「憧れの人みたいになりたい」の落とし穴
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
昨日は、就活の勝ち筋とは順番のことであり、その1番目に「どんな人生を生きたいか」を置いてほしい、という話をした。ノートを1冊、決めてくれただろうか。
今日は、その問いに、実際に取りかかる日だ。
ただ、始める前に、1つだけ注意してほしいことがある。多くの人が、ここで同じ落とし穴にはまる。誰かの真似や憧れを、自分の目標にしてしまうのだ。それがなぜ危ないのか、では何を書けばいいのか。今日は、その中身を一緒に見ていく。
Chapter 5 なぜ、真似や憧れでは続かないのか
「あの人みたいになりたい」。この気持ちは、とても健やかなものだ。否定するつもりはまったくない。ただ、それをそのまま目標にすると、あとで苦しくなる。この章では、その理由をはっきりさせておこう。ここがわかると、書くべきものが見えてくる。
5-1 「〇〇さんみたいになりたい」の落とし穴
自分の将来を考えるとき、多くの人は、まず身近なモデルを探す。憧れの先輩、有名な起業家、SNSで見かける同世代。そして、その人のようになりたいと思う。
気持ちはよくわかる。でも、ここには落とし穴がある。あなたが見ているのは、その人の一部だけだからだ。表に出ている成果や、話している言葉。その裏にある事情も、抱えている苦労も、性格も、育ってきた環境も、あなたには見えていない。見えていない部分ごと真似することはできない。だから、憧れをそのまま目標にすると、途中で「なんだかちがう」となってしまう。
憧れの人を見つけたら、「その人の何に憧れているのか」まで掘ってみてほしい。人そのものではなく、その人の一部に惹かれているはずだ。そこを取り出すことが、大事になる。
5-2 借りものの目標は、壁の前で折れる
目標は、順調なときには、どんなものでも機能する。差が出るのは、うまくいかないときだ。
借りものの目標は、壁の前で折れる。「なぜ自分は、こんなに大変な思いをしているのだろう」と問われたときに、答えが出てこないからだ。理由が自分の内側にないので、支えるものがない。逆に、自分で納得して決めた目標は、しんどいときにも「これは自分が選んだことだ」と立て直せる。目標の強さとは、理由の強さのことだ。派手さでも、立派さでもない。だから、他人の目にどう映るかは、まったく関係がない。
自分の目標を、一度だけ疑ってみてほしい。「これは、誰かの言葉ではないか」。そう問えるようになると、借りものは、自然とふるい落とせる。残ったものだけが、あなたを支えてくれる。
5-3 親や先生の期待を、自分の願いと混同しない
もう1つ、気づきにくい落とし穴がある。まわりの大人の期待を、自分の願いだと思いこんでしまうことだ。
親が喜ぶ進路、先生が勧める会社、まわりが安心する選択。長く一緒にいる人の期待は、いつのまにか自分の中に入りこむ。だから、本人も気づかない。悪いことではない。大切にしてくれる人の言葉が、判断の材料になるのは自然なことだ。ただ、材料と、自分の答えは、分けておく必要がある。混ざったままだと、あとで「本当は自分は何をしたかったのか」と、迷うことになる。
自分の考えの中に、誰の声が混ざっているか。一度、切り分けてみてほしい。切り分けたうえで、あらためて選び直せば、それは自分の答えになる。結果として同じ進路を選んでも、意味はまるでちがってくる。
5-4 憧れは、捨てなくていい。材料として使う
ここまで読んで、「憧れを持ってはいけないのか」と感じた人がいるかもしれない。まったくちがう。憧れは、とても大事な材料だ。
大切なのは、憧れをそのまま目標にせず、分解して使うことだ。「あの先輩に憧れる」で止めず、「その先輩の、どこに惹かれたのか」まで掘る。人の話を最後まで聞く姿勢か。仕事を楽しそうに語るところか。後輩に厳しくても信頼されているところか。掘り出したその一点は、あなたが大事にしたい価値観そのものだ。人物ごと真似することはできないが、価値観は自分の中に置ける。
