「いろんなことに興味はあるけれど、どれも続かない」
「とりあえず経験してみたけど、結局中途半端だった気がする」
そんな思いを抱えたまま、大学生活を過ごしている人も少なくないかもしれません。
でも、もしもあなたの中に、「これだけはずっと気になっている」「気づけば時間を忘れていた」というようなことがあるなら、それは立派な“夢中の芽”です。
経済産業省が示した『未来人材ビジョン』では、
「夢中を手放さず、一つのことを深く掘り下げていく姿勢」が、これからの社会に求められる重要な能力のひとつであると語られています。
この記事では、Z世代の皆さんが大学生活の中でこの力をどう育てていけばよいのか、日常の工夫と行動にフォーカスして具体的に紹介していきます。
「続けられる人」が“未来を切り拓く人”になる理由
まずお伝えしたいのは、掘り下げる力=継続力や集中力ではないということです。
この力の本質は、「興味を持ち続ける感性」と「問いを深めていく姿勢」にあります。
社会に出ると、ほとんどの仕事には“正解”がありません。
新しい課題にぶつかったとき、教科書的な知識だけでは対応できません。
必要なのは、「なぜ?」「どうすれば?」を繰り返しながら、自分なりの答えを探し続けられる力」です。
そしてそれは、夢中で取り組んだ経験を通してしか得られません。
「深く掘る力」は、どうすれば身につくのか?
それでは、どのようにすれば「夢中を手放さず、深掘りしていく姿勢」が育っていくのでしょうか。
ポイントは、「知識」と「経験」を掛け算していくことにあります。
① 興味を“知識”に変える
たとえば、あなたが「音楽が好き」「ファッションが好き」「ゲームが好き」だとします。
ここで終わらず、「なぜ好きなのか?」「どんな背景があるのか?」という視点を持って、調べてみるだけで、世界が広がっていきます。
• 音楽:作曲理論、アーティストの歴史、業界構造
• ファッション:素材やデザインの理論、流行の背景、サステナビリティとの関係
• ゲーム:ストーリーデザイン、UX設計、社会的影響
「好き」の延長線上に、“学び”が生まれた瞬間、それは夢中の質が変わり始めるサインです。
② 学びを“行動”に変える
深掘りの本当の力は、「知っている」で止まらず、「やってみる」に移すところに宿ります。
たとえば、
• 好きな分野について、ブログやSNSで情報を発信する
• 学内のゼミや発表の機会で、自分の興味をテーマにしてみる
• 興味のある業界のインターンやイベントに飛び込んでみる
このように、知識と経験が交差する場所に、自分らしい“強み”が生まれていきます。
夢中を「深掘る」ための3つの実践法
1|テーマを「3ヶ月」で区切って探究する
長期的な継続が苦手でも、「3ヶ月だけ本気でやってみる」と決めることで、自分に負荷をかけすぎずに深掘りができます。
リサーチ → 実践 → 振り返りというサイクルを意識してみましょう。
2|学びを記録する(アウトプット習慣)
調べたこと、気づいたこと、体験したことを「残す」ことが大切です。
• 学習ノートに書く
• 自分用のブログや日記アカウントをつくる
• スプレッドシートやNotionでまとめてみる
記録することで、点だった知識が「線」となり、「面」となって広がっていきます。
3|“他者との対話”で深掘りを加速させる
自分の関心を人に話すことで、思いがけないフィードバックが得られます。
そして、そこに新たな問いが生まれ、掘り下げが進化します。
• ゼミの先生に話してみる
• SNSでテーマについて語ってみる
• 同じ関心を持つ人と情報交換してみる
夢中が“孤独な趣味”から、“共創の学び”に変わる瞬間です。
就活やキャリアにどうつながる?
「夢中になれることがないとダメですか?」と質問されることがあります。
答えは、「今あるかどうかより、これからどう探すか」の方が大事です。
実際に、多くの企業は就活生に対して次のような視点を見ています:
• ひとつのテーマを深く考えた経験があるか
• その過程で、どんな工夫や成長があったか
• 得た学びをどう次の挑戦につなげているか
つまり、“夢中で学び、夢中で試行錯誤した経験”こそが、あなたの武器になるということです。
それは、派手な実績やスキルよりも、「この人はちゃんと向き合ってきた」と思わせる力になります。
まとめ|あなたの「好き」から未来は始まる
「何かを深掘りした経験は、自信になる」
これは、数多くの社会人の先輩たちが口をそろえて言う言葉です。
自分が夢中になったものを、
• 掘って、調べて
• 考えて、やってみて
• 誰かに話して、形にして
そうやって育ててきた時間は、誰にも真似できない“自分だけのストーリー”になります。
だからこそ、今すぐ「本気でやってみたいこと」に、遠慮せず向き合ってみてください。
正解がなくても、形にならなくても大丈夫。
掘るほどに、自分の“軸”が見えてくるからです。
夢中になれることがある人は、いつか誰かに夢を与えられる人になる。
あなたの“夢中”は、あなたの未来をつくっていきます。