早くて長い

6月となりました。現行ルールでは本選考が始まることになります。ですが、25年卒就活はすでに中盤を過ぎている感が強く感じています。26年卒の皆さんも本格的に準備をはじめている様子が伺えます。そこで今回は、今の就活の実態をちょっとだけ切ってみたいと思います。26年卒の皆さんへの戦略のセを最後にお伝えします。

近年と昔の就活を比べて見ると、早期化かつ長期化といわれる今の就活の実態がわかってきます。

学生のエントリー数と内定者数(平均)の推移を2010年と2024年で比べると次のようになります。

学生一人当たりの応募企業数が半分以下になっていますが、内定社数は上がっています。ざっくりした言い方ですが、3社のうち2社は内定を出しても学生に入社してもらえない状況であることがわかります。この状況は確かに売り手市場で学生に有利の就職市場となります。

ですが、選考開始までの期間を見ると、同じ売り手市場でも現在と以前では少し異なっていることが見えてきます。この背景には、就活に関係するルールが何度か変更になっていることが関係していると考えられます。

2021年卒採用と現行のルールを比較すると次のようになります。

現行ルールでは広報期間は3年生の3月1日から4年生の5月末となり、4年生の6月から本選考が始まる流れです。見た目には、選考期間が縮まっているように見えます。ですが、実際には3先生の3月1日時点で既に内々定を持っている学生が一定数いるのが現状の就活市場なのです。このあたりの文脈から、早期化という表現が出ていると思われます。

ここには、インターンシップのルール変更があります。25年卒からインターンシップに参加した学生の情報を企業は採用に活用してもよいことになりました。そこで、企業側では、3年生の夏季インターンシップに参加した学生のなかで、「欲しい」と思った学生には、さまざまなコミュニケーションを約7カ月間取りながら、3年の1月~3月に内々定を出すのです。

一方で学生側の動きとしては、早い段階で内々定を得たからといって、そこで就活を終わらせることは少数派です。もっと上のレベルの本命の企業があれば、そこの本選考が終了するまで就活を続けることが主流となっています。今の実態としては4~5月まで本選考のピークが続いていると思います。

「内定を得る」にフォーカスすると、以前は4年生の4~5月に集中する「短期集中」に対して、現在は「長期分散」となっているといえます。ここが「早期化かつ長期化」の長期にあたるのです。

長期分散傾向が、学生が一人当たりで持つ内定数の昔と今の差につながっているのです。昔は4月頭に最終面接が集中していて、その時点で覚醒はどの企業の最終面接を受けに行くかという選択を迫られていました。複数の内定を得られたとしても、その数は少なかったのです。一方で近年は、3年生の1~3月担い手を持っている人が、4年生になってからも就活を続けて、4~6月にも内々手を得るようになりました。長期間にわたって内々定が出て、最終的に4~5月頃に入社する企業を決めるという流れが定着しているように思います。

近年の学生の志向は、企業を知名度や給与の高さなどのスペックで選ばない、第一志望の変動が早い、人との繋がりを大切にする、複数の持ち駒(内々定)から選ぶ、という傾向が見られます。

こうした状況と傾向を鑑みた中で26年卒にアドバイスしたいことは、「早くから、コツコツ動き続ける」に尽きます。つまり、就職活動で勝者になるためには、GRIT(やり抜く力)を発揮することが大事だと思います。

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