離職・退職が頭浮したら

昨日に続いて、入社後をイメージした話題です。そして、久しぶりに長文となりましたが、最後までお読みいただけると幸いです。

近年の若手世代は、入社当初から自身のキャリア形成のために転職ありきを考えている人が一定数おられます。仕事だけでなく一度限りの人生を鑑みたキャリアをしっかり捉えた考動ができる若者を頼もしくも感じます。一方で、早期退職者のなかに、不満があるから辞める、という選択をする若手も少なくないように感じています。

実はそういう辞め方をすると、次に働く職場でも同じような状況に陥り退職をしてしまい、そんなことが何度か繰り返す悪クセをつけてしまう恐れがあることを知っておいて欲しいのです。

熟慮した結果に退職を決めることを頭から否定する考えはありませんが、仕事の不満が積もったときは、携わっている仕事のどこに幸福感と満足感のどちらの感情と結びついているかを考えてみることが大切です。

私たちは、幸福と満足の違いを区別せずに、二つの言葉を使っていることが多い、と考えられています。幸福とは、望ましい結果を追求することによりポジティブな感情を阿諏訪宇一時的な状態のこと。そして満足とは、長い時間を費やして達成した結果に対してポジティブな感情を抱く状態のことです。

仕事は2つの要素に分解できます。一つは、日々行っている業務は仕事のプロセスであり、二つ目は、努力して手に入れる成果である仕事の結果です。そして、仕事のプロセスは、日々の幸福感に影響を及ぼし、仕事の結果は、長期的な満足感に影響を及ぼすことが多いと考えられています。

仕事のプロセスは、あなたが抱く幸福感と結びついているので、日々の業務をどれくらい面白いと思えるかに影響するのです。あなたがしている仕事を構成する特定の業務が好きな場合、その業務に取り組むことが楽しみになり、その業務に関連したスキル向上を目指し学習意欲も強まるのです。

自分の仕事を構成する多くの業務を不愉快だと感じている人は、そのような業務に嫌気が差すようになるのです。反対に、自分が源泉的なやりがいを見出せる業務を上手く遂行できれば、大きな幸福感を抱けるものなのです。

仕事の結果は、あなたが働いている組織の使命(ミッション)と深い関係にあります。問うべきは、あなたがその使命を大切に思えるか、その使命の下で、あなたの努力によって社会をより良い方向にできると思えるか、ということです。あなたが仕事を通じて有意義な目標を達成しようとしていて、その魚力が進展していると感じることができれば、仕事への満足感が高まるでしょう。

自分の仕事の結果に誇りを持つことができれば、仕事に対して長期に渡る満足感を抱けるようになるという研究結果があります。

職業人人生は長いものです。時には不愉快な業務をしなければならないこともあるでしょう。それでも有意義な目標実現のための仕事のひとつと捉えることができるかどうかです。そう捉えることができれば、「さぁ、がんばろう!」と心の応援が聞こえはじめ、やる気が湧いてくるのです。

つまり、自分の仕事について考える際には、仕事があなたにもたらす幸福感と長期に渡る満足感の両方に目を向けることが大事なのです。ですから、不満が募って辞めようと思ったときに、この問いを考えてみてください。「仕事のプロセスOR仕事の結果、あなたが最も満足感を抱くのはどちらか?」です。

あなたの仕事の好きな要素が明確になった次は、なぜその要素に魅力を感じるのかを考えます。それを問いにすると「あなたの価値観に今の仕事は沿っているか?」です。つまり、あなたの価値観に照らして今の仕事を考えることです。

価値観とは、あなたの人生と仕事(キャリア)に関して何を重要と考えているかということです。個人的には、自らの価値観に沿ったものを仕事にするべきだと思います。

たとえば、人の役に立つことを重んじる価値観を抱いている人にとっては、仕事の根幹をなす使命はとっても重要な意味を持ちます。また、人生に楽しさを重んじる価値観を持っている人は、日々の業務を遂行する際に味わう幸福感が重要になるでしょう。成功や権力を重んじる価値観を持つ人は、自身が何を成し遂げるかが重要になるのです。

価値観理論を説くシャローム・シュワルツ(社会心理学者)は、多くの文化圏で共通する人間の中核的価値を自立、刺激、快楽、達成、権力、安全、順応、伝統、慈善、普遍性の10種類を挙げています。人がどの価値を大切にし、その価値に基づいてどのように行動するかは、その人が育ってきた文化的環境とその人自身が下す判断によって決まる、と考えられています。自分が仕事のどんな部分に満足感を抱くのかを知るためには、価値観テストを受けてみることも参考になると思います。

人の価値観は成長と共に変わるものです。ですから、自分の価値観の変化を把握することも大切なことです。たとえば、キャリア初期には達成に価値観を持ち、自身の評価につながる仕事を楽しく感じていた人も、年齢と経験を重ねるなかで、慈悲を大切にする価値観が強まり、他者の力になれるような仕事に満足感を感じるようになることもあるのです。価値観が変われば、仕事を楽しく感じる要素も変わるのです。

最後は、一度限りの人生をどのように生きるのか、人生で何を成したと言いたいのか、ということです。若い方はリアリティが薄いのかも知れませんが、ここが一番大事でキモとなるところです。

自分の価値観に沿った仕事をするということは、日々遂行する業務以上に、その業務を長年続けることで築く結果に意識を向けることです。つまり、あなたが仕事を通して何を成し得たいのかを明確にすることです。そのためには自分の晩年を想像してみることです。あなたはどんな職業人人生を過ごした、と、晩年に家族や友人に伝えたいでしょうか。そんな視点から考えてみる問いが、「あなたは何を成した人と他者から思われたいですか?」です。恐らくその回答は、あなたの価値観に沿ったものとなっていると思われます。

あなたが抱いている価値観と、現在の仕事のプロセル・結果が噛み合っているかどうかという視点から仕事について考えてみることです。その際は、現時点の仕事と価値観だけではなく、将来どんな職に就けば仕事に満足感を抱けるのかも考えることです。

自分の価値観に沿った職の見つける自信が持てない方は、専門のキャリアコンサルタントやコーチに相談してみることも一案です。仕事と価値観を合致させる術を導いてくれるコーチと出会うことは、あなたのキャリアに大きな価値を見出すことでもあります。

手前味噌ですが、あおもりHRラボには、優秀なキャリアコンサルタントやコーチがメンバーにおりますので、関心のある方はコチラからお問い合わせください。

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