古今のデータから就活の傾向を考える

毎年就活生に対してさまざまなアンケート調査が行われています。今回は就活生の職業観/労働観や働くことの本質をどのように捉えているかを伺えるデータを集めてみました。

最初に「仕事に対する価値観(仕事にどのようなことを求めているか)」見ると、2017年以来順位に大きな変化なく、「安定」「貢献」「成長」がTOP3を維持していることが分かります。安定した環境に身を置いた上で、貢献・成長していきたいという指向が定着しているように思われます。

言いたいことは分からないでもないのですが、貢献や成長といった文脈の中には選択肢にある、チャレンジ、理想、責任、共存、影響、創造、競争、自律といったワードが含まれることが実社会では当然のようにあるものです。残念ながら今あげたワードは近年のチャレンジ以外、どれも10%台から一桁となっていることに気づいて欲しいとおもうのです。

この調査では選択肢の詳細を次のように示していました。

「内(々)定企業にエントリーするきっかけとなった事柄は何か」についてでは、「希望する勤務地で働けそうだから」「業界に興味があったから」「製品・サービスに興味があったから」が上位を占めていました。気になったことは、その選択と自己分析の結果の整合性が取れているか、ということなのですが、残念ながらそこまでは読み切れないで―となっています。ただ、毎年行われている新入社員に対しての調査で「就活でもっとやっておくべきだったと思うこと」の上位に自己分析が票を集めていることで、企業選択と自己分析の整合性が取れていないと入社後に自覚する人が少なくないことは伺えます。

企業の中では適材適所という言葉がありますが、それ以前に、自分が何に対して適材なのか、自分にとっての適所とはどこか、をどれだけ自己分析と企業研究で掘り下げたかで、キャリアのスタートが大きく変わることを学生時代に気づいておくことが大切だとお伝えしておきます。

学生の志望度に最も影響が大きい場面としては、24年卒では「面接」と「インターンシップ」がほぼ同水準でTOPになっていました。この傾向が今後のスタンダートになるかと思われます。一方で「会社説明会」は、対面からWEBの転換点となった21年卒を境に選択率が減少しています。これも若干回復は見られるかと思われますが、影響度としては以前のようには戻らないと予想されます。

24年卒以降の就活では、インターンシップが就活の一歩目として定着していることが25年卒の動きを観察していてもよくわかります。

内定承諾の最終的な理由は「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が増加しています。この要因として、採用時に職種や勤務地を確約する企業が増えていることがその背景にあると思われます。意思決定要因として社員や社風の魅力の重視度が下がっているとはいえ、依然として志望度への影響度はあることも伺えます。

企業は、学生が企業とのあらゆる接点から企業のスタンス、社員や社風を感じ取っていることを理解する必要がさらに高まってきた時代と思われます。

このようなデータを参考に25年卒の皆さんの就活におけるそれぞれのチェックに役に立つことができたら幸いです。

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