「就職活動は就職先を決めること」と捉えると、その活動は内定(内々定)獲得に必死になってしまうのもわかる気がします。ですが実際には、職業人としてのキャリアのスタートラインに立つことで、二度とない人生を自分らしく歩んでいくことが重要なのです。
キャリアの視点で就活を考えることは、自分の二度とない人生をしっかり自覚して主体的に選択/意思決定をすることが大切だと思うのです。「自分はどんな人生を歩みたいのか?」と自分と向き合うことが何よりも重要なことだと考えています。
就活を就職先を決めるという“点”で捉えるのではなく、人生をこのように歩みたいからキャリアはこうしたい、といった“線”で捉えることが就活の本質だと思うのです。
前回触れた3年3割問題の背景に、就活を点として活動したことで招いていることが、少なくないように最近強く感じています。
厚生労働省では、キャリアとは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖をさすものです、と示しています。そしてキャリア形成の定義を、このようなキャリアの概念を前提として、個人が職業能力を作り上げていくこと、すなわち、「関連した職務経験の連鎖を通して職業能力を形成していくこと」と捉えることが適当と考えられる、と説明しています。
最近ではワーク・ライフ・バランスを整えることがよりよい生き方に肝要であることが広く認知されてきました。この整えるとは、ワークとライフを別々に切り離すことではないと思うのです。ワークとライフを合わせて人生となるのですから、二つを統合することが整えることではないかと思うのです。
仕事においても生活のなかでも、成長や自己実現の延長線上には生きがいにつながります。でも世の常として、仕事は楽しいだけではありませんし、日々バラ色の生活もあり得ないのが人生です。だから苦しくても辛くても、そこから逃げ出さず自分の力と可能性を信じることができる職業の選択、生きる歩み方を学生のうちにある程度、そうぼんやりながらも言語化するくらいにはしておくことをお勧めするのです。
そのためには一定の可処分時間が必要になります。ですから2年の後期辺りを目安にして自分と真摯に対峙する機会を持ち、二度とない人生をどのように歩んでいきたいのか、そんな自分はどんな仕事で社会や世の中の人々に役に立つ(貢献)存在でありたいのかを深化熟考することが重要なのです。
自分で主体的にキャリアを築くことは、とても大切なことです。現在の就活環境は、学生が優位である「売り手」市場といわれています。ですがかつては氷河期とまで言われた、就活生に厳しい時代もありました。
私たちが人生を歩んでいくには、外(社会)の環境と無関係には生きていけません。学生であっても然りです。たとえばコロナ禍では、ガクチカに書くことがないと大勢の就活生が悩んでいました。バイトができず経済的に苦しい想いをされた学生がいました。なかには退学せざるを得ない学生もおられたのです。或いは就職氷河期が再び起きることだってあるかもしれません。
いくら主体的に考え決めていると思っていても、そうした外の環境に影響されていることに無自覚ではよりよく生きることができないのが世の常なのです。
売り手市場である今の就活では、多くの企業から内定を得たとしても、あなたが入社するのは1社だけです。その1社を選択する際に、企業規模や歴史、ブランドなどを基準の優先事項にしてしまうことが、3年3割の因になっていると思うのです。
自分が二度とない人生でどう生き方を歩みたいか、どんな仕事を通して社会や人々に役に立つ存在になりたいか、といった人生観や仕事観から深化熟考した志望先であるかどうかは、あなたが生き生きと日々を送ることができるかどうかと直結するものであることを、知識として「知っている/わかっている」ではなく、そうなるために「いま努力を積んでいる」と自覚できていることが重要なことなのです。
26年卒、27年卒のみなさん、私たちあおラボは、あなたの就活がより本質的であるように支援・お手伝いさせていただきます。