Z世代 就活調査から男女差を考察

電通より発表された「Z世代就活まるわかり調査2024」を拾い読みしながら気になった情報をシェアします。

6月に世界経済フォーラムが発表した24年の日本のジェンダーギャップ指数は、世界146カ国中118位でした。過去最低だった昨年よりやや改善したものの、特に政治や経済の分野での男女格差は社会課題として深刻なままである状態と言えます。

調査では、男性・女性それぞれが考える働き方について紹介されています。仕事とプライベートのバランスについての希望を尋ねた質問では、「定時で帰れて、プライベートの時間を確保できる会社」を選んだ男性は26.9%だったのに対し、情勢は42.6%に上っており、女性の方がプライベートを重視する傾向が見られました。

あなたはどちらの働き方の会社を望んでいますか?

調査対象者818人のうち、「男女いずれにも該当しない」と回答した人は除かれています。

転職するしないにかかわらず、「ずっと働きたい」と感じるには、どのようなことが必要だと思いますか?当てはまるものをすべて選んでください。

「ずっと働きたい」と感じるために必要なことを聞くと、男性・女性いずれも「給料が良い」が1位でしたが、2位以降の十位には異なる傾向が見られました。特に「プライベートの時間が確保できる」を選んだ女性は51.9%に上ったのに対し、男性は32.4%で大きな差が見えました。

調査対象者818人のうち、「男女いずれにも該当しない」と回答した人は除かれています。

女性が求める「プライベート」とは、どのようなものでしょうか?24年・25年卒業予定で就活を経験した女性への追加インタビューでは次のようなことが明らかになりました。

プライベートでは仕事から離れて休息し、友人と過ごす時間や、趣味の活動に費やす時間を望む声はあるものの、「若手のうちは、仕事を一生懸命やって、なるべく多くのスキルや経験を積みたい」、「平日は仕事にしっかり取り組める方が充実すると思う」といったスキルアップに前向きな意見や、ワークライフバランスのメリハリを意識する視点でプライベートの重要性を捉えている様子が伺えました。プライベート重視と言っても、仕事の優先度を下げるものではないと考えている志向を感じました。

「ずっと働きたい」と感じるために必要なことを聞いた調査で、男女差が大きかった項目としては他に「ジェンダー差別がない」があり、この回答を選んだ男性が4.6%と顕著に低いのに対し、女性は21.5%でした。また、「社内の風通りがいい」も男女差が大きい項目で、コチラは男性が36.1%、女性が52.9%でした。

追加インタビューでも、ジェンダー比率について、「就職先を検討する際に社員の男女比率は必ずチェックする」と就職先検討時から意識する声もあったようです。

また、社内の風通しについても「若手のうちから意見が言いやすいこと」「若手でも良い意見は通る素地があること」「自分の挑戦を受け入れてくれること」などを社内の風通りの良さとして重視する声があり、個人の意見が尊重され、挑戦へのサポートが周囲から得られる環境を望んでいることが伝わってきました。

あなたは、新卒で入社した後、転職するつもりはありますか?

キャリアの考え方として、転職意向においても男女差が見られました。「転職するつもりは今のところない」と回答した女性は77.4%で、男性の67.1%よりも10pt以上高くなっていました。転職意向は上の方が低いことがわかります。

調査対象者818人のうち、「男女いずれにも該当しない」と回答した人は除かれています。

転職を検討していない情勢内定者に追加インタビューでその理由を聞いてみたところ、「自分の夢ややりたいことをかなえられる会社を選んで就活を終えたので、現時点では転職の意向はないが、人間関係が合わないと感じて、異動もできないといった場合には転職を検討すると思う」、「転職しなくても、結婚や出産など自分の状況に応じて社内で柔軟に働き方を調整できる余地があるような企業を選んで就活をし、内定先を決定した」といった声が挙がっていました。

あなたが入社前から転職を考える理由として、当てはまるものをすべて選んでください。(転職意向のある人のみ回答/男性142・女性85)

転職を検討する理由の深掘りでは、男性はスキを積んだのちの「キャリアアップ」「企業」を意識している割合が女性より5pt以上高くなっていました。一方、女性は「ライフステージの変化への対応」「多様な人生経験」を理由とする割合が男性よりも10pt以上高くなり、仕事における給与やポジションと言ったキャリアアップに重点を置く男性と、ライフステージの変化やそれによる影響を視野に入れ、仕事に限らない人生経験の充実とのバランスを重視する女性と言う志向の違いが浮き彫りになって表れたように思います。

就活や就職後の働き方に関する学生の男女における意識差について、女性の意識にフォーカスしてみました。その中で見えてきた女性の企業選びの重視点は、「給料」や「会社の安定」だけでなく、

  • 仕事とプライベートのメリハリを持って働ける
  • 社内の人間関係が良好で、若手のうちから誰もが意見を言いやすい
  • 結婚や子育てなどライフステージの変化に応じた柔軟な働き方が選択できる

といった項目がポイントではないかと伺えました。これらの時代は、女性就活生に顕著な項目として表出しているものの、本来は男女問わず、また就活生に限らない既存の社員にとっても働きやすい、働き続けたい企業として重要なポイントだと思います。これらの点を踏まえて、すでに取り組んでいる内容についてはしっかり社内外へ発信し、不足している場合は社内を変革することを、企業はこれまで以上に求められるようになるでしょう。企業の魅力向上だけではなく、社会のジェンダーギャップを埋めていくアクションにもつながっていくのではないかと期待をします。

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