就活を進めていくなかで最も頻出することは、問いと向き合い、その問いへの考えを言語化することではないかと思います。なんだか哲学風味な話ですが、これを繰り返しながら、「自分が働く」ということの本質的な目的や意味を見出していけるかどうかは、働き始めてから大きな違いが現れると思うのです。
ADK若者スタジオから発表された就活生実態調査に「仕事・企業選びで重視すること」では、1位が「やりがい」29.6%、2位「業務内容」22.0%、3位「人間関係」10.8%と並び、「給与」は9.1%と5位でした。

母数にマーケティングに興味関心の高い学生が多かったのかも知れませんが、意外だったのが上位3位から給与が外れていることでした。私が見た資料には、回答した項目にした意図や背景をうかがい知ることができませんでしたが、「自分が働く」目的や意味があってのことだろうとは推察できます。
人生をドラマやゲームに喩えることがあります。そして、ドラマの主人公はあなた自身であると、何となくそう思っていないでしょうか。
確かに、あなたの人生の主役はあなたです。ただ、もう少し突っ込んだ話をすると、それは思考であり、心理学では自我ということになります。
どういうことかといいますと、自我(思考)がなければ、自分であっても自信を自分と認識できなくなるのです。たとえば記憶喪失がそういう状態ということになります。
何かを考えているとき、あなたは確かにそこに存在します。一方で、何も考えなければ、悩みを認知することもないのだろうと思うのです。ですから、悩みは思考が生みだしているのです。
養老孟子さんは「感覚」がとても重要であり大切であることを良くおっしゃっています。見る(視覚)、聴く(聴覚)、触る(触覚)匂う(臭覚)、味わう(味覚)つまり五感(five senses)です。
感覚自体はあっても、「何も起きていない」のであれば、反応が起こらないのです。たとえば、レモンを丸かじりしたとしましょう。強い酸味があったとしてもその酸味自体が「すっぱい」のではなく、その酸味の感覚を解釈、分別することで、思考によって「ワァー酸っぱい!」となるのです。
思考も人それぞれに個性があります。その個性を作っているのが観念という(色)メガネを通して、物事をインプットする際に感覚を独自に解釈するのです。ですから、同じレモンを食べても、人によってその味の感想は異なるのです。強烈に酸味を感じる人もいれば、レモンはこんなものでしょうと食べ進める人もおられるのです。
「ある出来事/事実(感覚の世界)⇒ 思考/観念(解釈、分別)⇒ 感情/個性的(喜怒哀楽など)」と表すことができます。
あなたが主演のドラマのなかでは、さまざまな出来事や出会いが起こります。それをあなたがどのように捉えるか、はもちろんあなたの自由なのですが、その捉え方がもしもあなたにとってハッピーなものではないとしたら、思考の影に隠れている観念が悪さしていることが考えられます。
自分にはどんな観念があるのかに気づき改善を促す学習がTA心理学(交流分析)です。今年度は5月以降に研修を開催予定となります。就活生はもちろんですが、26・27年卒予定の学生の皆さんにもご参加いただきたい自己分析にも活用いただける学びです。