書けても、話せるとは限らない
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
昨日は、事実に意図と変化を足す方法を書いた。200字くらいで、1つ書けただろうか。書けた人は、もう大きく前に進んでいる。
今日は、その先の工程だ。書いたものを、使える形に整える。それと、「外に出て、確かめる」をテーマにしてきたこの1か月を通して振り返っておきたい。
Chapter 9 材料を、棚に並べる
昨日書いた200字は、1つの材料だ。でも、材料は1つでは足りない。かといって、多すぎても使えない。この章では、材料の整理の仕方を4つに分けて扱う。ここが整うと、あとが一気に楽になる。
9-1 経験を、書き出してみる
まず、手元にどれだけ材料があるかを確かめておきたい。頭のなかだけでは、意外とわからないものだ。
紙でもスマホでもいい。これまでの経験を、思いつくままに書き出してみてほしい。アルバイト、サークル、ゼミ、授業、インターン、ボランティア、資格の勉強、家族の手伝い。何でもいい。15分ほどで、10から20くらいは出てくるはずだ。ここでは、価値があるかどうかを判断しなくていい。判断しながら書くと、手が止まる。まずは全部出す。選ぶのは、そのあとの工程だ。この順番を守ると、思わぬものが残ることがある。
15分だけ時間を取って、経験を全部書き出してほしい。選ばずに、まず並べてみよう。判断は、そのあとでいい。数が多いほど、選択の幅は広がる。
9-2 3つに絞る
書き出したら、次は絞る。ここで多くの学生が、全部を使おうとして失敗する。
用意するのは、3つでいい。理由は2つある。1つは、面接で話せる数がそのくらいだからだ。40分の面接で、深く語れるのは2つか3つである。もう1つは、3つあれば、ちがう角度を見せられるからだ。人と関わる経験、1人で続けた経験、うまくいかなかった経験。この3つがあれば、たいていの質問に対応できる。逆に、10個を浅く用意しても、どれも中途半端になる。深さのほうが、はるかに大事である。
3つに絞ってほしい。角度がちがう3つを選ぶと、対応できる幅が広がる。数より、深さを優先しよう。増やすのは、あとからでもできる。3つあれば、まず困らない。
9-3 短いものと、長いものを用意する
同じ経験でも、話す長さは場面によってちがう。ここを準備しておくと、当日あわてない。
用意してほしいのは、2種類だ。1つは、20秒くらいの短い形。「アルバイトで、新人が辞めやすい状況を変えたくて、手順書をつくりました」。もう1つは、200字ほどの長い形。昨日書いたものが、これにあたる。面接では、「簡単に説明してください」と言われることもあれば、「詳しく聞かせてください」と言われることもある。両方を持っていると、どちらにも対応できる。しかも、短い形を考えると、要点が自然に絞られてくる。準備しておけば、当日あわてずに済む。
短い形と長い形、両方を用意してほしい。2種類あると、場面に合わせられる。短い形を考えると、要点が自然に絞られてくる。準備しておけば、当日あわてずに済む。
9-4 使い回せる形にしておく
もう1つ、実務的な工夫を伝えておきたい。材料は、1か所にまとめておくといい。
エントリーシートを書くとき、面接の前、企業ごとの準備。同じ材料を、何度も使うことになる。そのたびにゼロから書いていると、時間がいくらあっても足りない。だから、3つの材料を1つのファイルにまとめておく。短い形と長い形の両方を、並べて書いておけばいい。あとは、企業ごとに少しずつ調整するだけで済む。この準備をしておくかどうかで、12月以降の負担がまるでちがってくる。今のうちにやっておく価値は、かなり大きい。
3つの材料を、1つのファイルにまとめてほしい。あとは、そこから取り出すだけになる。12月以降の負担が、大きく減るはずだ。

Chapter 10 声に出して、確かめる
材料がそろったら、次の工程がある。書いたものは、そのままでは話せない。この章では、その差をどう埋めるかを4つに分けて扱う。ここを省く学生が、とても多い。
10-1 書けても、話せるとは限らない
きれいに書けた文章が、口に出すとうまく出てこない。これは、ほぼ全員が経験することだ。
理由は、書き言葉と話し言葉がちがうからである。書くときは、時間をかけて整えられる。読み返して、直せる。ところが話すときは、その場で組み立てなければならない。しかも、相手の顔を見ながらだ。緊張もある。だから、書いたものをそのまま暗記しても、うまくいかない。途中で一語が飛ぶと、全部が止まってしまう。暗記ではなく、要点を覚えて、その場で組み立てる。この形にしておくのがいい。
書いたら、必ず口に出してみてほしい。書けたことと、話せることは別である。暗記ではなく、要点を覚えるようにしよう。一語飛んでも、止まらずに済む。話し言葉は、書き言葉より短くていい。
10-2 1人で声に出す
練習といっても、最初から人に聞いてもらう必要はない。まずは、1人でいい。
