仕事の負荷(業務内容・求められるスキル・業務量・上司や先輩からの期待や指導など)が少ない職場環境を「ゆるい職場」といいちょっと話題になっています。昨年12月に中公新書ラクレから書籍も出ています。2010年代後半から進んだ職場運営法改革により、日本企業の労働環境は「働きやすい」ものへと変わってきました。一方で、若年社員の離職率はむしろ上がっていて、当事者である若者たちからは、「今の職場、ゆるいんです」、「ここにいても、成長できるのか」、といった不安の声が聞かれるようになったと著者は書いていますが、組織開発・人材教育の現場でも2018年辺りから耳にするようになったと思います。
今回は、就職・転職活動に関する実態調査として既卒者184名・第二新卒者511名の就活中の20代695名に「ゆるい職場で働きたいと思いますか?」と訊いた調査結果から一部引用して考えてみます。
「働きたい」「どちらかといえば働きたい」と回答した就活生は58.2%だったそうです。
その理由として寄せられた声は次のようです。
- 仕事よりもプライベートを大切にしたいから
- とにかく長く働くことを目標にしているから
- 仕事はあくまでご飯を食べるためにするモノ程度の熱量で生きていきたいから
- ある程度ゆるい環境でも、自分で目標を定めてキャリアを積み上げる努力ができると思うか
- 現在働いている環境が酷なため
一方で、「どちらかといえば働きたくない」「働きたくない」と回答した就活生は41.8%でした。
- 自分のスキルを伸ばし、年収も上げていきたいため
- スキル向上はしたい、指導が手厚いところが良いため
- 必要とされていない気がしてモチベーションが下がるため
- 今は全く未経験なので、しっかりと教えていただけるところ、また失敗などしたときにはしっかりと叱ってくださるところがいい
といった意見が理由として寄せられていました。

あなたは現在の仕事(または前職)で「やりがい」を感じていますか?と尋ねたところ45.5%が「感じている」「どちらかといえば感じている」と回答をしました。
自分が就いている仕事にやりがいを感じている人が4割強という結果の背景には、就活でのミスマッチが伺えます。20代の若年者の離職再就職については、労働市場における一つの課題ともなっていますが、およそ6割の人が仕事にやりがいを感じていないとは、本当に残念に思います。
やりがいについて重要な要素を3つ選んでもらったところ、最も多かった要素は「誰かの役に立っている」16.6%で、2番目が「ワークライフバランスが取れている(自分にとってのバランスが取れている)」13.0%、3番目は「できる擦毎の範囲、レベルが上がる」12.4%でした。 仕事を通しての成長よりも、人の役に立つことが上位になっていたことは嬉しいことです。人間の成長とは結果として現れるものであり、さまざまな結果がある中で、人の役に立つ存在になることは、重要なことであることは芳村思風先生が完成論哲学で明示されています。

芳村先生は人生三観として職業観、社会観、人間観を示されています。職業とは何か(職業観)を次のように教えてくれます。
- 職業とは人を幸せにすることによって自分も幸せになる活動である。
- 職業の真の目的はお金ではなく、人の役に立つ人間になることである。
- 職業とはその仕事に従事する人間を人に喜んでもらえるような仕事の仕方ができる能力と人間性を持った本物の人間に成長させる。
- 最高の職業理念は「お客様にも仲間にも最高の満足を与え、最大の信頼を得るために努力しよう」という精神である。
関ジャニの村上信五さんが「人生で最も影響を受けた本」とTVで紹介しZ世代にも読まれるようになった「今こそ、感性は力」の著者です。あなたの感性に迫る気づきを得ることができでしょう。良書としてご案内します。
「ゆるい職場」に対しては、良いとも悪いとも一概には言えないものです。どう捉えるかはその人の価値観によって大きく変わってくる内容です。だからこそ感性を磨くことも大事だな、と思うのです。