学歴は変えられない――だからこその戦い方がある

学歴は、たしかに変えられない

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。

昨日は、8要素の7つ目「実績」を見てきた。実績がないのではなく、ハードルを自分で上げすぎているだけだ、という話だった。

今日は、いよいよ最後の要素、⑧スペックだ。学歴、TOEICのスコア、資格、海外経験。数字や肩書きで示せるものである。

正直に言おう。学歴は、今から変えられない。ここだけは、きれいごとを言っても仕方がない。でも、だからこそ知っておいてほしいことがある。スペックは、就活のどこで効いて、どこでは効かないのか。今日は、そこをはっきりさせていく。

Chapter 33 スペックは、どこで効いているのか

スペックの話になると、学生は極端になりやすい。「学歴がすべてだ」と絶望するか、「学歴なんて関係ない」と目をそらすか。どちらも、実際とはちがう。この章では、スペックが働く場所を、正確に見ておこう。ここが整理できると、無駄な不安が減る。

33-1 スペックとは、証明を省略できる記号

そもそも、なぜ企業はスペックを見るのだろう。意地悪でも、差別でもない。理由は、もっと実務的だ。

企業には、限られた時間しかない。何千人もの応募者を、一人ずつじっくり見ることはできない。そこで、短時間で判断するための手がかりが必要になる。TOEIC八百点なら、英語を勉強してきた人だとわかる。簿記二級なら、会計の基礎があるとわかる。つまりスペックとは、「説明しなくても伝わる記号」なのだ。中身の証明を、省略できる。だから使われている。それ以上でも、それ以下でもない。

スペックを、人の価値ではなく「省略記号」として見てほしい。そう捉えると、必要以上に、おびえずにすむ。記号は、あくまで入口の道具だ。あなたという中身とは、別のものだと考えていい。

33-2 学歴フィルターは、あるのかないのか

学生がいちばん気にするのが、ここだろう。正直に答える。一部の企業には、実質的にそういう仕組みがある。ないとは言えない。

ただし、それは主に、応募が殺到する一部の大企業の話だ。日本の企業の大半は、そんな余裕もないし、必要もない。むしろ、多くの企業は「どこの大学か」より「どんな人か」を見ている。実際、地方の優良企業ほど、人物本位で選ぶ傾向が強い。だから、学歴フィルターは「ある場所にはある」が「すべてではない」。この事実を、正確に持っておいてほしい。過大にも、過小にも見ないことだ。

「フィルターがある」と絶望も、「関係ない」と楽観もしないでほしい。正確に知ることが、いちばん冷静な準備になる。そして、自分を評価してくれる会社は、必ずどこかにある。探し方の問題だ。

33-3 スペックは「入口」であって「合否」ではない

仮にフィルターを通過したとしよう。では、その先はスペックで決まるのか。ここが、大事なところだ。

答えは、決まらない。スペックが効くのは、書類選考までだ。面接に入れば、話す内容と、その人の中身で判断される。だから、高いスペックの人が最終で落ち、そうでない人が受かる。これは、日常的に起きている。スペックは、入口を通るためのカードであって、合否を決めるものではない。入ってからは、この連載で扱ってきた七つの要素が、そのまま効いてくる。

スペックを、ゴールではなく入口として捉えてほしい。入った先で勝負するための準備に、時間を使おう。入口の広さは会社によってちがうが、入ってからの戦い方は、どこでも同じだ。そして、その戦い方は、この十日間で扱ってきた。

33-4 学歴は変えられないが、他は今から積める

スペックの中で、唯一、変えられないのが学歴だ。だから、ここで止まってしまう人が多い。もったいない。

でも、スペックは学歴だけではない。TOEICのスコア、簿記や宅建などの資格、プログラミング、短期の海外経験。これらは、今からでも積める。しかも、数か月あれば、形になるものも多い。つまり、スペックという項目のうち、変えられない部分は一つだけで、あとは可変なのだ。変えられないものを見つめて時間を使うより、変えられるものに手をつけたほうが、はるかに前に進める。

