前回は進路選択のポイントとして、企業(どこ)選びの前に、仕事(なに)選びをしっかりすること、そのための自分自身のコンピテンシー/特性を深く理解することが大切であることをお伝えしました。つまり、「強みを就活の軸」として活動することです。
今日はその強みの逆「弱み」についてです。
面接で「あなたの弱みは何ですか?」と質問される頻度は結構高いものといわれています。あまり聞かれたくない質問だとは思いますが、多くの学生がこの質問の意図を理解していない回答が多いのです
たとえば、「熱中しすぎることです」、「相手を思いやりすぎることです」など、強みとも取れる言葉を「○○すぎることです」と語尾につけて応答することがありますが、お勧めできないパターンです。
じつは、面接官が弱み尋ねる意図は、あなたの向上心を確認したいからです。あなたが自分の弱みと向き合い、自分を成長させていく姿勢を持っているか、を確認しているのです。
前回も述べたたように、日本では「できないことを頑張ってできるようになりましょう」と教育されます。一方で、米国では「あなたはここができているから、頑張って伸ばしましょう」とフィードバックされます。家庭でも、教育現場でも日本は弱みを克服することを重視する文化があることを理解した上で、回答を考えることです。つまり、質問された弱みを自分の資質面で探し、それを成長課題として捉えることがポイントです。
職業人として仕事をするようになると、知らないことや未経験のことに挑戦することが日常茶飯事です。上手くいかずに自分の能力不足に気持ちが折れることもあるのです。そんな場面を迎えたとき、自省を通して課題見つけ、自身の成長課題と捉えてちゃんと向き合うことができるか、を確認することにこの質問の意図があるのです。
このように考えると、回答では2つの点を伝えることがポイントとなります。
1つは、弱みと認識していることを自身の成長課題と捉えているか。2つ目は、その成長課題を具体的にどのように改善(向上心)しようと考えているか、です。
大切なことは、事実に基づく話を伝えることです。たとえば、面接対策として少し考えてはみたものの、これといったエピソードが思い浮かばず、参考資料等に書かれていたものを借用している学生がおられますが、面接官は仕事として面接を行っていることを忘れてはいけません。大方それらの参考文章にあるものは把握されているものです。それと、目の前の学生が事実を話しているかどうかは、ほぼ見抜ける力を持っておられます。
面接対策におけるポイントは、頻出質問についての回答例を憶えるのではなく、質問の意図を理解することに意識を向け、自分らしい回答ができるように整理することが大切です。
頻出の質問をピックアップしておきます。
自己PR
- 学生時代に頑張ったことは何ですか。
- 強みについて教えてください。
- 大学では何を勉強していますか。
志望動機
- なぜこの業界に興味を持ったのですか。
- 当社の社員として果たしたい目標は何ですか。
- 当社を志望される理由を教えてください。
その他
- あなたの弱み/短所は何ですか。
- あなたのキャリアビジョンを聞かせてください。
上述した質問の意図を考えてみてください。
そしてもう一つ、面接対策におけるポイントは語彙力を磨くことです。
B‘zの曲に「言葉ひとつ足りないくらいで、全部こわれてしまうような」という一節があります。これ、面接だけじゃなく就活においてもそうだなぁ、と思います。たとえば、面接時のあなたの話に矛盾や違和感がなく、且つ語彙力があるな、と評価されると恐らく1次2次面接は難なく通過できるのではないかと思います。
特に日本語での対話では、語彙力が乏しいだけで稚拙に見られることさえあるものです。すぐに身につけれるものではない力ですから、25年卒の皆さんはいまから、意識して取り組まれることをお勧めします。