就活における最も大切なことは意思決定ではないかと思います。
よりよい成果を得るためには、判断に必要なデータと正確な解釈をすることが極めて重要なことです。ところが、心理的なバイアスの影響で後々後悔をすることも少なくないように感じます。
学生時代は若気の至りといった苦い体験も人生経験としての肥やしになりますが、就活での職業決めや企業選択といった自身の進路を決める際には、「本当にこれでいいのか」と不安や恐れが募るものです。
今回はたくさんある心理的バイアスのなかから5つを紹介します。
バイアスの盲点
よく言われているように、人は自分だけを特別と考え、自分は平均以上であると考えてしまいます。つまり、自分は他人ほどバイアスの影響を受けないと考えてしまうことです。
回避法としては、自分の知性を高く見積もらないようにして、自分の他人と同様にバイアスに支配されることもあると考えるようにすることです。
認知バイアス
人は自分が事前に思っているものを探し、そこから情報を得る傾向があることです。私たちは、何かの理論を持っていると、そのことを確証するような情報に注意を向けてそれを記憶していきます。一方、その理論に合わない反証は、それを無効と思ったり、軽視や無視したりします。つまり自身の持つ情報に縛りつけ、他を受けることができない状態です。
回避補としては、自分の意見に関わらず、エビデンスを平等に見るように努めることです。いつでも意見を変えられる柔軟性を養うことです。
ギャンブラーの誤謬
5回コインを投げて全て表が出たら、次こそは裏が出る!これがギャンブラーの誤謬です。6回目の結果は、これまでの結果に無関係なのです。裏が出る確率は50%です。
回避法としては、コイン投げのようにこれまでの結果が、次の結果と無関係の時は、それまでの結果を参考にせずに判断をすることです。
ハロー効果
学歴や外見、肩書などの目立つ特徴に引きずられて、その他の評価も影響を受けることです。有名人が宣伝しているものは商品自体が良いものに思えたりすることです。反対に、有名人が不祥事を起こすと宣伝している商品もダメなように感じられ、スキャンダルを起こした人は全てにおいて悪いように考えてしまうという負のハロー効果もあります。
回避法としては、ある人が特定のことに秀でているからといって、他の面でも秀でているはずはないのです。人間は完璧な存在ではありません。特定の分野での優秀さと、それ以外のことをきちんと区分けすることです。
単純接触効果
何度も会うとそれを好きになる傾向になることです。好ましく思い、友だちになったりします。また、同じCMを何度も見ることで購買意欲が高まることも知られています。一方で、新しいものに出会ったときに好きになる傾向が低いと捉える点はリスクがあるものです。
心理的なバイアスからの影響を避けるためには、意思決定を行う場面に限らず、普段から以下の4点を意識する習慣をつけるといいでしょう。
- さまざまなバイアスがあることを理解する
- 意思決定を急がない(熟考・深考グセをもつ)
- 複数の考え方や意見を取り入れる
- 数値データなど、エビデンスを確認する
心理的バイアスが働いてしまう要因として、自分が正しい、優位でありたい、願望を通したい、といった思いが強すぎることにあるように思います。
ある意味では、人生を左右する職業選択であり、就職先決定です。慎重に慎重を重ねるくらい丁寧に進めて行くことは大切なことです。思い込みやバイアスに影響されずに就活を進めることが、最終的には自分が納得して就活を終えることができることを理解しておくことも大切なことです。