就活で取得した資格や語学力をアピールしたいと考える学生は少なくありません。だから、「どの資格がいいか」「TOEICではどのくらいの何点でないといけないか」といった質問を1、2年生から受けることがあります。実はこの問いを受けるたびに少し戸惑うことがあるのです。それは「その問いは君が志望する先(企業・業界)で大きく異なる」ことに気づいていないように思うからです。
たとえばTOEICスコアで800点台は、大学生平均を上回るスコアですが、総合商社では835.3点が平均点ですし、コンサルティングファーム・シンクタンクでは808.4点です。(日経転職版)シンプルに語学力を高めるために学習を積みその結果TOEICでハイスコアをとったとしても、グローバル企業であり、取引先も海外企業が多く英語を煮日常的に使う企業を志望するのであれば、語学力が高いことはアドバンテージになるでしょう。しかし、国内で事業展開をしていて業務では日本語を使う企業では英語が堪能であることが高評価を受けるかは眉唾です。本質を考えると、語学はあくまでもコミュニケーションツールの一つでしかないのです。おそらく上記の国内企業であれば、他に高評価につながるものがあるでしょう。
ですから、就活での自己アピールの一つとして武器を持つことを考えるのであれば、志望する企業や業種をしっかり研究したうえで、相手が「欲しい」と思うものを考えることが大切だと思いますよ、とやんわり応えています。
就活の関門である面接対策として、自分が取り組んできた物事の主張ではなく、自分自身を主張することが大事である、とお伝えしています。
つまり、語学であればTOEICスコア〇〇点ということよりも、「なぜ語学を高めようとしたのか」の動機や「そのように考え、行動したのか」といった思考プロセスがポイントとなるのです。
ですので、面接の自己PRで「TOEICスコア〇〇点です」と話したとしたら、必ず面接官から「語学力を高めようと思ったのはなぜですか?」といった質問が返ってくるでしょう。
そこで正直に「就活で内定を得るため」と答えるのはマズイということは理解いただけるかと思います。
そうなると、志望先が明確になるまでは何もすることがないのか? と思われるかも知れませんが、そうではありません。これから先は、特に1、2年生のうちに取り組んでおきたいことを一つ紹介しておきます。
まず、理解しておきたいことですが、企業の一般的な3つの評価基準です。
- 貢献性:仕事で必要なスキルや知識があるか
- 志望度:自社で働く熱意や意欲、覚悟があるか
- 人間性:どのような人間性なのか
この評価基準の最も重要な面は、単に個人の力として把握するのではなく、組織の中でちゃんと発揮されるかどうかを見極めているということなのです。つまり、職場で他の社員と協力し合って成果を出すために個の力を発揮できることを求められているのです。ですから、学生生活のなかで機会を見つけては集団・組織経験を積んでおくことをお勧めします。
並行して、自身の人生観や仕事観といった人間性や志望度につながる自分の価値観を言語化して他者に伝えられるように整理することに取り組まれるといいでしょう。
どちらも時間が必要な取り組みですので、1、2年生の時点から着手しておくことが、後々自分を助けてくれる強い味方になってくれると思います。