タイパ

1日の中で就活に費やしている時間を調査した結果をみると、18年卒を境に減少傾向にあることがわかります。18年卒では平均6.0時間だった就職活動が23年卒では4.4時間と、1.6時間も減少しているのです。コロナ禍で企業側の採用活動におけるWEB活用などの影響が考えられますが、就活時間が減少している一方で、内定率は増加傾向にあることを考えると、近年の就活はタイパ(タイムパフォーマンス)が良くなっているとも言えます。

就活の早期化などに対してネガティブな意見もありますが、学生の本業である学業に費やす時間確保の視点からはポジティブな傾向にあると言えるのではないでしょうか。

コロナ禍はビジネスにさまざまな変化と改革を促進させた一面があります。就活におけるWEB活用もその一つと言えますが、コロナ禍よりも先にその土台となる環境があったことも事実です。2017年はスマートフォンの世帯保有率がパソコンや固定電話を逆転した年であることが総務省の「通信利用動向調査」から見ることができます。Z世代、デジタルネイティブと言われる現代の学生がスマホを使って、いつでもどこでも大量の情報の中から自分に必要なものを取捨選択して、効果的に情報を摂取するスタイルは就活でも同様に行われていることが伺えます。

「タイパ」という言葉を知ったのは6月に大学1年生とコミュニケーションを取ったときに初めて聞きました。その時は言葉の意味がわからず学生に訊いて、タイムパフォーマンスを指したものであることを知りました。時間をより有効に活用しようという学生にとっては、自身の将来に係るキャリアについてもタイパを優先した活動になっていることに若干の違和感を抱いております。

限られた時間を効率的に使って就活や学生生活を充実させるためのタイパ。一方で自分の欲しい情報しか手にしないことで、取りこぼしてしまう情報の中に大切な情報を得る機会を失ってしまうことが心配されます。聞くと録画された企業説明などの動画を早送りして視聴した、ことがあると答えた学生が69.6%(n=1,237)であったことが調査で明らかになっています。

ビジネスの世界でもコストパフォーマンスと同じくタイムパフォーマンスは重視されるものではありますが、コスパもタイパもそのものが目的化してしまうと、なんのために効果を高めるのかが不在となり安易な時短活動となってしまうことが心配になります。

学生の本業は学業にあることに異論はありませんが、就職活動は自信のワークのみならずライフをも含めたキャリアに直結した大切な活動であることも事実です。熱意と真摯さ欠かさずに取り組まれることを望みます。

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