やり方は簡単だ。書いた200字を、見ないで声に出して言ってみる。それだけである。部屋でも、歩きながらでもいい。一度やると、驚くほど言葉が出てこないことに気づく。でも、それでいい。2回、3回とやるうちに、少しずつ出るようになる。しかも、声に出すと、不自然な言い回しが自分でわかる。「この表現、話し言葉だと変だな」と気づける。書いているときには、わからないことだ。3回もやれば、かなり形になってくる。
まずは1人で、3回声に出してみてほしい。誰にも見られない場所で、十分だ。3回もやれば、かなり形になってくる。不自然な言い回しにも気づける。
10-3 人に聞いてもらう
1人で言えるようになったら、次は人に聞いてもらう。ここで、質がもう一段上がる。
相手は、誰でもいい。友人でも、家族でも、先輩でもいい。大学のキャリアセンターなら、面接の練習に付き合ってくれる。人に聞いてもらうと、2つのことがわかる。1つは、伝わっているかどうか。「それで、どうなったの」と聞かれたら、変化が抜けている。もう1つは、自分の緊張の癖だ。早口になる。声が小さくなる。目が泳ぐ。こうしたことは、自分では気づけない。9月に人に会う練習をしてきたなら、その延長でお願いできるはずだ。
一度でいいので、人に聞いてもらってほしい。伝わっているかは、自分では判断できない。相手の反応が、いちばん確かな材料になる。
10-4 詰まったところが、弱いところ
話してみると、必ずどこかで詰まる。じつは、そこがいちばん大事な情報になる。
詰まる理由は、たいてい2つだ。1つは、その部分を自分でも理解していないこと。「なぜそれをやったのか」がぼんやりしていると、そこで止まる。もう1つは、無理に格好よく書いていること。自分の言葉になっていないと、口が動かない。どちらの場合も、直し方は同じだ。その部分を、自分の言葉で書き直す。飾らなくていい。8月の連載でも書いたが、素直な言葉のほうが、はるかに伝わる。詰まった箇所は、修正の合図だと考えてほしい。
詰まった箇所に、印をつけてほしい。そこが、いちばん直すべき場所である。飾らずに、自分の言葉へ書き直そう。詰まりは、直すべき場所を教えてくれる。
Chapter 11 10月からの、動き方
9月は、外に出ることから始めて、経験を形にするところまで来た。では、10月からはどうするか。この章では、続け方を四つに分けて扱う。ここで止まると、せっかくの流れが切れてしまう。
11-1 記録は、続ける
まず、いちばん大事なことから書く。3行の記録は、続けてほしい。
9月に始めた人は、まだ数週間だ。ここでやめると、材料の蓄積が止まってしまう。逆に、あと3か月続ければ、かなりの量になる。しかも、続けているうちに、書くのが習慣になる。習慣になれば、負担ではなくなる。12月にエントリーシートを書くとき、手元に三か月分の記録がある。その状態と、何もない状態とでは、まったくちがう。1日3分の作業が、そのときの数時間を節約してくれる。9月にできたのだから、10月もできるはずだ。
10月も、3行の記録を続けてほしい。ここでやめるのが、いちばんもったいない。1日3分の作業が、あとで大きく効いてくる。
11-2 月に一度、材料を見直す
記録を続けると、新しい経験が増えていく。だから、材料も更新していく必要がある。
やってほしいのは、月に一度の見直しだ。3つ選んだ材料が、まだ最適かを確かめる。新しい経験のほうが、よく語れることもある。そのときは、入れ替えればいい。30分もあれば終わる作業だ。しかも、見直すたびに、語り方が少しずつうまくなっていく。同じ経験でも、時間が経つと見え方が変わることがある。「あのとき気づかなかったが、こういう意味があったのか」。こうした発見も出てくる。材料は、育てていくものだと考えてほしい。
月末に30分、材料を見直す時間を取ってほしい。カレンダーに入れておくといい。材料は、育てていくものだと考えよう。30分あれば、十分に終わる作業だ。
11-3 深掘りの質問に、備える
面接では、話したあとに必ず質問が来る。ここに備えておくと、当日が楽になる。
よく来るのは、この三つだ。「なぜ、そう思ったのですか」「ほかに、やり方はなかったのですか」「その経験を、どう活かせますか」。それぞれに、あらかじめ考えておく。完璧な答えを用意する必要はない。考えたことがあるかどうかで、当日の落ち着きがまるでちがうからだ。しかも、深掘りに答えられると、その経験が本物だと伝わる。用意した話を暗唱しているだけの人とは、はっきり差が出る。9月に「なぜを掘る」をやってきたなら、その延長でできるはずだ。
3つの質問に、一度だけ答えを考えてみてほしい。当日の落ち着きが、まるでちがってくる。完璧な答えは、用意しなくていい。
11-4 完成させようとしない
最後に、大事な前提を書いておく。この作業は、完成しない。
材料を3つ用意しても、それで終わりではない。経験が増えれば、内容は変わる。自分の考えも変わる。だから、いつまでも途中である。ここで「完璧にしてから動こう」と思うと、手が止まってしまう。9月の第1週で「ちゃんとしてからは永遠に来ない」と書いたが、この工程でも同じことが言える。8割の状態で、面接の練習をしていい。8割の状態で、人に聞いてもらっていい。むしろ、動かしながら直すほうが、はるかに早く仕上がる。
