3年以内に就活を行ったことがある若手社員、現役就活生を対象に企業の採用サイトに関する調査結果が発表されました。(n=223名)25年卒をはじめ今後就活を迎える学生の企業研究の参考になれば幸いです。
就活に利用したサイドやメディアについては、1位「就職情報サイト」84.8%、2位「企業のホームページ(採用サイト等)」、3位「会社の口コミサイト」の順となっていました。
近年、企業の採用活動で公式SNS運用が増加していますが、就活の情報ソースとしてSNSを活用している学生は10%前後と低く、学生の関心が薄いことが伺えました。
応募検討時に企業の採用サイトで知りたい情報については、1位「仕事内容」85.7%、2位「福利厚生制度」70.0%、3位「昇給や給与等の待遇」69.1%という結果でした。
い容易になった項目から順に検証してみると、仕事内容・職場環境といった入社後の自身の働くイメージを把握したい傾向が伺えます。企業発信の情報からは、入社後の働くイメージがより具体的且つ鮮明に知りたいという学生の要望が高いことがわかりました。
企業の採用サイトで残念に感じるポイントについては、1位「具体的な仕事内容が分からない」55.2%、2位「給与や福利厚生が不透明」52.9%、3位「社内や社員の雰囲気が分かりづらい」48.4%がほぼ横一列で並んだ結果でした。ここでも企業サイトに求めるニーズは、自身がその企業で働くイメージが具体的且つ鮮明にできるか否かが、質量を合わせた情報への満足度につながることがわかります。
就活生にとって企業選択の要素として、その企業で働く自分や日々の生活者としての自身を具体的にイメージできるかは、重要度の高いものです。この点は企業側にも改善や工夫を自社サイトに施す必要があるでしょう。
近年では、働き方改革やDXやAIなどがビジネス現場でも普通にツールとなってきました。人生100年時代に就活生が考える働き方には多様性があるものの、「就社」から「就職」へと思考が傾いている傾向があります。つまり、会社人から職業人へのマインドシフであり、JOBとLIFEを合わせたキャリア考察が進んでいるのではないかと思います。
一度限りの自分の人生をどう生きたいのか、の土台の上にキャリア戦略を考察する学生が増えるほど、企業の採用サイトの情報は、自分のファーストキャリアがより鮮明にイメージできるものが求められるのではないかと思われます。
入社前に思い描いていたイメージと入社後に受けたイメージにマイナスのギャップをリアリティショックと呼びます。リアリティショックがほぼないことがいい情報ではないかと思います。
ちなみに、リアリティショックが社員に与える影響としては、「社員のモチベーションが低下する」、「離職を考えるようになる」といったことがあります。
厚生労働省から発表された「新規学卒就職者の離職状況」によると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が35.9%、新規大卒就職者が31.5%にも及ぶことが明らかになっています。さらに、Adecco Groupによる「新卒入社3年以内離職の理由に関する調査」では、離職の理由として約3割が、「キャリア形成が望めないため」と回答していて、リアリティショックが起きないように新入社員へのキャリア形成についての教育指導を含めた支援に課題があることも伺えます。
職業人といえども組織や社会で他者と関わりながら自身の能力やスキルを発揮することが大切ですので、独り善がりのキャリア志向では組織にも社会にも振り向いてもらうことは難しいでしょう。勿論、自分の人生ですから決定権は自分にあります。どんな意思決定を下すのも自由ではありますが、自由とはフリーであって、何でもOKということではないことを理解するのも、大人の階段を登る場面となるときがあることも知っておくと更に賢い選択ができると思いますが、いかがでしょうか。