25年卒 就活前半戦調査から

25年卒予定の大学生・大学院生を対象に「就職先人気企業ランキング調査」(文系:国公立大学90大学・私立大学24大学とその大学院生 理系:国公立大学93大学・私立大学20大学とその大学院生 n=3,516名)が行われダイヤモンド・ヒューマンリソースから結果が発表されました。この調査は1978年から実施されており今回で47年度目と歴史と信頼性が高いデータのひとつとして個人的に注視しています。

少子高齢化を背景とする若年層の労働力不足に加え、アフターコロナを見据えた企業の旺盛な採用意欲の下、新卒採用市場は学生優位である売り手市場にあると言えます。

25年卒から適用となったインターンシップルールの変更により、学生との接点をどう持つか各社が最適解を模索する中、文理男女ともに業績のよい大手企業、中でも早期から積極的に学生との接点を提供した業界トップ企業に人気が集中する結果となっていました。

文系男子ランキング

総合商社・大手金融が上位独占/伊藤忠商事がV5

伊藤忠商事が5年連続で1位となったほか、住友商事(2位)、三菱商事(3位)、丸紅(4位)と総合商社がトップ5に4社入りました。総合商社は、エネルギー・資源価格の高騰と歴史的な円安を背景に、前期決算で大手5社中4社が最高益を更新。資源価格の沈静化を受けて今期は各社減益となる予測ですが、上半期の決算発表では純利益予想を揃って上方修正するなど好業績を維持しています。幅広い事業領域で活躍する商社パーソンへの学生の憧れも引き続き根強く、人気の高さを見せつけました。

大手金融機関は、東京海上日動火災保険(5位)、日本生命保険(6位)、三井住友海上火災保険(7位)、三菱UFJ銀行(8位)、大和証券グループ(9位)、三菱UFJ信託銀行(10位)とトップ10に6社ランクインしました。中でも、長期金利の上昇を背景に収益拡大が見込まれるメガバンクは、三菱UFJ銀行(11位→8位)、三井住友銀行(16位→13位)、みずほフィナンシャルグループ(33位→14位)と順位を上げています。長年据え置いていた初任給の大幅な引き上げや転居を伴う転勤への手当支給の大幅増額など、学生が理解しやすい形での待遇改善も人気上昇の追い風となったようです。

総じて業績のよい大手企業、中でも早期から積極的に学生との接点を提供した業界トップ企業に人気が集中する結果となりました。

理系男子ランキング

総合商社・デベロッパーが上位に/伊藤忠商事が連覇

文系男子に続き、理系男子でも伊藤忠商事が2年連続の1位となったほか、住友商事(2位)、三菱商事(5位)と総合商社が3社トップ5に入りました。上位の総合商社は毎年一定数の理系採用を継続しており、幅広い事業領域で理系出身者がどのように活躍しているのか、ホームページなどで発信しています。専攻分野の研究開発だけでなく、事業プロデューサーとして理系の素養を生かしたいと考える学生の人気を集めたようです。

話題性のある再開発案件や大型オフィスビルの新規稼働、商業施設やホテル事業の収益改善により最高益が見込まれる不動産デベロッパーは、三井不動産(3位)、NTT都市開発(4位)、三菱地所(7位)、森ビル(10位)、と4社がトップ10に入りました。

デジタル投資の拡大を背景に業績が好調で、早期から積極的に情報発信に取り組むIT・情報系大手も引き続き学生の人気が高く、Sky(6位)、野村総合研究所(9位)がトップ10入りしました。

文系女子ランキング

女性活躍推進積極企業が上位に/トップは伊藤忠商事

伊藤忠商事が前半戦調査で3年連続1位となったほか、三菱商事(2位)、住友商事(3位)、丸紅(6位)と総合商社4社がトップ10に入りました。1位の伊藤忠商事は、取締役会の任意諮問委員会として「女性活躍推進委員会」を設置。委員の半数にあたる3名が女性、3名が社外役員であり、女性や外部からの新しい視点を通じた議論を重視しています。委員会の提言が取締役会に直接答申され、全社施策として女性の活躍の後押しを進めていることも好感されているようです。

不動産デベロッパーは、三井不動産(18位→4位)、三菱地所(19位→7位)と大幅に順位を上げトップ10に2社ランクインしました。

文系女子は女性が長く働きやすい環境や制度、活用実績を重視する傾向がありますが、大手金融機関は伝統的に女性の採用数が多く、ライフステージの変化に応じて仕事と私生活を両立させやすい制度の利用実績や、制度を活用しながらキャリア形成して活躍する先輩社員のロールモデルも豊富です。5位の三菱UFJ銀行をはじめ、日本生命保険(8位)、東京海上日動火災保険(9位)、大和証券グループ(10位)と大手金融機関はトップ10に4社入りました。

理系女子ランキング

上位に並んだのは不動産・商社/森ビルが1位

森ビルが1位となったほか、NTT都市開発(7位)、三菱地所(8位)、三井不動産(9位)とデベロッパーがトップ10に4社入りました。1位の森ビルは、地下鉄日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅と一体的に開発を進めた「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」や、高さ330メートルで日本一の高層ビルとなる「麻布台ヒルズ森JPタワー」の開業など話題に事欠きません。女性採用比率も3割以上と高く、建築・土木系に限らず幅広く活躍の場があることが認知されています。

化粧品の国内シェアトップで圧倒的なブランド力を誇る資生堂(2位)は、機械・電機からバイオまで広く理系の専攻を生かせる企業として従来から人気を集めています。6位のベネッセコーポレーションとともに、直近の女性管理職比率は、35%超と、女性のライフイベントを支援する様々な制度や支援策に早くから取り組んできた成果も人気上昇の背景にありそうです。

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