完成を待たずに、今の状態で使ってみてほしい。使いながら、直していけばいい。8割の状態で、練習を始めていい。動かしながら直すほうが、結局は早い。

Chapter 12 9月を、振り返る
今日で、9月の連載は最終回になる。今月は「外に出て、確かめる」をテーマに、4週にわたって書いてきた。最後に、通して振り返っておきたい。
12-1 第1週 情報は、現場にある
9月の最初に書いたのは、情報の在りかについてだった。ここが、今月の出発点になる。
ネットで調べられることには、限界がある。どの企業のページにも、似たような言葉が並んでいる。だから、画面の前で悩んでいても、判断の材料は増えない。情報は、現場にある。そして、「ちゃんと準備してから」と思っていると、その日は永遠に来ない。だから、半歩でいいから出る。行っただけでは残らないので、問いを一つ持っていき、帰ったら書く。この三つで、第一週を構成した。動けた人は、そこから今月が始まったはずだ。
まだ動けていない人は、ここから始めてほしい。半歩でいい。順番は、あとからでも間に合う。問いを一つ持って、帰ったら書く。それだけでいい。
12-2 第2週 人に会うと、質が変わる
第2週は、人に会うことを扱った。現場に行くことの、次の段階になる。
会って話を聞くと、情報の質がはっきり変わる。資料には出てこない話が出てくるからだ。そして、多くの社会人は、学生に聞かれることを嫌がらない。むしろ、喜んで話してくれる人のほうが多い。頼み方は、5行の依頼文で足りる。30分をもらったら、何を聞くかで価値が決まる。「なぜ」「どうやって」「どんなときに」。この三つを持っていけば、会話は深まる。第2週は、この一連の流れを扱った。
まだ誰にも会えていないなら、一人でいい。今週中に、依頼文を送ってみてほしい。五行で足りる。断られても、失うものは何もない。多くの社会人は、聞かれるのを嫌がらない。むしろ、喜んで話してくれる人が多い。
12-3 第3週 インターンは、確かめるため
第3週は、秋冬インターンを扱った。ちょうど、時期が重なる話だった。
大事なのは、目的をまちがえないことだ。「内定への近道」ではなく「確かめるため」。この一点で、参加中の行動が変わる。選ぶときも、知名度ではなく「確かめたいこと」から逆算する。そして、参加中は目的を朝に読み返し、休憩時間を使い、終わった日に答え合わせをする。差がつくのは、参加の有無ではなく過ごし方のほうだ。ここは、努力量ではなくやり方の問題である。
インターンに行く予定があるなら、第3週の3本を読み返してほしい。当日の過ごし方が変わる。目的、選び方、過ごし方。この順で確認しておこう。差は、やり方でつく。終わった日の30分を、必ず取ってほしい。
12-4 第4週 経験を、形にする
そして今週は、持ち帰ったものをどう扱うかを書いてきた。ここが、今月の締めくくりになる。
経験は、放っておくと消える。だから、その日のうちに3行を残す。やったこと、気づいたこと、感じたこと。特に、感情は価値観が反応した証拠なので、丁寧に拾っておく。残した記録は、事実に意図と変化を足すことで、語れる形になる。そして、材料を3つに絞り、声に出して確かめる。ここまでで、9月の流れが一周する。外に出て、確かめて、残して、形にする。この4つが、今月の全体像だ。
今月書いたことを、1つでも続けてほしい。全部でなくていい。1つで、十分に効いてくる。おすすめは、3行の記録だ。これがいちばん、あとで効いてくる。3分の習慣が、3か月後を助けてくれる。
今日のまとめ
書けた文章が、話すとうまく出てこない。これは、ほぼ全員が経験することだ。書き言葉と話し言葉はちがうので、暗記ではなく、要点を覚えてその場で組み立てる形にしておくといい。
材料は、3つに絞る。角度のちがう3つがあれば、たいていの質問に対応できる。それぞれに、20秒の短い形と、200字の長い形を用意しておく。1つのファイルにまとめておけば、あとは取り出すだけになる。
練習は、まず1人で3回、声に出す。次に、人に聞いてもらう。詰まったところが、いちばん直すべき場所だ。理解が浅いか、自分の言葉になっていないかのどちらかである。
10月からは、3行の記録を続ける。月に一度、材料を見直す。深掘りの3つの質問に、答えを考えておく。そして、完成を待たずに、今の状態で使ってみる。
今月は「外に出て、確かめる」をテーマにしてきた。情報は現場にある。人に会うと質が変わる。インターンは確かめるためにある。そして、経験は形にして初めて自分のものになる。
来週からは、10月の連載が始まる。九月で外に出た人が、次に向き合うことを扱っていく予定だ。引き続き、一緒に進んでいこう。
9月の半歩は、必ず10月につながっていくと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。