「すごい経験」はいらない――実績という言葉の正体

「語れる実績が、何もない」と思っている人へ

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。

昨日は、8要素の6つ目「容姿・雰囲気」を見てきた。顔立ちの話ではなく、整えられる部分だけが見られている、という話だった。

今日は、7つ目の「実績」だ。8つの要素の中で、いちばん多くの学生が固まるのが、ここだと思う。「留学もしていない」「大会で優勝したわけでもない」「サークルの代表でもない」。

でも、これは、実績という言葉の定義がずれているだけだ。企業が見ているのは、成果の大きさではない。今日は、その中身と、今から実績をつくる方法を、一緒に見ていく。

Chapter 29 「実績がない」は、定義のズレ

「実績」と聞いて、多くの人が、輝かしい成果を思いうかべる。そして、自分と比べて落ちこむ。でも、企業がこの言葉で見ているものは、かなりちがう。この章では、その定義のズレを、はっきりさせておこう。ここが整理できると、あなたの手持ちの材料は、一気に増える。

29-1 実績を「すごい成果」だと思っていないか

「学生時代に力を入れたことを教えてください」。この質問に、多くの学生が、答えを見つけられずに固まる。

なぜかというと、頭の中で「すごい成果でなければならない」というハードルを、自分で立ててしまっているからだ。全国大会、留学、起業、資格。そういうものを想像し、「自分にはない」と結論を出す。でも、そもそも企業は、そんなものを求めていない。実際、採用される学生の大半は、そういう派手な経歴を持っていない。ハードルは、あなた自身が立てたものであって、企業が立てたものではないのだ。

「実績」という言葉のハードルを、いったん下げてほしい。下げた瞬間に、語れる材料は、いくつも見つかる。今の自分に何もない、と決めつける前に、まず定義を疑ってみよう。

29-2 企業が見ているのは、成果ではなくプロセス

面接官が「学生時代の経験」を聞くのは、その成果を評価したいからではない。もっと知りたいことがある。

それは、あなたが「どう動く人か」だ。何を大事にして、どこでつまずき、どう工夫して、何を学んだか。この過程にこそ、その人の働き方が表れる。だから、大会で優勝した話でも、過程が語れなければ評価されない。逆に、地味なアルバイトの話でも、考えて工夫した過程がはっきりしていれば、しっかり評価される。企業は、結果を買うのではなく、これから働く人を選んでいるからだ。

自分の経験を、結果ではなく、過程から語ってみてほしい。「どう考えて、どう動いたか」。そこが、いちばん見られている。結果が出なかった経験でも、過程がしっかりしていれば、十分に語れる。

29-3 「やりとげた」という事実に、価値がある

派手さがなくても、企業が高く評価する経験がある。それは、「途中でやめずに、やりとげた」という事実だ。

理由は、はっきりしている。仕事は、面白いことばかりではないからだ。地味な作業が続く時期も、うまくいかない時期もある。そこで投げ出さずに続けられる人かどうかを、企業は知りたがっている。だから、「三年間、同じバイトを続けた」は、じつは立派な実績だ。すごい成果ではないが、続けたという事実には、代えのきかない説得力がある。しかも、これは真似できない。時間をかけた人にしか、持てないものだからだ。

「続けたこと」を、実績として数えてほしい。地味に見えても、企業から見れば、十分に価値のある事実だ。しかも、続けた期間は、あなただけのもので、後から誰にも埋められない。

29-4 実績は、探すものではなく、拾い直すもの

「実績を探そう」と過去を振り返っても、たいてい何も見つからない。すごいものを探しているから、目に入らないのだ。

だから、探すのではなく、拾い直す。すでにある経験を、別の目で見直す作業だ。「バイトでシフトリーダーを任された」「ゼミの発表で、資料づくりを引き受けた」「三年間、家族の弁当をつくり続けた」。どれも、そのときは実績だと思っていない。でも、視点を変えれば、立派に語れる。ないのではなく、実績として認識していなかっただけだ。多くの学生が、この拾い直しをするだけで、語れる材料を三つも四つも見つけている。

