自己理解×就活力シリーズ 第2回
「ガクチカって、何を書けばいいかわからない…」
これは、就活生から最もよく寄せられる悩みのひとつです。
「特に成果を出した経験がない」「リーダー経験もない」「何が“力を入れたこと”になるの?」と戸惑う人は少なくありません。
でも、ここで大切なのは、“目立つ経験”よりも“向き合った姿勢”です。
「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」とは、どんなテーマであっても、自分なりに課題を見つけ、工夫し、行動してきたことを丁寧に振り返る作業なのです。
今回の記事では、成果や役職に自信がない人でもしっかり書ける、“あなたらしいガクチカ”のつくり方と伝え方を、ステップ形式でご紹介します。
まず知っておきたい、「ガクチカ」の本質
「ガクチカ=学生時代に力を入れたこと」と言われると、
どうしても、“キラキラした経験”を求められているように感じてしまう人が少なくありません。
• 起業しました
• 留学して〇〇のプロジェクトを立ち上げました
• 全国大会で優勝しました
• 学生団体を立ち上げました
そんな例をネットやSNSで見て、「自分にはそんなネタがない…」と落ち込む学生も多いようです。
でも、ここで一度、深呼吸して考えてみてください。
ガクチカに「すごさ」は必要ない
実は、企業がガクチカで見ているのは、その経験がどれほど“すごい”かではありません。
重要なのは、「あなたがどんなふうに向き合い、何を考え、どう行動したか」。
つまり、「ガクチカ=成果」ではなく、
「ガクチカ=あなたの人柄や考え方、行動力が伝わるエピソード」なのです。
企業が“あえて”ガクチカを聞く理由とは?
企業は、これから一緒に働くかもしれないあなたが…
• どんなときにやる気を出すのか
• どんな価値観や思考のクセを持っているのか
• 課題や壁にぶつかったとき、どう乗り越えようとするのか
• その経験から何を学び、どう成長しようとするのか
といった、“人物像そのもの”を知りたいと思って質問しているのです。
だからこそ、キラキラした「肩書き」や「成果」ではなく、
“思考と行動のプロセス”にこそ、価値があるのです。
求められているのは、「あなたのリアルなストーリー」
あなたが地道に取り組んできたアルバイト、ゼミの発表準備、サークルの会計、
それらすべてが、立派な“ガクチカ”になり得ます。
それを見極めるカギは、自分にしか語れないエピソードを、深く丁寧に掘り下げること。
たとえば:
• 「人前で話すのが苦手だったが、ゼミで発表を繰り返すうちに、自分なりの工夫で克服していった」
• 「飲食店の新人育成を任され、うまくいかず悩みながらも、“自分の言葉で伝える”を意識して関係性を築いた」
• 「所属していた部活では目立たないポジションだったが、地味な裏方業務を誰よりも丁寧にこなし、信頼を得ていた」
それらはすべて、“あなたという人間の原点”を語るストーリーです。
そして企業は、「その人がどんな社会人になっていくのか」を見ようとしています。
「私だからこそのガクチカ」を見つける視点
1. どんな状況で、どんな気持ちが動いたか?
2. どんな小さな工夫や行動を積み重ねたか?
3. その経験が、今の自分にどんな価値観を残したか?
この3つの視点で過去を見直すことで、たとえ“地味”に思える経験でも、
深い意味と価値を持つ“あなたの言葉”で語れるようになります。
Step1|テーマは、“誇れる”より“考えた”経験から探す
「自信が持てる経験がない」と感じる人ほど、自分が“頑張った過程”に注目してほしいのです。
以下のような問いから、あなたらしいエピソードを見つけていきましょう。
こんな視点から振り返ってみよう:
• 「初めはうまくいかなかったけど、工夫して乗り越えたことは?」
• 「地味だけど、人知れず続けてきたことは?」
• 「誰かのために動いた経験は?」
• 「やる意味に悩みながらも、続けたことは?」
たとえば:
• 飲食店バイトで、接客のクレームに悩みながらも、常連さんのニーズに応える方法を試行錯誤した
• ゼミで特に目立つ役割ではなかったが、全体のレジュメ作成を地道に続け、みんなの議論を支えた
• サークルの出欠管理や会計を3年間任され、トラブルなく運営し続けた
どれも「すごい成果」ではありませんが、思考と行動が伴っていることが大切なのです。
Step2|伝える構成は、「変化と気づきの物語」で
おすすめは、“変化の物語”として構成することです。
4つの要素を意識しよう(PDRF構成)
1. P(Problem):課題や困難に気づいたきっかけ
2. D(Decision):自分なりに決断・工夫したこと
3. R(Reaction):まわりの反応や、自分の気づき
4. F(Future):今後の働き方にどう活かすか
📌 例:
私は飲食店のアルバイトで、常連客が減っていることに気づきました。
忙しい時間帯に接客が淡泊になっていることが原因ではと考え、空いた時間に常連のお客様には積極的に会話をし、名前を覚えて呼びかけるようにしました。
すると、常連の方から「最近は居心地がいい」と言ってもらえ、自分の関わりが職場の空気を変えることを実感しました。
今後も、誰かに寄り添う姿勢を大切にしながら、周囲のニーズに敏感に働きかけられる社会人を目指したいと考えています。
Step3|企業に伝わる言葉でまとめる
あなたが経験から得た学びや姿勢は、企業でどう活かせるか?という視点で言語化して締めくくりましょう。
📌 例:
この経験を通じて、自分が“裏方”で支える役割にやりがいを感じること、地道な努力を継続できる強みがあると気づきました。
御社でも、チームやクライアントを支える役割を丁寧に果たし、信頼される社会人を目指していきたいです。
よくある不安Q&A
Q.「自分の経験が地味すぎて不安です」
→ 大丈夫です。大切なのは、どんな行動をし、どんな考え方があったか。
“地味”と“価値がない”は、まったく別物です。
Q.「複数エピソードがある場合、どれを選ぶべき?」
→ あなたの強みや価値観がもっとも表れているものを選びましょう。
目立つ経験より、伝えたい人物像に近いエピソードを。
Q.「ガクチカと自己PRの違いって何?」
→ 自己PR=「自分の強み」
→ ガクチカ=「何に向き合い、どう工夫して行動したかのエピソード」
→ 共通する部分もありますが、ガクチカは“過程と成長”が軸になります。
まとめ|“あなたらしい頑張り”を、言葉にしよう
• ガクチカは、すごい成果よりも、自分の考えと行動の過程を伝えるもの
• 小さな経験でも、深く向き合ったことなら十分価値がある
• 「変化と気づきの物語」にすることで、読み手の心を動かせる
• 過去の経験を、未来の仕事につなげる視点を忘れずに
就活は、自分の“これまで”を丁寧に振り返り、“これから”を描く時間です。
ガクチカは、あなたがどんな学生だったか、そしてどんな社会人を目指すかを語る、小さな自己紹介でもあります。
焦らず、自分の言葉で、自分の物語を紡いでいきましょう。
その積み重ねが、あなたらしい未来をつくっていきます。