変えられない一つに、時間と気力を奪われないでほしい。残りは、今日から積み上げられる。そこに、力を注ごう。しかも、今から積んだものには、必ず「なぜ取ったか」という物語がつく。

Chapter 34 スペックとの、正しい距離感

スペックは、持っていれば有利だ。でも、持っていることと、評価されることは、別の話である。この章では、スペックとの距離の取り方を見ていこう。ここを誤ると、高いスペックが、かえって足を引っぱることさえある。

34-1 スペックは、他の七要素の代わりにならない

「資格をたくさん取れば、なんとかなるのでは」。不安になると、そう考えてしまう。でも、ここは冷静になってほしい。

スペックは、他の七つの要素の代わりにはならない。TOEIC九百点でも、人の話を聞けなければ、職場では困る。資格を五つ持っていても、自分で考えて動けなければ、任せられない。企業が採用したいのは、資格ではなく人だからだ。だから、スペックは「加点」にはなるが、「土台」にはならない。土台は、あくまで自信、価値観、思考力、人間関係構築力の四つである。

資格集めに走る前に、土台が育っているかを確かめてほしい。順番をまちがえると、努力が実りにくくなる。土台があってこそ、加点も生きる。順番だけは、まちがえないでほしい。

34-2 高いスペックの人が、落ちる理由

「あんなに優秀な人が、なぜ落ちたのだろう」。就活では、こういう場面をよく見る。不思議に思うかもしれない。

理由は、はっきりしている。スペックに頼りすぎて、他の準備をしていないからだ。高い学歴や資格があると、「これで足りるだろう」と考えてしまう。すると、自己分析が浅くなる。志望動機が薄くなる。面接官から見れば、「優秀そうだが、うちで働きたい理由が見えない」という状態になる。しかも、スペックが高い人には、期待値も上がる。だから、中身が伴わないと、落差が大きく見えてしまう。

スペックがある人ほど、油断しないでほしい。逆に、スペックがない人には、この落とし穴がない。全力で準備できる。持たないことが、じつは準備の本気度につながる。そういう面もある。

34-3 スペックが高くない人の、勝ち筋

では、スペックで勝負できない人は、どう戦えばいいのか。ここが、今日いちばん伝えたいところだ。

勝ち筋は、はっきりしている。スペックで測れない部分を、徹底的に厚くすることだ。深く掘った自己分析。具体的な志望動機。過程まで語れる経験。そして、対等に向き合える姿勢。これらは、書類の一行では伝わらないが、面接では確実に伝わる。つまり、会って話す場に持ちこめれば、勝負できる。だから、まず面接まで進める会社を探し、そこで全力を出す。この戦い方が、いちばん現実的で、しかもよく効く。

書類では負けても、会えば勝てる。そういう自分を、この夏につくってほしい。準備は、裏切らない。そして、会える機会は、探せば思っているより、ずっとたくさんある。

34-4 数字は、努力の証明として使える

スペックのもう一つの使い道がある。それは、「努力できる人だ」という証明として使う方法だ。

たとえば、TOEICが四百点から七百点に上がったとする。この数字自体より、「半年で三百点上げた」という事実のほうが、はるかに強い。企業は、そこに継続力と学習能力を見る。到達点ではなく、伸び幅を語るのだ。同じように、「授業と両立しながら、三か月で簿記三級を取った」も立派な話になる。スペックを、能力の証明ではなく、努力の証拠として使う。この視点を持つと、平凡な数字も、武器に変わる。

自分のスペックを、「どこから、どう伸ばしたか」で語ってほしい。伸び幅は、あなたの姿勢を映している。今からでも遅くない。今日の点数が、半年後の伸び幅の出発点になる。

Chapter 35 今から積める、スペックの選び方

「何か資格を取ろう」と思っても、種類が多すぎて迷う。そして、迷っているうちに夏が終わる。この章では、限られた時間で、何を選び、どう取り組むかを見ていこう。選び方さえ間違えなければ、数か月で形になる。

