実は25年前からあった3年3割問題

新卒採用や若手社員育成教育に携わる方のなかには、「3年3割」と言う言葉だけが独り歩きしていると感じている人も少なくないと思います。特に2010年頃から頻繁に耳にするワードとなりました。でも、過日も取り上げましたが、「入社した新卒社員が早期に退職する」「若手社員がなかなか定着しない」といったことは、バブル崩壊後から、実に25年以上も続いている現象なのです。そう、いまの寂然そうに限った話ではないのです。

どうして、そんなに長い期間も改善がされていないのか?と思われた学生もおられるかもしれません。

この現象(課題)の背景には、就活に潜む2つの問題があることが認知されています。

ひとつは、多くの学生が自分の好きなこと、やりたい仕事を十分考察しないまま就活を迎え活動を進めている点です。もちろん、多くの学生は、エ車面接の対策をしっかり取り組み、企業説明会にも積極的に参加して、就活を熱心に進めています。しかし、今回の課題解決のポイントはそこではないのです。

当然のことですが、自分の価値観や「やりたい仕事」をちゃんと把握してから就活をしないと、自分にフィットする会社を探し出すことは困難です。なんせ、上場企業だけでも日本には1万社を超える企業が存在しています。知名度の高い企業や年収鵜の高い企業からの内定を得ることを就活のゴールにして活動を進めることに課題解決の糸口があると考えています。

実際に学生や若手職業人とキャリ形成支援を軸としたやり取りをする中では、「思っていた仕事と違っていた」「本当にやりたい仕事ではなかった」といったリアリティーショックと呼ばれることも含め、自己分析不足が推測されるケースが少なくないのです。これに関しては内閣府から発表された「平成30年度版 子ども・若者白書」のなかでも、初職の離職理由として最も多いのは「仕事が自分に合わなかったため(43.4%)」となっています。

二点目は、職業人として社会に出る準備が不十分のまま、就活を向かえ活動を進める学生が多いことです。大学などで学べることと、社会に出てから求められる知識やスキル、姿勢や態度に隔たりがあることです。ですから、新卒学生が入社後に即戦力として通用することは極めて稀なのです。つまり、実社会で通用する職業人としては、乳児と同様な立場とも言えます。

もちろん、企業でも初めから新入社員に事業に貢献する成果を求めることはしません。しかし、顧客対応におけるマナー(立ち振る舞いや言葉遣いだけでなく、メール作成なども含む)や簡単な議事録や業務報告書などの作成、エクセル操作から教育訓練を実施することが珍しくないのが事実です。社員育成に力を入れ、成長していただくことに異論を唱える企業はないと思いますが、それでも企業としては有限資産である時間をコストとして費やすことになります。また、上司や先輩社員がストレスを負うことは組織としてはリスクと(もちろん、たいていの場合はその程度はしれています)なるのです。

組織内外で他者と協働するには「報連相」がしっかりできないと、トラブルやクレームの起因をつくることになります。結果として、期待された成果をだすことができずに、社内外の関係者との関係性が悪くなり、職場が居心地の割る居場所となってしまい、仕事を続けることが困難になる事態を迎えることになるのです。

前述した内閣府の調査結果では、離職理由の2番目が「人間関係が良くなかったため(23.7%)」となっています。

二度とない人生のなかの自身のキャリであることを正しく捉えることが大切です。そして、長い人生を俯瞰しながら、自分が豊かにキャリアを歩み、豊かな人生を過ごすことがイメージできるキャリアデザインを就活前に整えることが大切なのです。そのためにはすこし、キャリアデザインのリテラシーを身につける学習が必要になります。残念ながら現在の学校教育の現場ではそこまで掘り下げたキャリア教育ができていないのが実情です。

26・27年卒業予定の学生の方で、キャリアデザインのリテラシーの学びにご興味があれば今月末に開催する「WEBキャリア・就活の想い相談会(無料)」にご参加してみてください。限られた時間となりますが、身につけるべきリテラシーのヒントとなる情報をお伝えできるかと思います。

関連記事一覧

TOP
TOP