憧れの人を3人挙げて、それぞれ「どこに惹かれたか」を1行ずつ書いてみてほしい。3つ並べると、共通点が見えてくる。そこが、あなたの芯になる。

Chapter 6 「ぼんやり」でいい。ただし、条件がある
「どんな人生を生きたいか」と聞かれて、はっきり答えられる20歳は、まずいない。それでいい。この章では、どこまで決めればいいのか、その基準を示す。ここを勘違いすると、書けないまま止まってしまう。
6-1 きっちり決めなくていい理由
「人生の目標を立てよう」と言われると、緻密な計画を思いうかべる。何歳で何をして、何歳でどうなる。そう考えると、手が止まる。
でも、20歳前後で、そこまできっちり決める必要はない。いや、決めないほうがいい。理由は単純で、これから知る世界が多すぎるからだ。まだ会っていない人、まだ知らない仕事、まだ見ていない景色がある。今の情報量で細かく決めると、かえって可能性を狭めてしまう。だから、方向がぼんやり見えていれば、十分だ。「こっちのほうへ歩きたい」がわかっていれば、道は歩きながら決められる。
細かい計画を立てようとして、手が止まっているなら、いったん粗くていいと決めてほしい。方向だけで十分だ。細かいところは、進みながら埋めていける。
6-2 唯一の条件は、「心から思えるか」
ぼんやりでいい、と言うと、何でもいいのかと思われそうだが、そうではない。1つだけ、外せない条件がある。
それは、「心から、そう思えるか」だ。読み返したときに、少し胸が動くかどうか。書いた自分が、納得しているかどうか。ここだけは、ゆずれない。なぜなら、この1行は、これから何年もあなたを支える言葉になるからだ。納得していない言葉は、支えにならない。逆に、素朴でも本心から出た言葉なら、驚くほど長く効く。ぼんやりでいいが、うわべではいけない。この区別が、いちばん大事なところだ。
書いた言葉を読み返して、「自分は、これに納得しているか」と問うてほしい。少しでも他人事に感じたら、そこはまだ、自分の言葉になっていない。
6-3 立派な言葉ほど、あやしい
自分の目標を書こうとすると、なぜか立派な言葉が出てくる。「社会に貢献したい」「人の役に立ちたい」「成長し続けたい」。
どれも、悪い言葉ではない。ただ、あまりにすぐ出てくる言葉は、たいてい借りものだ。どこかで聞いた表現が、自動的に口をついて出ているだけのことが多い。本心から出てくる言葉は、もっと不格好で、もっと具体的だ。「人が困っているのを見ると、放っておけない」「自分の工夫で、目の前の人が笑うのがうれしい」。整っていないほうが、本物であることが多い。きれいさは、本気度の証明にはならない。
きれいにまとまった一文が書けたら、いったん疑ってほしい。「これは、本当に自分の言葉か」。不格好でも、自分の言葉のほうが、ずっと強い。
6-4 「しっくりくる」を、判断基準にする
では、自分の言葉かどうかを、どう見分ければいいのか。基準は、理屈ではなく感覚のほうにある。
「しっくりくるか」だ。書いた文を、声に出して読んでみる。すっと入ってくるなら、それは自分の言葉に近い。逆に、どこかで引っかかったり、口に出すのが恥ずかしかったりするなら、まだ他人の言葉が混ざっている。この感覚は、あんがい正確だ。頭では説明できなくても、身体は「ちがう」と教えてくれる。だから、迷ったときは、論理ではなく、この違和感のほうを信じてほしい。
書いた言葉を、一度声に出して読んでみてほしい。すっと言えるか、引っかかるか。その差が、自分の言葉かどうかの目印になる。理屈で正しくても、口が止まるなら、まだ直す余地がある。
Chapter 7 自分と向き合うための、四つの問い
