常識を超えて、ゼロから生み出す力の育て方 ― 創造性は、日常の「問い」から生まれる ―

「イノベーション」「変革」「創造性」。

いま社会のあらゆる場面で、この言葉が飛び交っています。

AIが急速に進化し、世界中が同じ課題を抱えながらも、答えのない時代に生きている私たちにとって、“ゼロから新しい何かを生み出す力”は、これまで以上に強く求められるようになりました。

では、その「ゼロからイチを生み出す力」は、特別な才能のある人にだけ備わっているものなのでしょうか?

答えは、ノーです。

創造力は、“日常の問いかけ”と“行動の習慣”によって、誰でも育てていけるものです。

この記事では、経済産業省の『未来人材ビジョン』が掲げる重要な力のひとつである「創造力」に焦点を当て、大学生活の中でこの力をどう育てていけるのかを、具体的に解説していきます。

「創造性」は才能じゃない。“姿勢”と“視点”で磨かれる

まずは、創造力についての誤解を解いておきましょう。

多くの人が「クリエイティブな人=芸術的なセンスがある人」と捉えがちですが、それはごく一部の例に過ぎません。

ここでいう創造性とは、「今までにない発想を生み出すこと」に限らず、

• 前提を疑い、違うやり方を考える力

• 人と人をつなげて、新しい形をつくる力

• 問題の本質を見つけ出し、既存の解決策にひと工夫を加える力

など、視点の持ち方や行動によって育まれる「問いの力」と「構想力」を意味します。

つまり、どの分野を目指す人であっても、創造性はキャリアの土台となる“武器”になるのです。

創造性を育てる3つのアプローチ

① すべての「当たり前」に“なぜ?”と問いかける

創造の出発点は、日常の中にあります。

たとえば、次のような問いを自分に投げかけたことはありますか?

• なんでレジはこんなに並ぶんだろう?

• なんで授業って90分が当たり前なんだろう?

• このサークル、もっと良くならないのかな?

こうした「小さな問い」は、大きな気づきへの扉になります。

そして、“改善したい”“もっと面白くしたい”という感情がわいてきたとき、それは創造力が働き始めている証拠です。

大学生活の中で、「これは当たり前」と思っているものに、あえて違和感を持ってみましょう。

創造性とは、違和感を放っておかず、“仮説”を立てて動いてみる力なのです。

② インプットとアウトプットを「セット」で設計する

創造性が伸びない一番の原因は、“受け取って終わり”になっていることです。

本を読んだり、授業で学んだり、YouTubeで情報を得たりすることは大事です。

でも、そこから何も生まれなければ、創造にはなりません。

インプットの直後にアウトプットする習慣を持ちましょう。

• 学んだことを自分の言葉でまとめてみる

• SNSで誰かに伝えてみる

• 知識を使って、何かを企画してみる(イベント、動画、投稿…)

この「イン→アウト」のサイクルを繰り返すことで、頭の中で情報が“再構築”され、自分なりのアイデアが芽を出していきます。

③ 失敗を怖れず、まずやってみる“即興力”を養う

創造性は、「完璧な準備」の先には生まれません。

むしろ、「まずやってみる」という行動力の中にあります。

• 初めての分野でも「調べながらやってみる」

• アイデアが未完成でも「人に話してみる」

• 実現できるか分からなくても「企画書を書いてみる」

行動しながら思考を進めていく人こそが、創造的な人材です。

Z世代の皆さんは、情報収集能力やデジタルスキルに優れている反面、「失敗を見られたくない」という気持ちから、“始めること”をためらってしまう傾向もあります。

けれど、創造は失敗とセットです。

むしろ、失敗からしか生まれないアイデアがあるということを、日々のチャレンジから学んでいきましょう。

創造的な学生が実践している“日常習慣”

では、実際に大学生活の中で創造力を伸ばしている学生たちは、どんな行動をしているのでしょうか?

いくつかの実例を紹介します。

▷ ケース1|大学のイベントを“自分でつくってみた”学生

ある学生は、授業で学んだ地域創生の知識を使って、「地域のお祭りと大学生をつなげるトークイベント」を企画。

最初は誰も来ないのではと不安だったそうですが、ゼミ仲間や先生に相談して試行錯誤。最終的に30人以上の参加者を集めることができました。

「誰もやってないなら、自分がやってみる」

この一歩が、創造力を爆発的に高める原動力になるのです。

▷ ケース2|SNSで“学びを発信”する大学生アカウント

別の学生は、読んだ本や授業での気づきをInstagramやXで発信。

それに対するフォロワーのコメントをもとに議論を深め、時にはテーマ別にZoomで勉強会を開催することも。

「学びを自分で再構成し、他者とつなげる力」

これも、創造力の立派なかたちです。

大学で創造力を伸ばす5つのミニアクション(今日からできる)

1. 1日1個、「なぜ?」と思ったことをメモする

2. 読んだ記事や本を、200字でまとめてSNSに投稿してみる

3. 授業で感じた違和感を、友達と話してみる

4. イベントやサークル活動で、新しいやり方を提案してみる

5. 興味のあるテーマで、小さな企画(発表、交流、記事)をしてみる

これらは、どれも特別なスキルや才能はいりません。

でも、毎日続けることで、“ゼロからイチを生み出す力”は着実に育っていきます。

まとめ|あなたの創造力は、もう動き始めている

創造性は、選ばれた人だけのものではありません。

毎日の生活の中で、「問い」「工夫」「行動」を重ねた人だけが手にする“力”です。

今日あなたが、

• なんとなくの当たり前に「本当にこれでいいの?」と考えた

• やってみたいことを、メモに残してみた

• 新しいやり方にチャレンジしてみようと決めた

それはすでに、“創造の始まり”です。

未来をつくる人材は、「完成された自分」ではなく、「問い続け、変わり続ける自分」であることを、どうか忘れないでください。

正解がない時代だからこそ、あなたの“自分なりの答え”が、社会を変えていきます。

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