マイナビから24年卒の採用活動及び25年卒の採用計画についての調査結果(n=全国3,113社)が発表されました。これから就活に入る25年卒の皆さんには、人材市場のリアルな情報かと思います。
まず現在進んでいる企業の24年卒の採用活動についてです。
6月時点での採用充足率が5割以上と答えた企業は39.5%で、コロナ禍初年度の21年卒を下回る結果になっていることが明らかになりました。
採用充足率とは、各企業の24年卒採用計画に対して実際に確保できた人数の割合です。つまり、調査対象の企業の6割超が24年卒の採用計画に対して50%以下の達成となっているのです。

調査時点での問題点については、7割の企業から「母集団(エントリー数)の不足」の声が挙がっていました。要するに、募集定員割れの状況です。2022年卒(34.4%)と比較すると2倍以上増加しており、直近2年で「母集団の不足」が企業にとって深刻な課題となっていることが分かります。

学生のインターンシップの平均参加社数は増加傾向で、学生は就職活動の準備期間から既に応募する企業を絞り込んでいることが伺えます。そのため、エントリー平均社数は年々減少して、企業にとっては母集団の不足に繋がっていると推察できます。
近年の新卒採用のひとつの傾向が「売り手市場」です。学生も実感している人が全体の半数超といわれています。しかし、誰にとっても「売り手市場」なのかと言えば、そうではない状況があることを25年卒の皆さんは理解しておくことが大切です。すでに始まっている25年卒を対象としたインターンシップ参加は、するか、やるかの2択と捉えることがいいでしょう。
この春に話題となった、学部卒の総合職採用について、初任給の引き上げを行った企業は7割でした。引き上げの理由としては、1位は「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため」63.0%で、2位は「定着率を高める・離職を防ぐため」44.1%でした。

今春、話題となった賃上げですが、採用競争が激しくなっている就活生へのアピールはもちろん、従業員全体のモチベーションや定着率向上・離職防止も意識しながら給与制度の見直しに繋がった企業が多数であったことが伺えます。現在も物価高騰が続くなかで、仕事を離れると社員は市場にいる消費者でもあることを考えると、企業の立ち位置と意思決定の難しい局面が背景にあることを理解しておきたいところです。

25年卒の皆さんは、志望先がある程度明らかになってきた段階で、その企業の採用志向等についても把握しておくつもりで企業研究を進められるといいでしょう。
学生が就活に生成系AIを利用尻ことについてどう思うか、について回答をみると、比較的肯定的な意見が多いこともわかりました。
- 企業も使っているので学生も積極的に使ってよいと思う。むしろ、面白い使い方をした学生がいたら、スキルを評価したい。
- クリエイティブな職種ではないため、生成系AIを用いて自己PRや志望動機を作成することに対しては抵抗はないが、よほど対策していないと面接等で実際に話した際にESの内容と齟齬がある発言をしてしまう可能性があるので、その点には注意して欲しい。あくまで補助的なツールとして使用するのにとどめて欲しいとは感じる。
- 効率化のために上手に使用することは推奨しますが、本人の文章作成能力を確認する何かしらのフェーズを選考フローに追加する必要もあるように感じます。(入社後に機密情報などを含む文書をAI作成させるわけにはいかないため、本人の文書作成能力も確認したい)
- 各企業に対して同じ内容(ゼミナールや部活動)の入力には向いていると思う。しかし、企業に対しての感情や熱意を伝える場合は、拙い文章でいいので自分で考えて欲しい。
- 入社がゴールではないので、自分を誇張しないよう十分に配慮をして使用してもらいたい。
- 生成系を含め、就活を完全にAIに委ねることには反対。部分的な利用(自己分析などに使う)なら、必ずしも悪いとは言い切れないかも知れない。
といった声が挙がっていました。
使用目的を明確にして、かつ自責で使用する、姿勢が求められているように思います。これは、生成系AIに限らず、社会における基本的な在り方でもあると思われます。