「どんな人生を生きたいか」を、いきなり考えようとすると、たいてい詰まる。問いが大きすぎるからだ。この章では、答えを引き出しやすくする、具体的な問いを紹介する。使えるものから、試してみてほしい。
7-1 「何がしたいか」から入ると、詰まる
自己分析でいちばんよく聞かれるのが、「あなたは何がしたいのですか」だ。そして、いちばん多くの人が詰まるのも、この問いである。
理由は、はっきりしている。この問いは、答えの範囲が広すぎるのだ。世界中のあらゆる選択肢から1つ選べ、と言われているようなもので、手がかりがない。だから、頭の中が真っ白になる。有効なのは、範囲を狭めた問いから入ることだ。過去の記憶や、身近な場面から入ると、答えは出しやすい。そして、小さな答えをいくつも集めると、そこから大きな方向が見えてくる。順番が逆なのだ。
「何がしたいか」で詰まったら、その問いは、いったん置いてほしい。かわりに、これから紹介する小さな問いから始めよう。小さな答えが集まれば、大きな問いには、あとから答えられるようになる。
7-2 過去から掘る問い
1つ目は、過去から掘る問いだ。自分の価値観は、これまでの経験の中に、必ず記録されている。
具体的には、この二つを書き出す。「これまででうれしかったこと」と「これまでで許せなかったこと」。人に感謝されたとき、夢中になれたとき、理不尽だと感じたとき、腹が立ったとき。何でもいい。10個ずつ出せたら十分だ。書き出したら、共通点を探す。「自分は、人が成長する場面に立ち会うのが好きらしい」「ごまかしが、どうしても許せないらしい」。これが、あなたの価値観の輪郭になる。
今週、30分だけとって、この2つを書き出してみてほしい。うれしかったことと、許せなかったこと。判断は後まわしで、まず並べることだ。子どものころの記憶まで、さかのぼってかまわない。
7-3 未来から引く問い
2つ目は、未来から引く問いだ。過去から掘るだけでは、今の延長線上でしか考えられなくなる。だから、逆方向からも当てる。
おすすめは、この問いだ。「80歳の自分が、今の自分に手紙を書くとしたら、何と書くだろう」。あるいは、「人生の最後に、どんな人だったと言われたいか」。少し大げさに感じるかもしれないが、この視点に立つと、日ごろ気にしている細かいことが、驚くほど小さく見える。そして、本当に大事にしたいものだけが残る。未来から見ると、優先順位がはっきりするのだ。
一度、80歳の自分になったつもりで、今の自分へ手紙を書いてみてほしい。5行でいい。そこに出てくる言葉は、あなたの本音に、かなり近い。恥ずかしければ、誰にも見せなくていい。
7-4 逃げたくなる問いほど、効く
3つ目と4つ目は、少し居心地の悪い問いだ。でも、こういう問いほど、深いところに届く。
3つ目は、「もし、お金の心配がまったくないとしたら、何をして過ごすか」。この問いは、条件で選んでいる部分を外してくれる。4つ目は、「自分が絶対にやりたくないことは何か」。じつは、こちらのほうが答えやすい人が多い。やりたくないことがはっきりすると、その反対側に、大事にしたいものが見えてくる。どちらも、考えていると少し落ち着かなくなる。その居心地の悪さこそ、核心に近づいているサインだ。
4つの問いのうち、いちばん答えたくないものを、1つ選んでほしい。逃げたくなる問いほど、あなたの本音が隠れている。落ち着かない気持ちのまま、書いてみることだ。

Chapter 8 書く・寝かせる・書き直す
問いに答えを出したら、次は形にしていく作業だ。ここで大事なのは、一度で完成させようとしないこと。この章では、時間をかけて言葉を育てる進め方を紹介する。急がないことが、そのままコツになる。
8-1 まず、下手でいいから書ききる
言語化でつまずく人の多くは、書き始める前に止まっている。うまく書けそうにないから、手が動かない。
