25年卒にあたる3年生にとっては、夏季インターンシップの合否が話題となることも増えているのではないでしょうか。いまや、インターンシップは就活の第一歩と捉える学生も少なくないでしょうから、インターンシップに受からなかった学生の心情を察します。
インターンシップに受からなかった要因を考えてみると、人材像が考えられます。
一般的に、インターンシップ開催にあたり、こんな人に参加欲しいという「求める人材像」に基づいて選考の合否を決定します。これは採用でも同様です。
人材像は大きく2つの要素があります。一つが「スペック」でもう一つは「タイプ」です。スペックとは、仕事をする上で求められる基礎的な能力やスキルを指します。一方タイプとは、意欲や情緒、行動特性など人柄を指します。この両面から合否判定が行われています。
インターンシップに受からなかった原因として考えられるのは、求める人材像に適合が低かったと考えられるのです。さらに分解して、スペックが合わなかったのか、タイプが合わなかったのか、リフレクションすることで次の戦略を考えるヒントが得られるのです。
ここで注意いただきたいことは、例えばある企業のインターンシップに受からなかったことが、そのままその業界に適合しないということではないことです。
そもそも求める人材像というのは、会社によって随分異なります。同業界であっても、業界をリードする企業、長年中堅企業として安定的に事業を続けている企業、創業間もないベンチャー企業では、それぞれ求めるスペックは違うものとなります。そして、協調性を大切にする社風の企業と競争や成長を志向する企業では、求めるタイプも異なるのです。つまり、自分のスペックとタイプを正しく理解することが重要であることに気づきます。就活における自己分析の重要度が分かります。
二つ目の要因としては困難な目標に取り組んだ経験です。
多くの企業の選考では、「学生時代に力を入れたこと」を尋ねます。この応答のなかに「困難な目標に取り組んだエピソード」に欠けている学生が選考に落ちている傾向にあるようです。
企業は、継続・発展するために、難易度の高い目標に取り組んでいます。その一員として迎える学生にも、入社後にはそうした目標にチャレンジすることが求められます。人間は、入社した途端にその会社に適合した人材に変身できません。だから、学生時代に木業を持たず日々を何となく過ごしてきた人に、人事が魅力を感じることはないのです。
ガクチカには、キラキラした経験やエピソードは必要ありません。採用側視点で重視するのは、困難な木業に取り組んだ経験とそこから何を学んだのか、です。
ある人気企業の1次、2次面接では、ガクチカを深掘りする質問をされているようです。具体的には、「なぜそれに力を入れたのか」「どんな状況だったのか」「そこで掲げた目標や解決しようとした課題は何か」「実際にどんな人を巻き込んで、何をしたのか」「やったことは、ほかにはなかったのか」「実際にどんな困難があったのか」「それをどんなふうに乗り越えたのか」「結果として成し遂げたことは何か」「それは、どんな成果があったのか」「その中で学んだことは何か」などということです。
面接官としては、話の真実性や本人の思考、行動特性、他者との関わりなどをヒアリングして、人物を深く理解しようと努めます。ゆえに、人事が興味関心を持つテーマで自信をもって語れるエピソードがない人は選考に受からないと考えられます。
さらに要因として表現力が乏しいことが考えられます。
人材像にマッチする能力と人柄を持ち合わせていて、困難な目標に取り組んだ経験も積んでいたとしても、それをしっかり伝えることができなければ、ないのと一緒なのです。つまり、表現力が乏しいと選考に受からないと考えられます。
対面の選考の場合は、特に印象や雰囲気が重要となります。例えば、タンタンとしか話せない人や、元気の良さら伝わらない人に魅力を感じる人は少数でしょう。一方で人気企業にパスしている学生の共通点は、印象のいい人です。同じ内容を話していても、生き生きと語れる人とのやり取りは楽しいし、思わず引き込まれてしまうものです。
誠実・快活・元気・楽しい・生き生きしている・堂々としている・気遣いができる、という人が好感を持たれるのは、学生に留まらず誰にでもいえることです。ですから、表現力から伝わる印象の良くない人は選考に受からないこと考えられるのです。
インターンシップの合否の分かれ目となる要因としてお伝えしましたが、もうお分かりですね。この話、本番である採用そのものにも言えることです。今後の就活にお役に立てれば幸いです。