過去を「すごい成果探し」ではなく、「やってきたこと探し」として振り返ってほしい。見え方が、まるで変わる。

Chapter 30 実績を構成する、三つの型

では、企業が実績と呼ぶものは、具体的に何なのか。私は、三つの型に分けて考えている。この章では、その三つを見ていこう。自分の経験がどれに当てはまるかを、考えながら読んでほしい。三つのうち、一つあれば十分だ。

30-1 信念を持って、やりとげた経験

一つ目の型は、「信念を持って、やりとげた経験」だ。ここで大事なのは、成果ではなく、信念とやりとげたという二つの言葉である。

信念とは、大げさなものでなくていい。「一人も置いていきたくなかった」「お客さんに、また来てほしかった」。その程度で十分だ。大事なのは、自分なりの理由があって続けた、ということだ。企業から見ると、この型を持つ人は、指示されなくても動ける人に見える。目的を自分で持てる人は、どんな職場でも強い。だから、この型は、いちばん評価されやすい。

自分が続けてきたことに、「なぜ続けたのか」と問うてみてほしい。そこに出てくる答えが、あなたの信念だ。立派な言葉でなくていい。素朴なほど、かえって本物に聞こえる。

30-2 人がしていない経験

二つ目の型は、「人がしていない経験」だ。これは、めずらしさで勝負する型で、記憶に残りやすいという強みがある。

ただし、これも、派手である必要はない。「地元の商店街の店主に、五十人インタビューした」「一年間、毎日ラーメンの写真を撮り続けた」。突飛でなくていい。人がやっていないことを、自分の意志でやった、という事実が効く。なぜなら、そこには必ず、自分で決めて動いたという事実が含まれるからだ。しかも、こういう話は、面接官の記憶に残る。何百人と会う中で、思い出してもらえる。それだけで、十分な価値がある。

「まわりがやっていないこと」を、一つ考えてみてほしい。小さくていい。人とちがうことは、それ自体が武器になる。

30-3 「これが私です」と言える事実

三つ目の型は、「これが私です」と言える事実だ。これは、一つの出来事ではなく、生き方の一貫性を示すものである。

たとえば、「小学生のころから、人の相談に乗ることが多かった。大学でもピアサポートを続けている」。こういう、長く続いている性質と行動のセットだ。これがあると、あなたという人物像が、はっきり伝わる。企業が知りたいのは、単発の武勇伝ではなく、「この人はどういう人か」だからだ。一本の筋が通っていると、話に説得力が生まれる。そして、この筋は、たいてい昔からある。だから、探せば必ず見つかる。

自分の行動に、昔から変わらない共通点がないか、探してみてほしい。そこに、あなたらしさの芯がある。家族や友人に聞いてみるのも、いい方法だ。自分では気づかない一貫性を、教えてもらえる。

30-4 三つのうち、一つあれば十分

三つの型を並べると、まじめな人ほど「全部そろえなければ」と焦る。でも、そんな必要は、まったくない。

面接で語れるのは、せいぜい一つか二つだ。だから、三つ全部を用意しても、ほとんど使わない。それより、一つを深く掘るほうが、はるかに効く。「なぜやったのか」「どこでつまずいたか」「何を学んだか」。一つの経験を、三段掘っておく。そのほうが、浅い話を三つ並べるより、ずっと伝わる。就活は、材料の数を競う場ではない。深さで勝負したほうが、記憶に残る。

三つの型のうち、いちばん語れそうなものを一つ選んで、深く掘ってほしい。数より、深さだ。一つを掘りきると、不思議なもので、他の経験も語れるようになる。掘り方を、覚えるからだ。

Chapter 31 経験を「実績」に変える、四つの手順

経験は、そのままでは実績にならない。語り方によって、価値がはっきりしたり、埋もれたりする。この章では、手持ちの経験を、伝わる実績に変えるための四つの手順を紹介する。どれも、書き方を変えるだけでできることだ。