でも、最初から整った文が書ける人は、いない。だから、まず下手でいいので、書ききることを優先してほしい。文法も、順番も、気にしなくていい。「人の成長に関わる仕事がしたい。理由はうまく言えないけど、そういう場面が好きだから」。この程度で十分だ。頭の中にあるものを、いったん全部外に出す。出してしまえば、あとは直すだけになる。直すのは、書くよりずっと簡単だ。
今日、5分だけとって、下手なままの一段落を書いてみてほしい。誰にも見せなくていい。出すことだけを、目的にしよう。書き出しさえ済めば、この作業は、もう始まっている。
8-2 一週間、寝かせる
書き終えたら、すぐに読み返したくなる。でも、そこは我慢してほしい。書いた直後は、正しく判断できないからだ。
書いた直後は、頭が熱くなっている。だから、借りものの言葉でも、良く見えてしまう。逆に、本音の言葉が、幼稚に見えることもある。そこで、1週間ほど寝かせる。ノートを閉じて、忘れる。すると、次に開いたときには、他人の文章のように読める。その距離感で読むと、どこが本音で、どこが飾りかが、はっきり見えてくる。この「寝かせる」工程を入れるだけで、言葉の質は大きく変わる。
書いたら、ノートを閉じて、1週間はそのままにしてほしい。この間に何もしていないように見えて、頭の中では静かに整理が進んでいる。待つことも、この作業の一部だ。
8-3 読み返して、書き直す
1週間後、ノートを開く。ここからが、いちばん大事な作業になる。
読み返しながら、2つのことをしてほしい。1つは、しっくりこない部分に線を引くこと。もう1つは、なぜしっくりこないのかを、1行書き添えることだ。「立派すぎる気がする」「これは親の言葉かもしれない」。理由を書くと、次にどう直せばいいかが見えてくる。そして、線を引いた部分を書き直す。この作業を、何度かくり返す。私がこの方法を勧めるのは、一度で完成させようとする人ほど、途中で行きづまるからだ。
1週間後にノートを開いたら、まず線を引くところから始めてほしい。消すのではなく、線を引く。前の自分の言葉も、記録として残しておこう。変化の過程そのものが、後で読み返す価値を持つ。
8-4 何度でも、変えていい
最後に、いちばん誤解されやすいところを書いておく。一度決めた言葉を、変えてはいけない、と思っている人が多い。
そんなことは、まったくない。むしろ、変わるのが自然だ。新しい人に出会い、新しい経験をすれば、大事にしたいものは変わる。20歳のときの答えと、25歳のときの答えがちがっていても、何の問題もない。大事なのは、そのつど、自分で納得して決め直していることだ。変わらないことが誠実なのではない。自分と向き合い続けることが、誠実なのだ。だから、気楽に書き始めていい。
「これで一生決まる」とは、思わないでほしい。今の自分が納得できれば、それで十分だ。半年後に変わったら、そのときまた書き直せばいい。書き直せる、と知っているだけで、最初の1行は書きやすくなる。
今日のまとめ
憧れは、そのままでは目標にならない。あなたが見ているのは、その人の一部だけだからだ。人ごと真似することはできない。
そして、借りものの目標は、うまくいかない時期に折れる。理由が自分の内側にないからだ。目標の強さとは、理由の強さのことである。
ただし、憧れを捨てる必要はない。「その人の、どこに惹かれたのか」まで掘れば、それはあなたが大事にしたい価値観そのものになる。材料として使えばいい。
決め方は、ぼんやりでいい。20歳前後で細かく決める必要はない。ただし、条件が1つだけある。心から、そう思えるかどうかだ。立派な言葉ほど、いったん疑ってほしい。
そして、進め方は、書く・寝かせる・書き直す。下手でいいから書ききって、1週間寝かせ、線を引いて直す。何度でも変えていい。変わることは、不誠実ではない。
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