第一印象

就活支援をしていますと、「一次面接の先が進まない」という相談を頻繁に伺います。ご本人は質問に対してはきちんと答えた(つもり)のに、残念な結果が続いていることで悩まれているのです。

定型的な質問に対しての回答は、それぞれ事前に対策をしておられると思いますので、そこで評価を落とすことは少ないと思いますので、もっと別の角度から振り返りと内省が必要ではないかと思うのです。

多くの学生は、就活や面接の前にビジネスマナーの基本を学ばれていると思うのですが、その学びが活かせていないことが残念な結果につながっているケースがあります。採用面接では、コミュニケーション力や人格と同じくらいご本人の立ち居振る舞いがチェックされているのです。

例えば、他者があなたと初めて出会ったとき、あなたに対しての第一印象はどのくらいで決まっているかわかるでしょうか。

世間では、出会ってから数秒から数分で決まると言われています。個々の数字は諸説あります。ここで大切なことは、あなた自身がどのくらいの時間を捉えているかということです。

組織開発や人材教育の現場で、私は「5秒で決まる」とお伝えしています。

緊張状態で会場に入室してから5秒ですと、場合によってはまだ面接官と向き合ってもいない状態かもしれません。そんな僅か5秒で何ができると思いますか?

まず理解しておきたいことは、第一印象は相手が勝手に思い考えることではなく、あなた自身が与えるものであることです。出会って僅か5秒で相手の思考を変えることは神様が成すことです。採用面接の場面で大切なことは面接官に向けてアイコンタクトをしっかり取ることです。これも立派なコミュニケーションです。ノンバーバルコミュニケーションといって、言語以外の手段で相手とコミュニケーションを取ることを指します。

ノンバーバルコミュニケーションは、意識しているかどうかによらず、誰もが常に行っているものです。ですので、ビジネスの世界でも重視されているのです。

例えば、相手がどんな気持ちでいるのか、相手が話をどのように受け取っているのか、そして相手とどのように接すればよいかなど、目の前の状況に関する貴重な情報を明らかにしてくれるからです。ノンバーバルコミュニケーションに注意を向け、正しく読み取る能力は、キャリアの段階を問わずいつでも活用できる、非常に有益なスキルなのです。

よって、面接官は極自然体であなたのノンバーバルを読み取ろうとしていることを理解しておくといいでしょう。

ノンバーバルコミュニケーションには、アイコンタクト以外にも、ボディランゲージ・体の動き(所作)・姿勢・ジェスチャー・相手との距離・顔の表情などの多くの要素がありますが、面接では特にアイコンタクトがしっかりできていない学生が多いように思います。

面接におけるノンバーバルコミュニケーションの活用は、面接官の言葉以外のサインに気づいて解釈することも、面接の最中に適切なしぐさで反応することも可能となるスキルです。面接でノンバーバルコミュニケーションを活用する際は次の点に注意が必要です。

  • 面接官が部屋に入ってきたら立ち上がり、適度に自信を感じさせる礼儀正しい態度で挨拶する
  • 面接官に挨拶をする際や面接の間は、不自然にならない程度に笑顔を見せる
  • 自信のある態度を見せられるよう、背筋を正し、あごを引いて座る
  • 両足をそろえてかかとを床につけ、手は腿の上に置いて、誠実さと親しみやすい態度を保つ
  • しつこくならない範囲でジェスチャーを自然に取り入れる
  • 自分がどういう人物なのかを面接官が簡単かつ明確に理解できるよう、適度に自信を感じさせるトーンで、声が大きくなりすぎないように気をつけながら話す
  • 声の上げ下げが不自然にならない範囲で、話し言葉として自然な抑揚をつける

話をアイコンタクトに戻します。「失礼します」とドアを開けたとき面接官が並んでいる姿をみると、緊張がさらに増して、怖さから目を合わせることなどできず、逆に目を伏せてしまう学生もおられます。心情はよくわかるのですが、面接官はプロですから、情に流されて評価するようなことはしません。

お辞儀をして、頭を上げても目を合わせられず、目が泳いでいる中で質問に応答を続け、少し落ち着いた気配が見えた頃には面接終了を迎える学生が少なくないのです。

面接会場に入室したら即、目を合わせる!ことを意識してみましょう。あなたの自信、誠実さ、真摯さ、素直さ、礼儀正しさなどのポジティブな要素とプラスのエネルギーを第一印象として、そこに乗せる想いで臨んでみてください。

企業が求める能力として上位にあるコミュニケーション能力にはバーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーションがあることを今一度理解して、面接対策を練ってみてください。

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