31-1 事実だけでは、実績にならない

「三年間、居酒屋でアルバイトをしていました」。これは、事実の報告であって、まだ実績にはなっていない。

なぜなら、聞き手には「それで?」という疑問が残るからだ。事実は、材料でしかない。実績にするには、そこに、あなたの考えと行動を足す必要がある。「三年間、居酒屋で働いた。二年目から、常連さんの好みをメモするようにした。指名されることが増え、店長から新人教育を任された」。同じ経験でも、こう語ると、あなたの動き方が見える。事実に、意図と変化を足す。これが、実績への変換だ。

自分の経験に、「そこで何を考え、何を変えたか」を足してみてほしい。それだけで、事実は実績に変わる。新しい経験を積む必要はない。手持ちの経験の語り方を、変えるだけでいい。

31-2 「なぜやったか」を、言葉にする

経験を語るとき、多くの人は「何をしたか」から話し始める。でも、聞き手がいちばん知りたいのは、その手前にあるものだ。

それは、「なぜ、それをやったのか」である。動機が語られると、その人の価値観が見える。「バイトを三年続けた」だけでは、続いた理由がわからない。でも、「初日に先輩が親切にしてくれて、自分もそういう先輩になりたかった」と足せば、あなたの人柄が伝わる。しかも、動機は、あなただけのものだ。他の人と重ならない。だから、話が一気に、あなたのものになる。

自分の経験に、「なぜ始めたか」「なぜ続けたか」を、一行足してみてほしい。ここが、いちばん効く一行になる。動機が語れる人は、それだけで、考えて生きている人に見える。

31-3 数字を、一つ入れる

「たくさんのお客様に対応しました」「多くの部員をまとめました」。こうした表現は、聞き手の頭に、具体的な絵を結ばない。

だから、数字を一つ入れる。「一日平均八十人のお客様に対応した」「二十五人の部員をまとめた」。それだけで、話は一気に具体的になる。しかも、数字は、話の信頼性を上げる。ちゃんと自分の活動を把握している人だ、と伝わるからだ。すごい数字である必要は、まったくない。正確な数字であれば、それでいい。むしろ、小さくても正直な数字のほうが、誠実さが伝わる。

自分の経験に、数字を一つだけ入れてみてほしい。人数、期間、回数。どれでもいい。それだけで、話が立ち上がる。今から数えられるものは、数えておこう。後で必ず役に立つ。

31-4 失敗した経験も、実績になる

「うまくいかなかった経験は、話さないほうがいい」。そう思っている人が多い。だから、成功談ばかりを用意してしまう。

でも、これはもったいない。企業が知りたいのは、うまくいかないときに、どう動く人かだ。仕事では、失敗のほうが多い。だから、失敗から何を学び、次にどう変えたかを語れる人は、むしろ高く評価される。「イベントの集客に失敗した。原因は告知が遅かったこと。次の回は、二週間前から準備し、参加者が二倍になった」。この話は、成功談より、ずっと信頼される。失敗は、隠す材料ではなく、語る材料だ。

うまくいかなかった経験を、一つ思い出してほしい。そこから何を学んだかまで書けば、それは立派な実績になる。むしろ、失敗を正直に話せる人は、それだけで信頼される。

Chapter 32 今日から始める、実績のつくり方

最後に、実績を拾い直し、そして新しくつくるための、具体的なアクションを紹介する。今から始めても、十分に間に合う。むしろ、この夏に動いた人と、動かなかった人の差は、秋にはっきり出る。気楽に、一つ選んでみてほしい。

32-1 これまでの経験を、全部書き出す

「実績がない」と感じている人の多くは、じつは、自分の経験を棚卸ししたことがない。頭の中だけで探しているから、見落とす。

だから、紙に全部書き出そう。バイト、サークル、ゼミ、授業、趣味、家庭のこと、友人関係。「実績になるか」は、いっさい考えない。とにかく、やってきたことを並べる。三十個くらい出したところで、いくつか光るものが見えてくる。「これ、けっこう続けたな」「これは、人はやってないかも」。判断は、書き出した後でいい。先に判断すると、手が止まってしまう。

