豊かさって

本質を深掘りしてみるとしだいに分かることがあります。それは本質的であろうとすると、その構造を真正面から向き合うことが求められることです。すると結構な頻度で残酷なものを視ることを直面することになります。

たとえば、就活を向かえたので自分のキャリアについて深考を始めたとします。この世界は創造主である神様にとっては、極めてシンプルな平等の精神に根ざしているのですが、人間が築き上げた社会は、一人ひとりにとって極めて不平等なもので、酷な社会であることが分かるようになるのです。

これから社会に出る学生の皆さんには引く話かもしれませんが、実社会での個々人のキャリアは、奇麗事や夢のようなストーリーは僅かでしかありません。実社会の厳しさを体感しながら一歩ずつ進んでいく中で、経験と学びを積み上げ、そこからの学びを成長に昇華して職能を磨き、成果を創り出し続ける物語を多くの職業人が自身のキャリアで刻んでいるのです。私はそのような物語の中でも、喜びや楽しさを見出すことができる力を人間は持っているのだと考えています。

社会には驚くほど、うまくキャリアを積む人がいます。一方で、残念なキャリアを歩む人もいるのです。この二人の差分の根っこにあるものは持って生まれたものでもないし、運でもないと思うのです。

一体、それは何か? と思われたでしょう。

その差分の根っことなるものとは、二度とない人生を「どうやって生きていくのか?」の問いに対するあなた自身の回答なのです。

少し暗い話が続きましたが、それでも私たちのキャリアも人生も、希望があり未来は明るいのだ!と、これから就活を迎える皆さんには知って欲しいのです。極めて不平等で残酷な社会にも光もあれば希望もあるのです。それは、自分の意志で決めて選択できることです。考える力を発揮できる人であれば子どもでも大人でも、平等に自分で決めて選ぶことができるのです。つまり、どのような環境や状況であっても、自分の人生の目的やその道筋として、どんな仕事で社会や他者に貢献するか、どんな人たちと関わりながら幸福や豊かさを実感する生活を営むのか、自分の人生をコントロールする選択権を握っているのはあなただけなのです。

改めて言われるまでもない、と思うかも知れませんが、人材教育の現場での経験としてお伝えできることは、「選択ができる」ことに真に気づいている若手職業人は僅かしかいないことです。

わたしと同学年の人たちは、大学を卒業し実社会に出た頃の話です。当時マスコミでは、今年の新入社員を「新人類」と呼びポジティブにもネガティブにも、私たち世代にフォーカスした話題を流していました。当時の日本ビジネス社会では、各社が持つ伝統や文化を重んじ、新しい風が吹くことを少し怪訝に思う大人が多かったように思います。

その「新人類」もZ世代である学生の皆さんから見たら、おじちゃん、おばちゃんと歳を重ねました。およそ40年の時間が流れも、振り返ると決して長いものではないようにも感じます。かっこいい言い方をすれば、それなりに充実した毎日を過ごせたことが幸いしているのだと考えています。

この40年間の日本社会を振り返るとさまざまな出来事を思い出しますが、あの頃と今の違いを1つだけ上げるとしたら、ビジネス社会を包み込んでいる経済のグローバル化です。これから社会に出る皆さんは、この感覚を少し高めておいた方がいいと思います。

ある人が「豊かさとは選択ができることだ」と語っていました。心からその通りだと思います。でも、今の日本で選択肢が溢れているのに、皆と同じことが安心できる・・・と思い込んでいる若者が多いように思えるのはなぜでしょうか?

多様性を重視する時代、自分の本来の特性や強みをしっかり把握して、自分のキャリアに可能性を見出した就活を進められることを勧めます。とはいえ、低迷する経済の中で、度重なる災害やコロナ禍を経験してきたのが、今の大学生でもあります。

「この先、社会や経済がどうなのか見えない/分からない」といった不安を抱えた世代でもあります。終身雇用、年功序列はすでに過去のものとなった今の日本社会で就活を考えると、安全・安心・安定を1企業だけに求められないといった思いが強くなることもよく理解できます。私世代の危機感以上にZ世代は、危機感は強いようにも見えています。

そのため、社会の変化に対応できる力をいち早く身につけたいと、企業を選ぶ視点も多様化しています。24年卒の民間企業への就職確定者に、就職先を確定する際に決め手となった項目を尋ねたところ、トップが「自らの成長が期待できる」が50.9%でした。次いで、「福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している」「希望する地域で働ける」「会社や業界の安定性がある」「会社・団体で働く人が自分に合っている」が上位を占めていまました。

「人生=仕事」ではなく、「仕事は人生の一部」と捉え、全体的なワークライフ・バランスを考えて仕事を選ぶ学生が増えている傾向で、成長実感などのやりがいだけでなく、働きやすさを求めていることが読み取れるデータが多く現れています。

確かに仕事は人生の一部です。しかし、あなたが働くということに対する価値観や哲学と、あなたの人生に対する価値観や哲学は繋がっていることが望ましいと考えます。ですので、あおもりHRラボでは、人生観・仕事観・関係性観の価値観を深考することを講座やセミナーでもお伝えしているのです。

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