運動部の学生の自己PR

運動部に属する2,076人の学生に、身についた強みを複数回答で尋ねたところ、1位が礼儀・挨拶、2位がコミュニケーション能力」、3位が上下関係の理解となりました。

一方で、目標設定力、リーダーシップが低かったことに留意することがあるように思われます。

多くのバブル世代(1960-1969)の運動部は、汗、気合、根性といったもので育てられ他のではないかと思います。特に高校・大学と続けて運動部に所属した学生はそれだけでも就活では一つのアドバンテージでした。

  • 大会で活躍すれば実績としてアピールできる
  • 活動を通して忍耐力や根性がついた
  • 礼儀や挨拶がしっかりしている

これまでの社会で当たり前のように言われて生きた運動部のメリットです。入試でも推薦を受けることがあり、就職活動でもさまざまな場面でアドバンテージを持つことができました。

スポーツを通して人格や人間力を高めることはとても大切なことです。しかし、現代の時代感覚にあっていない育成では、後々本人が苦しむことになりかねないことを理解する必要があると思うのです。

指導者や先輩から言われたことをちゃんとやることが中心の受身体質から、目的や目標を掲げ、自分(たち)でやることを決めて能動的体質への改善が必要になっています。

運動部での活動を経てプロの世界に羽ばたく一握りの人は別として、多くの学生のネクストステージは社会です。その社会で通用する人間であるためには、社会が求める資質を持っていることが重要であることは誰にでも明白な話なのです。

高度成長期からの大量生産をして規律を重んじる時代では、言われたことをちゃんとやる人材が求められ、運動部に所属した学生は体育会系と言われ重宝された時代がありました。

それからバブル崩壊、リーマンショックを経たビジネス界では、自律自走できる人材が求められています。具体的には、課題を発見する力、それを解決する行動力、現状を詳細に分析する力、主体性を持っているなどが挙げられます。

現代は、気合や根性、礼儀正しいといったことだけでは、就活のアピールポイントとして非常に厳しいということです。だから運動部は就職活動に不利だとお伝えしたいのではありません。

運動部に所属して活動したという実績だけでなく、一個人として、活動を通して何を学び、どのような力を身につけることができたのかが、問われることを理解して上で、自己分析の質を高めることが大事ということです。

たとえ個人競技であったとしても、運動部に所属した人はチームで勝つことの大切さを言語以上に体感覚で身についている方が多いという印象が私にはあります。この点は、企業ではとっても重要なことです。社会のルールに則り、チームで切磋琢磨し合いながら相互依存と相互信頼の中で成長し合う関係性を築いていける人物こそが、ビジネス社会で活躍するひとつの人材像です。

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