今週、三十分だけ時間をとって、経験を全部書き出してほしい。判断は、後まわし。まず、並べることに集中しよう。書き出したものは、就活が終わるまで、何度も見返すことになる。

32-2 一つだけ、「やりきる」ものを決める

「今から実績をつくるなんて、無理だ」。そう思うかもしれない。でも、実績の型の一つは「やりとげた経験」だ。そして、やりとげるのに、必ずしも長い年月はいらない。

大切なのは、期間ではなく、決めて、最後までやった、という事実だ。「この夏、毎日ブログを書く」「二か月で、簿記三級を取る」「地元の店を三十軒まわって、話を聞く」。何でもいい。自分で決めて、自分で終わらせる。この経験が、一つあるだけで、面接で語れることが増える。しかも、やりきった感覚は、自信にも直結する。第2週で扱った「小さなできた」の、大きい版だ。

この夏、一つだけ「やりきるもの」を決めてほしい。小さくていい。終わらせた経験が、あなたの財産になる。

32-3 「人がしていないこと」に、半歩ふみ出す

「人がしていない経験」と聞くと、突飛なことを想像してしまう。海外へ行くとか、大きな挑戦とか。だから、手が出ない。

でも、半歩でいい。大学の授業以外の勉強会に出てみる。地元の企業に、話を聞かせてくださいと連絡してみる。読んだ本の著者に、感想を送ってみる。どれも、多くの学生はやらない。だから、それだけで「人がしていない経験」になる。しかも、こうした行動は、たいてい次につながる。人に会えば、情報が入る。情報が入れば、次の行動が生まれる。半歩が、思わぬところまで連れていってくれる。

この夏、「まわりがやっていないこと」を、一つだけやってみてほしい。半歩でいい。その半歩が、話の材料になる。しかも、動いた経験は、自信の材料にもなる。二重に効く。

32-4 経験は、その日のうちに記録する

せっかくの経験も、時間がたつと、細部を忘れてしまう。就活のときに思い出そうとしても、「なんとなく大変だった」しか出てこない。

だから、その日のうちに記録する。三行でいい。「今日、何をしたか」「なぜ、そうしたか」「何を感じたか」。この三行が、半年後、面接で語る材料になる。とくに「なぜ」と「感じたこと」は、後からでは絶対に思い出せない。逆に、この記録があれば、エントリーシートを書くとき、ゼロから絞り出す苦しさがなくなる。過去の自分が、材料を用意してくれているからだ。

今日から、一日三行の記録を始めてほしい。スマホのメモでいい。この習慣が、就活期のあなたを、確実に助ける。毎日でなくてもいい。何かあった日だけでも、書いておけば十分だ。

今日のまとめ

「語れる実績がない」と悩む人の多くは、実績という言葉のハードルを、自分で上げすぎている。企業は、派手な成果を求めていない。

見られているのは、成果ではなく過程だ。何を考え、どう動き、何を学んだか。だから、地味なアルバイトの話でも、十分に勝負できる。むしろ「続けた」という事実には、真似のできない説得力がある。

実績には、三つの型がある。信念を持ってやりとげた経験。人がしていない経験。「これが私です」と言える事実。三つのうち、一つあれば十分だ。数より、深さで勝負しよう。

そして、経験を実績に変える手順も、はっきりしている。事実に、意図と変化を足す。「なぜやったか」を言葉にする。数字を一つ入れる。失敗も、堂々と語る。

明日は、いよいよ8要素の最後、⑧スペックを扱う。学歴、TOEIC、資格。「今さら変えられない」と感じる項目かもしれない。でも、スペックとの正しい付き合い方を知れば、ここも、こわくなくなる。一緒に見ていこう。

あなたの中には、もう語れる経験があると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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