自己分析に潜むワナ

今ココにいる自分は、あなたがこれまでに経験してきたことの集積であると考えることができます。多くの学生が就活の準備として最初に取り組むのが自己分析です。ですが、そこには底なし沼のような罠が潜んでいると考えています。

自己分析の王道と捉えている学生が少なくないように思われる自分史作成ですが、ここにも罠が潜んでいるのです。自分史というのは、生まれてからこれまでの出来事を振り返り、時々の自分の感情などを書き出して作成するものです。

極めて普通の学生が自分史作成に取り組むと、多くの時間をかけることになり、しかも出来上がった時点で自己肯定感を下げてしまう結末を迎えることが少なくないのです。

なぜそんなことになるのか。それは自分史作成のフォーマットにいざ記入しようとしても、普通の学生にとっては書くことがないのです。もちろんそれまでに人生経験をまったく積んいないことではありません。しかし、それまでに高い実績を残した、キラキラした体験をした、といった経験を持つ学生は、おそらく10%くらいではないかと思います。

自分史を作成することに真面目に取り組む程に、「自分は平凡な人間」と思い込み落ち込むのです。キャリア形成支援をしていると、そういった学生が本当に多いことに気づきました。また、自分史作成を頑張れば頑張る程に、選択肢を狭めることにも気づきました。

どういうことかと言いますと、自分の過去を基準に志望業界/企業や職種しか選択肢として考えられなくなってしまっていて、そこで悩んでいる学生が多くおられました。

極めて一般的な学生がもともと持っている業界や企業に関する情報はほんの僅かであることが普通です。一般的な傾向としては、これまでの生活のなかで認知している企業の多くはto C(対消費者)企業が多く、優良企業が多いto B(対企業)企業はほとんど知らないでしょう。なので自分史作成のなかでto B企業の存在に気づくことがなく、就職先の選択肢が狭くなってしまうのです。実にもったいないことです。

生まれてから僅か20余年しかない人生経験を基準として、就職の軸やキャリアの目的を定めるのはあまりにも未来を狭く小さなものにしてしまうことになると思いますが、あなたはどう思われるでしょうか。

たとえば、今あなたが興味・関心を持っている仕事があるとします。それで自分史を基に過去の経験とその仕事に就くことへの適合性や整合性を考えると、不安や恐れが先行してしまうのです。次の一歩を踏む出すことにブレーキをかけ、諦めてしまう学生もおられました。

多様性の時代といわれていますが、私たち一人ひとりは、それぞれ異なった価値と可能性を持っているのです。それなのに未来を狭く小さなものにして、少ない選択肢から決めなければいけないとしたらそれこそ、未来は暗くつまらないものに感じてしまいます。

少なくても私が知る限り、企業の新卒採用評価で、応募学生の自分史を基準に選考を行うことはありません。もちろん一部参考にはするでしょうが、採用の可否を決める重要評価事項は他にあります。

自分の過去を顧みてそこから何らかの気づきを得て、成長に繋がる学びをすることは大切なことですが、既に変えることができない過去に囚われすぎると、これから進む道に夢や希望を抱くことができない就活を進めることになってしまう恐れがあるのです。

先述したように、私たちはそれぞれ異なった価値と可能性をもっています。それは、一人ひとり、強み/弱みがあるということでもあります。自己分析で大切なことは、あなた自身の特徴を知り、強みを見つけだし、その強みが武器となるくらい学生時代に磨くこと。そして強みは惜しみなく発揮できる職場を就職先とすることだとaoLabでは考え、学生のキャリア形成・就活の支援サービスを展開しています。今週末29日に行う無料キャリア・ワークショップでは今回触れた自己分析についてさらに詳しいレクチャーとエゴグラム(交流分析/TA心理学)作成・分析・解説をいたします。大学生・短大生・専門学生であればどなたでもご参加いただけます。ご参加お待ちしております。

関連記事一覧

TOP
TOP