“共感しました”じゃ伝わらない!|企業理念を“自分の言葉”にする3ステップ

はじめに|「共感しました」で、ほんとうに伝わる?

就活が進むなかで、エントリーシートや面接でよく出てくるこの質問。

「当社の理念に共感した理由を教えてください」

この問いに対して、多くの学生がこう答えます。

• 「社会に貢献したいと考えていたので、共感しました」

• 「人を大切にするという考えに惹かれました」

• 「成長を支援する姿勢に共感しました」

一見、悪くないように見えますが、実はほとんどの企業の採用担当者が「惜しい…」と感じてしまうパターンです。

なぜなら、「共感しました」だけでは、その人の言葉や背景が見えてこないから。

本記事では、企業理念を単に“感じる”ものから、“語れるもの”へ変換する方法をお伝えします。

第1章|そもそも企業理念って、なぜ重視されるの?

企業理念とは、会社が存在する意味や、社会に対してどんな価値を提供したいのかを言語化したものです。

つまり、理念は「企業の軸」であり、「向かう方向」でもあります。

たとえば、こんな理念があります。

• 「人の可能性を、次の社会の力に」

• 「移動の自由をすべての人に」

• 「想像力とテクノロジーで社会課題を解決する」

こうした言葉の奥には、会社がどんな未来を描いているか、何を大切にしているかが詰まっています。

そして企業は、自社の未来像に共に向かってくれる人を求めているのです。

だからこそ、面接やESで理念について語る場面では、

単に「いいな」と思っただけでなく、“自分との接点”を見せることが大切になります。

第2章|なぜ「共感しました」だけじゃ足りないの?

企業が理念について聞くときに見ているのは、

「どこに、どんな理由で惹かれたのか?」というあなたの“感受性”と“価値観”。

にもかかわらず、

• 「理念を読んで共感しました」

• 「人を大事にしているところがいいと思いました」

という答えだけでは、“誰でも言える言葉”に聞こえてしまうのです。

しかも、多くの企業が同じような理念を掲げています。

たとえば、

• 「人を大切にする」

• 「社会に貢献する」

• 「チャレンジを応援する」

…こうしたキーワードはどの企業でも登場します。

つまり、どんな点に、なぜそう感じたのかが伝わらないと、企業側は「他の学生と何が違うのか?」がわからないままになってしまいます。

第3章|企業理念を“自分の言葉”に変える3ステップ

では、どうすれば企業理念を自分の言葉で語れるようになるのでしょうか?

ここでは、3つのステップで整理してみましょう。

STEP1:理念を「分解」してみる

たとえば「人の可能性を信じる」という理念があったとします。

そのまま読むのではなく、キーワードに分けて考えてみるのです。

• 「人」とは、誰のことを指している?

• 「可能性」とは、どんな力?能力?

• 「信じる」とは、具体的にどんな姿勢?

このように、一つひとつの言葉を“自分なりの言葉”に翻訳してみることで、

理念に対する理解が一気に深まります。

STEP2:「なぜそれに惹かれたのか」を自分の経験から探す

次に、その理念に共感した理由を、自分自身の過去の体験と結びつけてみます。

たとえば…

• 中学時代に、部活の後輩を励まし続けた経験

• バイト先で、仕事を教えるときに「その人の伸びしろ」を信じた経験

• 大学で学んだ教育学の中で、「人は環境で育つ」と感じた場面

こうした体験と企業理念が結びつくと、あなたにしか語れないストーリーが生まれます。

STEP3:「だから、私はこの会社でこう働きたい」とつなげる

最後に、理念に共感したうえで、「それをどう自分の働き方につなげたいか」を加えましょう。

• 「人の可能性を信じる」という価値観を、どんな場面で発揮したいか?

• 会社の未来像に、自分はどう関わっていきたいのか?

この一言があるだけで、「なんとなく惹かれた」から「自分はこう生きたい」へと、

メッセージの力が何倍にも強まります。

第4章|実例紹介:よくある表現 → “伝わる表現”への変換

以下に、Z世代の学生によくある表現をベースに、“伝わる志望動機”への変換例を紹介します。

❌ よくある表現

「人を大切にするという理念に共感しました」

✅ 伝わる表現

「高校時代、部活のマネージャーとしてメンバーの個性を見てサポートしてきた経験があり、“人を一人の存在として尊重する”という理念に深く共感しました。将来は、チームメンバーが自信を持って働ける環境づくりに貢献したいと思っています。」

❌ よくある表現

「社会課題を解決するという理念が素敵だと思いました」

✅ 伝わる表現

「大学で地域の空き家対策のプロジェクトに参加し、“目の前の課題に向き合う”ことの意義を実感しました。貴社の『課題解決を通して社会を変えていく』という理念に、当時の体験が重なり、共感だけでなく“挑戦したい”気持ちが芽生えました。」

📝 ポイント:

“共感”をゴールにせず、「だからこそ、私はこう働きたい」までつなげることが差を生みます。

まとめ|“自分の言葉”が、あなたを語るチカラになる

企業理念に「共感する」のは当たり前。

大事なのは、「どこに、なぜ、どうして」というあなたの解釈と経験です。

企業は、理念をただの飾りではなく、“これからの仲間と共有したい価値観”として本気で語っています。

だからこそ、学生側も、自分の言葉で理念を“消化”し、伝えてほしいのです。

あなたの感じたこと、経験してきたこと、考えてきたこと。

それらすべてが、“共感”を“共鳴”に変える力になります。

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