近年の就活は売り手市場と言われています。確かに求人数と就職志望者数を比べると、学生有利な数字です。しかし25年卒の就活生で、すでに内定を得ている学生とまだ取れていない学生との間にあるのは就活力と呼ばれる差で、グリット(grit)と言われる「やり続ける力」であるように思われます。
活動の事前準備として、自己分析や業界・企業研究に取り組むのですが、ここであなたの就職力が問われるのです。
タイパに意識を向けて、自己分析や業界・企業研究を行っても欲しい成果につながらないことは、少し考えればわかるようなものだと思うのですが、そうではない学生が意外に多くおられるように散見されるのです。もちろん大切なことは質の高さですので、何でも量を最大化することがよいということを言っているのではありません。
自己分析にしろ、業界・企業研究にしろ、地道な努力を積み重ねることができているか、それともサッとシャワーで汗を流した程度で済ませているかが、成果に与える影響は決して小さくないのです。
たとえば、面接官の視点で言うなれば、「自己理解が浅いな」「勉強不足だな」といった心象や評価になります。
グリットとは、自分がやり始めたことを積み重ねることで、これを習慣化できるかどうかでグリットが高い/低いと表現します。ビジネス界でもグリットの高い人材に注目している企業が多くあります。様々な分野で素晴らしい成果を上げている人の共通点として、グリットの高さが示されているからです。
グリットが高いと思われる、いくつもの内定を得ている学生は、企業研究をしっかりやり続けながら、動いているうちにさらにより質の高い情報を入手して、面接などの準備も抜かりなく整えています。内定を得てもさらに動き続けているうちに、次の内定も、その次の内定も獲得できているといった様子で、好循環ができているのです。内定を取るためではなく、自身の人材価値の可能性を確かめるように活動しているようにも思われるのです。
一方で、就活力が薄い学生は、無理のない量であっても日々やり続けることをせず、先延ばしにしたり、後でまとめて一気に片づけようとしたりする傾向があります。その結果、自己分析は浅く、企業研究もホームページや採用ページに目を通した程度ですので、付け焼刃的な情報しかない状態で、ESを作成し、面接を受ける状況を自分で作っていることにすら気づけないまま、それでも「自分は就活を頑張っている」と思い違いをしていることが少なくないように思うのです。
グリット(grit)やり続ける力を養うことを早い段階から意識して取り組むことが望ましいのですが、いつから始めても遅くはありません。仮に自分は少し継続力が乏しいかも・・・と思った人は、そう思った今が吉日と考え、サッサと始めることが大切です。