「就活の軸がわからない」あなたへ|自分らしい判断基準を育てる3つの視点

自己理解&表現スキル編|第5回

「就活の軸がわからない」あなたへ

自分らしい判断基準を育てる3つの視点

はじめに|「軸がないといけない」って本当?

就職活動が本格化してくると、エントリーシートや面接で必ず問われるのが「就活の軸は何ですか?」という質問です。

企業研究や自己PRの準備を進めるうちに、

「自分にはこれといった軸がない…」

「どうやって“軸”を見つければいいかわからない…」

そんな不安を抱く人が少なくありません。

でも安心してください。

「就活の軸」は、最初から明確にあるものではなく、“育てていくもの”です。

今回は、キャリアコンサルタントとして多くの学生や社会人と向き合ってきた経験から、「自分らしい就活の軸を育てる3つの視点」と、軸を整理するための具体的なワークをご紹介します。

1. 就活の軸=「自分にとっての大事な価値観」

そもそも「軸」とは何でしょうか?難しく聞こえるかもしれませんが、本質的には自分にとって譲れない価値観や大切にしたいことを言葉にしたものです。

たとえば…

• 「人の役に立てる実感を持てる仕事がしたい」

• 「成長できる環境でチャレンジしたい」

• 「地域に根ざした仕事で暮らしに貢献したい」

• 「ワークライフバランスを大切にしたい」

どれも立派な軸です。

就活の軸=人生の選択基準であり、職業選択だけでなく、その後のキャリアや生き方にもつながっていく判断の土台になります。

しかし、いきなり言語化するのは難しいもの。

そこで、まずは軸の要素を「3つの視点」から整理していく方法をおすすめします。

2. 「軸」を育てる3つの視点

(1)過去の経験から見つける

これまでの学生生活やアルバイト、部活動、ボランティアなどの経験を振り返ってみましょう。

その中で、

• 「頑張れた」「夢中になれた」

• 「達成感を得た」「やってよかった」

と感じた出来事には、自分の価値観がにじみ出ていることが多いです。

たとえば、文化祭の実行委員を頑張れた人は「チームで協力して何かを成し遂げる」ことに喜びを感じるタイプかもしれません。

その価値観は、「協働性を重んじる企業」「チームワークを大切にする仕事」と相性が良いでしょう。

(2)理想の未来像から逆算する

「10年後、どんな社会人になっていたいか?」という問いから逆算するのも有効です。

その未来像を描くことで、

「その姿になるには、どんな環境・仕事を選ぶべきか」

という問いが生まれ、軸が具体化していきます。

「人の成長を支える仕事がしたい」「地域で暮らす人の力になりたい」など、自分の“ありたい姿”に近づく道としての軸を考える視点です。

(3)「どんな環境で働きたいか」を明確にする

仕事内容よりも先に、「どんな環境で、どんな人たちと、どんなスタイルで働きたいか」を考えるのも効果的です。

• 大企業 or ベンチャー

• 都市型 or 地方密着型

• 安定志向 or 変化志向

• チームワーク重視 or 個人裁量型

など、働く“場”や“関係性”にフォーカスすることで、自分のストレス耐性やモチベーションの源泉を探るヒントになります。

3. 軸を整理するためのワーク|「自己基準マップ」

「軸がぼんやりしている…」という方におすすめなのが、自己基準マップです。これは、自分の価値観や重視したい条件を、以下の4つの領域に分けて洗い出すワークです。

領域 主な問い

① やりがい どんなときに達成感を感じる?人の役に立つとは?

② 成長機会 自分が伸びるには、どんな環境が必要?

③ 働き方 チーム?個人?オフィス?在宅?どんな働き方が合う?

④ 条件面 給与・勤務地・福利厚生・休暇制度など、現実的な希望は?

それぞれの項目に3~5つずつ書き出し、優先順位をつけてみましょう。

そこから導き出された「共通キーワード」や「絶対に譲れない条件」が、あなたの“就活の軸”になっていきます。

4. 軸を「使える言葉」に変えるには?

軸を見つけたら、次は面接やESで“伝わる言葉”に変えるステップが必要です。

そのためには以下の流れで整理するとスムーズです。

1. 価値観・軸の核心:「私は〇〇を大切にしています」

2. 背景・理由:「なぜなら、過去の□□という経験から…」

3. 企業との接点:「この軸と御社の□□という考えが一致していると感じたため志望しました」

この構成で話せるようになると、単なる“理想論”ではなく、「自分の価値観と企業のマッチング」を語ることができるようになります。

5. 「軸」は途中で変わってもいい

最後に大切なことをひとつ。

就活の軸は、一度決めたら一生変えられない“正解”ではありません。

実際に働いてみたり、社会人と話したり、インターンや説明会に参加する中で「なんか違うな…」「こういう仕事もいいかも」と感じることは自然なことです。

軸とは「自分らしい選択を導くための“羅針盤”」。

それは、旅をするほどに精度が上がり、調整されていくものです。

まとめ|自分にしかない「軸」で、納得の就活を

就活の軸とは、あなたの価値観・人生観を言語化したもの。

それは、他の誰でもない“あなた自身の物語”から生まれる指針です。

焦らず、自分の経験を振り返り、これからの自分を思い描きながら、軸を育てていきましょう。

どんなに曖昧でも、一歩踏み出せば、必ず形になっていきます。

あなたの就活が、誰かに合わせた就活ではなく、

“あなた自身が選び、納得できる未来”へのステップになりますように。

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