35-1 資格は「志望と結びつく」ものを選ぶ

「何か持っていたほうがいい」と考えて、取りやすい資格から手をつける人がいる。でも、これは効率が悪い。

大事なのは、志望する仕事とのつながりだ。金融や経理を志望するなら簿記。不動産なら宅建。ITならITパスポートや基本情報。営業なら、業界に関わる知識の資格。つながっていれば、「なぜこれを取ったのか」に、そのまま答えられる。逆に、志望と無関係な資格をいくつ並べても、「何がしたいのかわからない人」に見えてしまう。数ではなく、一貫性が効く。

資格を選ぶ前に、志望する仕事を、ざっくりでいいので決めてほしい。そこから逆算すると、選ぶ資格は自然に決まる。迷ったら、一つに絞る。数を並べるより、筋を通すほうが効く。

35-2 TOEICは、期限を切ると伸びる

英語のスコアは、多くの企業で共通して見られる。だから、志望が定まっていない人には、いちばん無難な選択肢になる。

ただし、「そのうち勉強しよう」では、まず伸びない。TOEICが伸びる人と伸びない人のちがいは、才能ではなく、期限を切ったかどうかだ。先に受験日を申し込む。日付が決まると、逆算して勉強するしかなくなる。しかも、一度受けると、自分の弱点がはっきりする。だから、準備が整ってから受けるのではなく、受ける日を決めてから準備する。この順番が、正解だ。

今日、次のTOEICの日程を調べて、申し込んでしまってほしい。日付が決まれば、勉強は、あとから始まる。点数が低くても、まったく気にしなくていい。出発点が、はっきりするだけだ。

35-3 海外経験は、短期でも意味がある

「留学していないから不利だ」と感じる人は多い。長期留学は、たしかに時間もお金もかかる。だから、あきらめてしまう。

でも、海外経験は、長さで評価されるものではない。二週間の短期でも、自分で計画し、現地で困り、乗りこえた経験があれば、十分に語れる。むしろ、大切なのは「自分で決めて行った」という事実のほうだ。用意されたプログラムに参加しただけの一年より、自分で調べて手配した二週間のほうが、話に力がある。行き先も、欧米である必要はまったくない。

短期でも、自分で計画する形を選んでほしい。長さより、自分で決めた度合いが、そのまま話の強さになる。行けなくても、国内で同じ構造の経験を探せばいい。要は、自分で決めることだ。

35-4 スペックより「なぜ取ったか」が効く

資格やスコアを並べたエントリーシートを見て、面接官が必ず聞くことがある。「なぜ、これを取ったのですか」だ。

ここで答えられないと、せっかくのスペックが、逆に印象を悪くする。「とりあえず取りました」では、目的なく動く人に見えてしまうからだ。逆に、「営業として、お客様の決算書を読める人になりたくて、簿記を取りました」と言えれば、スペックが一気に生きる。数字や資格そのものより、その裏にある動機が評価されている。これは、昨日の「実績」の話とまったく同じ構造だ。

取った資格には、「なぜ取ったか」を必ず用意してほしい。この一文がないと、スペックは、ただの飾りになる。逆に、この一文があれば、平凡な資格でも、十分に語れる材料になる。

Chapter 36 今日から始める、スペックとの付き合い方

最後に、スペックとどう付き合うかを、具体的な行動に落としておく。ここで大事なのは、頑張ることより、時間の配分を決めることだ。限られた時間を、どこに使うか。それが、秋以降の結果を左右する。

36-1 志望業界で効くスペックを、調べる

「何を取ればいいかわからない」まま動くと、時間を無駄にする。まずは、調べるところから始めよう。

方法は簡単だ。志望する業界の求人票や、企業の採用ページを、五社ほど見てみる。「歓迎するスキル」「あると望ましい資格」の欄に、繰り返し出てくるものがあるはずだ。それが、その業界で効くスペックだ。この作業は、一時間もあれば終わる。しかも、業界研究にもなるので、二重に役立つ。人に聞いた噂ではなく、企業が公開している情報から、自分で確かめる。そのほうが、確実だ。

