ときどき学生から「キャリア形成は社会人になってからやるものでは?」といった旨の質問を受けます。物事をヤル・シナイは本人が主体的に意思決定しないと継続することが難しいものです。また、人から言われてヤルと主体性に欠けた行動ですから、途中で創意工夫をするようなことには及ばないことがほとんどではないかと考えています。ただ、率直な質問として良くいただく話ですので、今回は少し触れてみたいと思います。
近年インターンシップの重要性が学生に認知されていますので、aoLab読者学生の皆さんは既にご存知だと思いますが、25年卒以降の新卒者につてはインターンシップのルールが改正になりました。そして、26年卒に関わる変更もありますので、これからインターンシップ参加を検討されている方は、自分の卒業年度を対象にしたルールがどうなっているかをしっかり確認しておきましょう。
ルール改正後にaoLabでお伝えしているのは、学生の間にキャリア形成を意識して取り組むことです。やがて来る就活のためでもあるのですが、視座を高くして自分のキャリアや人生のフィールドとして捉えてほしいと思っています。
26年卒に関する変更内容は、ざっくり分けて2点あります。
1つ目は、前年、インターンシップを始めとしてキャリア形成への取り組み方が、4つのタイプに分類されました。
タイプ1:オープン・カンパニー(企業や大学主催の説明会やイベント)
タイプ2:キャリア教育(企業による教育プログラム・大学主催の講義)
タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ(職場での実務体験)
タイプ4:高度専門型インターンシップ(専門性のある実務体験、退学院生のみが該当)
学部生であれば、キャリア形成プログラムのなかで26年卒が主に参加するインターンシップに該当するのは「タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ」となります。また、具体的なインターンシップの定義として「5日以上のプログラム期間のうち、半分の日程で職場における就業体験を実施」する必要があるとされていますので、スケジュールの確認も要チェックです。一方で、「タイプ1:オープン・カンパニー」「タイプ2:キャリア教育」は、業界や企業の理解が目的となっていて就業体験の実施がないためインターンシップとは見なされません。
(参考:厚生労働省 令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります)
2つ目は、企業がインターンシップで取得した学生情報を、採用選考に使用可能になったことです。学生情報には応募時に取得したプロフィールやインターンシップ参加時の評価などがあります。
改訂以前はインターンシップについて、しっかりとした定義がありませんでした。実施機関である各企業にとっても明確な基準を基にインターンシップ実施ができるようになったので、よりプログラム重視、参加学生の体験価値重視に傾いていくこのではないかと思われます。
ある調査ではタイプ3・4を実施予定の企業に尋ねたところ、約9割の企業が学生情報を採用活動に利用予定であるとの結果が出ています。
学生がインターンシップに熱心になっている文脈の話題はネットでも散見されます。じつは、企業側でもインターンシップに力を入れている企業が増加しています。25年卒への企業インターンシップ実施状況は、過去最高値が発表されています。また、企業の採用充足率で確認しても、インターンシップ実施企業の方が、高いことが分かります。
ルール改訂に伴い、インターンシップの実施には5日以上のプログラム実施が必要になったこともアリ、夏季インターンシップが年々活発になっています。また、学生の立場では、夏休みを利用することで長期の計画が立てやすいということもあり、夏季インターンシップを注目されていると思います。早い企業では3月には夏季プログラムを公表するケースもありますので、今年の夏季インターンシップを検討されている学生はそろそろESなど応募資料の下準備を着手した方がいいでしょう。
21年から23年卒あたりの新入社員への調査結果では、就活を終えての感想のなかで、「インターンシップと選考が直結していたら嬉しい」といった声が結構な数で挙がっていました。
インターンシップ参加が採用選考のつなぎとなるチャンスがあるのですから、志望企業がある程度固まっている学生にとっては、志望企業の実施予定の有無をしっかり確認しておくことも大切なことになります。
これからインターンシップ参加を検討される方の注意点としては、「インターンシップで取得した学生上納が採用選考に使われる」という情報が先行していることです。
企業が学生情報を使えるのは求人情報の解禁となる3月1日以降となることを把握しておく必要があります。たとえば、あなたが26年卒予定の学生ならば2025年3月以降となります。
インターンシップ自体は、大学3年の夏休み、冬休みに合わせ参加されるケースがほとんどだと思います。
前述したように、「インターンシップ=就職活動」という通り一遍の思考ではなく、「インターンシップはキャリア形成」の手段の一つと捉えて是非参加を検討されることをお勧めします。
学生にとって仕事選びは考える以上に悩みどころが多くたくさんのエネルギーを消耗する活動です。社会活動も働くこともほぼ経験がない状態で、少なくともこれからの自分の人生に影響を及ぼすだろう職選びをするのですから、無理もないのです。
あなたにとってジャストフィットな就職先を探し出すには、仕事に就いて深く理解することが重要です。インターンシップで実務経験をする妙がここにあるのです。実務経験は、仕事の理解が一気に深まりますのでキャリア形成には優良案件と考えていいでしょう。全ての仕事を体験することは物理的に不可能ですので、インターンシップを選ぶヒントとしては、やはり自分の志望する職能でリサーチすることです。仮に志望企業のインターンシップに参加できなくても、志望の職能体験を何度か積むことなら可能です。その体験を本番ではESや面接でしっかり活かすことができると思います。
26年卒予定といえば、現在大学2年です。正直言って就職はまだ先の話・・・そう思っている方の方が多いと思います。しっかり学業に取り組みながら、アルバイトも頑張っている。卒業まで2年もあるし、就活だってまだ先の話と思うのもわかります。しかし、キャリア形成があなたのペースであなたらしく取り組めるのは今の時期を外しておそらく人生にはないと思うのです。まずは、少し時間を取って自分と向き合う時間をつくってみてください。そして、30代40代にどんな大人になっていたいか、その頃のあなたの周りにいる人や環境の理想をノートに書き出してみてください。文章になっていなくても、箇条書きやメモで十分です。それができたら今度は、書かれた内容をカラー映像で鮮明にイメージできる程に脳トレをおこなうのですが、紙面都合でこの先はラーニングカフェでご紹介します。
今回お伝えしたいことは、キャリア形成はできるだけ早めに取り掛かることがあなたにとって絶対いいということです。キャリア形成の活動として機会があればコツコツインターンシップで職能の体験を積む、さらに会社の文化や働く大人たちの哲学に直接触れることが、成長につながらない訳がないのです。