全国の有力企業(n=1,208社)を対象に、6月1日の採用選考解禁から1カ月が経過した時点の採用状況の調査結果が公表されました。
学生の反応(22年卒採用との比較)
採用母集団形成の状況を見ると、「エントリー数」が前年度よりも「増えた」企業は31.3%であったのに対して「減った」は42.2%と、増えた企業を11.2ポイント上回った。前年同期調査では「増えた」企業が半数を超えた57.4%だったが、今期は減少となりました。
「選考への応募者数」についても同様に減少傾向でした。「増えた」企業は23.9%に対して「減った」企業は約2倍の47.2%となった。
「選考途中事態者」と「内定辞退者」については、前年度と比較して選考段階での辞退者が「増えた」企業は33.5%に対して「減った」企業は13.5%で、増えたが20ポイント上回りました。会社規模が大きくなるほど「増えた」値が大きくなり、従業員1000人以上の企業では4割に上っていることがわかった。
内定辞退者については「増えた」が32.9%で、「減った」の17.0%の2倍近くでした。選考解禁から1カ月のこの時期では、早期に内定承諾を得られない企業が多いことがわかります。
採用活動の開始時期
面接開始時期については、最も多いのは前年同様「3月中旬」でしたが、ポイントがおおきく下がり(15.0%→11.7%)、その分より早い時期のポイントが増えていました。特に「1月以前」の増加が目立ち、3月までの合計は5割台後半(57.9%)で、採用活動の早期化が進んでいることがわかります。また、従業員規模の大きい企業ほど早期に動いていることもわかります。
内定出しの開始時期は「4月下旬」が最多で11.6%、GWを前に内定を出し始めた企業が今年も多かったことがわかります。ただ、その前の「4月上旬」「3月下旬」も1割前後と比較的多く、採用広報解禁1カ月後にも山があることが伺えました。大手企業では、最初の山である3月下旬から4月上旬場内定出しの開始のピークで、中堅・中小企業は4月下旬に内定出しを始める企業が最も多いことがわかります。
接点を持った学生に対して感じたこと
今年の就活生に対して「就業意欲の低い学生が増えた」と感じる企業は32.4%で、「そう思わない」と答えた企業33.3%と拮抗した結果でした。
一方で「業界理解不足の学生が増えた」「企業理解不足の学生が増えた」「仕事内容への理解不足の学生が増えた」と感じる企業はそれどれ4割台で、「そう思わない」を大幅に上回っていました。就活生への業界・企業研究が浅いというフィードバックとして捉えて欲しいと思います。
「就業意識や企業理解などが高い学生と低い学生の差が開いた(二極化が進んだ)」と感じる企業は67.4%と7割近くでした。就活生に個人差が顕著にあらわれていることが伺えます。
選考終了状況と内定者充足率
採用選考を終了した企業は全体の25.6%。充足率の平均は58.0%。いずれも前年を下回る結果。
採用選考を「終了した」企業は全体の25.6%でした。前年同期調査の29.8%、コロナ禍で進捗が遅れた前々年の26.0%よりも知ら回る結果となっていました。面接や内定出しの早期化が進む中ですが、採用活動を継続している企業が大変を占めている状況が伺えます。
内定者に対する満足度
内定者に対する満足状況では、「質・量ともに満足」は21.5%でした。これは前年調査より7.5ポイント低く、満足度は低下していることがわかります。「質は満足だが、量に不満」が最も多い42.8%でした。「質・量ともに不満」23.9%を合わせると66.7%になり、量に対する不満が強い傾向が伺えます。母集団の減少、内定辞退の増加などが影響していると思われます。
24年3月卒業予定者の採用計画
「増える見込み」と答えた企業16.5%と「23年卒並みの見込み」の56.7%を合わせると、7割(73.2%)の企業が今季以上の採用尾を予定していることがわかりました。一方で「減る見込み」は3.4%とわずかでした。
コロナ禍による採用縮小から回復基調を示している新卒採用では「売り手優先」が続く中で、少しでも学生の心を掴もうと腐心している採用担当者の姿が浮かんできます。すでに始まっている労働人口の減少にどんな戦略で臨むにせよ、優秀な人材確保は企業の永遠の課題です。人事の皆さん、共に頑張って参りましょう。
来年も「売り手優先」が続きそうですので、学生の皆さんにとってはポジティブですね。