就活において就職先企業を意思決定するには、安定性重視で選択するのではなく、これからの時代に、発展性や将来性が見込める企業を見つけることも大切です。歴史があってブランドも強い企業でも、先々のことは不確実性を含んでいる時代であることをちゃんと理解せておくことが大事なポイントではないかと思います。
勿論、先が見通せない社会に不安を抱くのは、今だけの話ではなく過去にもあった話ですので、特別騒ぎ立てるつもりはありません。しかし、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻、続く円安と物価高などから影響を受けてか、公務員志望が増加していること、本年の志望動機を見聞きしていると、学生の人生観や仕事観について少し心配になるのです。
キャリアと聞くとストレートに仕事と結び付ける方がおられますが、本当は、ワークとライフを合わせた自身の人生そのものを捉えることが大切な視点となります。
多くの就活生は20代前半であり、生まれ育った環境の違いはあっても、似通っている人生経験を持っている人が大半を占め、目を見張るような体験を持つ人は極わずかではないかと思います。
大勢のなかの一人がいけないとは思いませんが、多様性の時代、これからの時代を生きる学生の皆さんには、一度限りのあなた自身の人生を主体的に自律した生き方を創造して欲しいと思うのです。そのためにも就活の準備として取り組む自己分析では、本気で自分と対峙することを強くお伝えをしています。
なぜ、本気で自分と対峙すべきなのか? それは、卒業して社会人となったら「あなたに本気で投資してくれる人は、あなた以外にいない」と私は考えるからです。
前述したように、人生経験もまだまだ少ない20代前半の皆さんに、長い人生のすべてをくまなく考えろ! 的な話ではなく、今のあなたの等身大で構いませんから、ある程度の時間を使って、自分と向き合い、自身を深耕することは、学生である今だからできることの一つだと思うのです。
どうやって自分と対峙をしたらいいのか? の声が聞こえてきそうですが、最初に次のことを考えてみることを勧めています。
1.「どう生きたいのか?」を自分の言葉で伝えることができように考える。
言葉を換えると、あなたの価値観です。自分がどう生きたいのか、その行動指針となるものを明確にして言語化することで、自分がどんな人間になりたいのかを定義する手助けとなります。
2.「人生に何を求めているのか?」
何を達成したいのか? ではなく、一度限りの人生で、あなたはどんな経験し、どんなことを成し遂げたいのか、ということです。つまり、あなただけの北極星を見つけることです。
スティーブ・ジョブズは、“Make a dent in the Universe” (宇宙に凹みを作る)というメッセージを出しました。このメッセージに込められた本意は、「ほんの少しでも良いから、この宇宙に影響を与えた!と言えるようなことをしよう」だと知られています。
目標ではなく北極星を追う人だけが、物心ともに豊で充実した人生を創ることができるのではないかと思います。
3.「幸せで存分に力を尽くせる環境とは?」
あなたが幸せで自分の能力を存分に発揮できる環境のことです。この環境とは、働く環境もありますし、生活する環境もあります。本格的な就活前にこの問いの自身の回答を明瞭にしておくことが本当に重要なのです。
この問いの答えを持たず、賃金や企業ブランド、表面的な好き嫌いで志望企業を決める人が少なくありません。厚生労働省のデータでは、入社3年以内の退職者は約3割となっています。退職理由はそれぞれあるのだと思いますが、根っこのところで、この問いの回答を持たずに進路を意思決定したのではないだろうかと思うのです。
今回は、就活における自己分析を軸に、どうやって自分と対峙したらいいのかのヒントをご紹介しました。今年もあと15日。今できることを、手を抜かず本気になって取り組んで参りましょう。
本気
本気ですれば たいていな事はできる
本気ですれば なんでも面白い
本気でしていると だれかが助けてくれる
人間を幸福にするために
本気ではたらいているものは
みんな幸福で みんなえらい
後藤静香