、社員の雰囲気がいい」。そんな評判は、実は採用にも影響する。会社を訪れた求職者が、社員のあいさつから職場の空気を感じ取ることは少なくないからだ。中小企業にとって、これは広告よりも確かな力になる。
次に来客があったとき、チームのあいさつがどう届いているかを、意識して見てほしい。外から見た職場の姿が、少し見えてくるはずだ。気づいたことは、次の朝礼でチームと共有してほしい。
凡事徹底は、リーダーの仕事の一部である
凡事徹底を、「余裕があるときにやること」と考えないでほしい。これは、リーダーの仕事そのものの一部である。
売上を上げること、計画を立てること、メンバーを育てること。リーダーの仕事はたくさんある。その中で、凡事徹底は、ほかのすべての仕事を支える土台になる。あいさつが交わされないチームで、良い報連相は生まれにくい。時間が守られないチームで、計画どおりに仕事は進みにくい。土台が崩れていると、その上に何を積んでも不安定になってしまうのだ。だから、忙しいときほど、凡事徹底を手放さないでほしい。
忙しい日ほど、あいさつと時間だけは守ると決めてほしい。この2つが、土台を支える柱になる。忙しさを理由に手放しそうになったら、今日の記事を思い出してほしい。
明日の朝の、最初の一言を決める
ここまで読んでくれたあなたに、最後に1つだけ決めてほしいことがある。明日の朝、最初に誰に、どんなあいさつをするか、だ。
「田中さん、おはようございます」。それだけでいい。出社して最初に会う人の名前を、今のうちに思い浮かべてほしい。決めておけば、明日の朝、迷わずに言葉が出てくる。そして、その一言が、チームの空気を変える最初の一言になる。凡事徹底の始まりは、たいていこのくらい小さい。小さいからこそ、明日から確実に始められるのだ。明日の一言が、3ヶ月後の職場の空気をつくっていく。
明日の朝、最初にあいさつする相手と、その一言を、今決めてほしい。できれば、声に出して一度練習しておいてほしい。言えたら、手帳に最初の丸をつけてほしい。
今日のまとめ
凡事徹底とは、当たり前のことを、当たり前にやり続けることである。あいさつは、その入り口になる。言葉の意味より、発する側の姿勢が伝わるからだ。
凡事徹底に即効性はない。けれど、2週間、1ヶ月、3ヶ月と積み重なることで、確実にチームの空気を変えていく。
今日からできる行動は4つある。あいさつに名前を添える。感謝と承認を口に出す。話を最後まで聞く。時間を守る。まず1つを選んでほしい。
チームの文化にするには、理由を言葉で共有し、できていることを具体的に認めることが大切だ。リーダー自身ができなかったことも、ごまかさずに認めてほしい。
次回(10月19日)は、目に見える環境から一歩進んで、チームの空気を変える「リーダーの声かけ習慣」をお届けする。一緒に見ていきたい。
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