今週、志望業界の求人を五社分だけ、読んでみてほしい。何を求められているかが、はっきり見えてくる。そして、意外なことに、資格の記載がない会社も多い。それも、大事な発見だ。

36-2 一つだけ、期限を決めて取る

調べた結果、いくつか候補が出てくるだろう。ここで、まじめな人ほど、全部やろうとして手が回らなくなる。

だから、一つに絞る。そして、期限を決める。「十一月の試験で、簿記三級を取る」「十月のTOEICで、六百点を取る」。日付と目標を、セットで決める。決めたら、逆算して、週にどれくらい勉強するかを割り出す。ここまでやって、初めて動き出せる。しかも、一つやりきると、それ自体が「やりとげた経験」になる。昨日扱った実績の型に、そのまま当てはまる。二重に効く。

今日、一つだけ選んで、期限を紙に書いてほしい。日付を書いた瞬間から、計画は動き始める。書いた紙は、目に入る場所に貼っておこう。見える化が、続ける力になる。

36-3 学歴を、言い訳にも武器にもしない

学歴について、二つの落とし穴がある。一つは、言い訳にすること。もう一つは、武器にしすぎることだ。

「どうせ学歴で落とされる」と言う人は、そこで準備をやめてしまう。すると、本当に落ちる。逆に、学歴に頼る人は、他の準備を怠り、面接で見ぬかれる。どちらも、学歴に振り回されている点では同じだ。健やかな態度は、その中間にある。学歴は、事実として受け入れる。有利にも不利にも、必要以上には考えない。そして、自分がコントロールできることに、意識を戻す。この切り替えが、いちばん強い。

学歴について考える時間を、意識的に減らしてほしい。その時間を、準備に回したほうが、結果は変わる。考えても変わらないことに使う時間は、いちばんもったいない。

36-4 残りの七要素に、時間を配分する

この連載も、いよいよ大詰めだ。ここで、時間の使い方について、はっきり言っておきたい。

スペックにかける時間は、全体の二割で十分だ。残りの八割は、他の七要素に使ってほしい。自己分析を深める。経験を掘り直す。文章の型を練習する。話す練習を録画する。人と会う。これらのほうが、就活の結果に、はるかに大きく効く。スペックは、あくまで入口のカードだ。カード集めに時間を使いきって、中身の準備をしないのが、いちばんもったいない失敗になる。

自分の準備時間の配分を、一度、点検してみてほしい。資格の勉強ばかりになっていないか。バランスが、結果を決める。何をやるかと同じくらい、どこに時間を置くかが、大事になる。配分を決めるのは、あなた自身だ。

今日のまとめ

スペックとは、企業が短時間で判断するための「省略記号」だ。人の価値ではない。そう捉えれば、必要以上におびえずにすむ。

学歴フィルターは、ある場所にはある。でも、すべてではない。多くの企業は、どこの大学かより、どんな人かを見ている。過大にも、過小にも見ないことだ。

そして、スペックが効くのは入口までだ。面接に入れば、この連載で扱ってきた七つの要素が、そのまま勝負どころになる。だから、書類で負けても、会えば勝てる。そういう自分をつくればいい。

スペックの中で変えられないのは、学歴だけ。TOEIC、資格、短期の海外経験は、今からでも積める。ただし、選ぶなら志望と結びつくものを、一つだけ、期限を切って。そして必ず「なぜ取ったか」を用意しておく。

明日は、この連載の最終回だ。八つの要素を、一つの力としてつなぎ直す。そして、この夏をどう過ごし、秋からどう動くか。あなたが「選ばせる」側に立つための、最後の一日にしたい。

変えられないものより、変えられるものに力を注いでほしいと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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