姿勢

引き続き第一印象についてです。前回、第一印象は「5秒で決まる」こと、「アイコンタクト」が大事であることをお伝えしました。今回は「姿勢」についてです。

緊張や不安を抱えていると、猫背やうつむき加減になるという人は少なくありません。例えば、そんな姿で入室してきたあなたを面接官が見ると、どんな印象を持つでしょうか?

少なくても、自信、誠実さ、真摯さ、爽やかさ、前向きといった印象を与えることはできないでしょう。こういうケースには面接官視点で考えると改善課題がよくわかるものです。

緊張や不安を感じるときほど、背筋を伸ばし、胸を開き、デコルテを相手に向けて威風堂々と装うって見ると、次第にその姿勢があなたを落ち着かせてくれるものです。この話は若い頃に先輩から教わったのですが、以後プレゼン等に挑む際は、自分にそう暗示をかけていました。

近年は「ビジネスマナー」と一括りにして表現されることが多いのですが、姿勢や立ち居振る舞いは、儀礼を学ぶことが大切だと考えています。

参考までに儀礼とは、日常の生活とは異なった時間と空間の中で行われ、さまざまな歌や踊り、色鮮やかな衣装や飾り物などを伴って、ある場合は増減な雰囲気を、ある場合は陽気な喧騒状態を作りだし、日常生活のなかの言語や通常の記述的道具などでは表し伝ええない、社会の連帯といった価値観や、結婚・死といった重大なる事柄を明確に表現し、心に強く刻み込む働きを持つ、と解釈されています。

私が受けた職能訓練のなかでは、皇室の儀礼を基にされたレクチャーを受けましたが、そこで学んだことが古くなることはなく、いまでも役に立っております。

日本文化のなかでは「道」という表現があります。柔道や華道といった世界の道で大切とされていることは、基本の型ではないかと思います。私は人間の道も等しく型がり、その型を最もわかりやすく示すのが立ち振る舞いと言葉遣いではないかと考えています。

面接の場面で感じることに、話す内容にばかり意識が向き過ぎている学生が多いことです。もちろん、質問に一生懸命回答しようとしていることは理解できますが、用意してきた文章を思い出しながら語っている姿、視線に落ち着きがなく面接官と目を合わせない姿、ソワソワしている姿など、緊張していることを差し引いても準備不足と思われる姿勢の学生がおられるのです。

面接対策では、如何に自己PRをするか、如何に面接官に印象深く残せるか、といったテクニカル面を含めて回答する内容にばかり意識が向いてしまいます。一方で人柄や人格の土台となるどんな型を身につけた人なのかにも面接官を注視していることを理解しておくことが大切です。

儀礼やマナーは一朝一夕で体得できるものではありませんが、しっかり基本を学びその実践に心を砕く姿が大事なことだと思います。

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