27卒就活シリーズ 第2回
就職活動の第一関門といえば、エントリーシート(ES)。
どれだけ魅力的な企業に出会っても、ESが通過しなければその先の選考に進むことはできません。
「頑張った経験はたくさんあるのに、なぜか通らない…」
「何を書けばいいのか分からず、とりあえず形式を埋めてしまった」
こんな悩みを抱えている方も少なくないはずです。
本記事では、キャリアコンサルタントとして学生のES添削を多数行ってきた立場から、
27卒の皆さんに向けて「通過率を高めるESの書き方のポイント」と「やりがちなNG例&改善法」を詳しく解説します。
ESの目的とは?採用担当が見ているポイント
まず大切なのは、ESは“情報の提出書類”ではなく、“あなたの価値観・行動・成長力”を伝えるツール”だということです。
企業はESを通じて、以下のようなポイントを見ています:
• 自社との相性(価値観、志向性)
• 論理的な文章構成と表現力
• 課題への取り組み姿勢、思考の深さ
• 入社後に活躍する可能性(再現性)
つまり、ESでは「どんな経験をしてきたか」よりも、「その経験から何を学び、どう成長してきたか」が評価のカギになります。
通過するESのための5大ポイント
① 結論を先に書く|最初の一文で“読む価値”を伝える
採用担当者は、1枚のESにかける時間が1~2分程度と言われています。
そのため、最初の一文で“何を伝えたいのか”が明確に示されていることが重要です。
❌ NG例:
「私は◯◯サークルに所属し、さまざまな活動を通じて成長してきました。」
✅ 改善例:
「私はサークルのリーダーとして、方向性の異なるメンバーをまとめ、年間目標を達成するための仕組みを作りました。」
→ 結論から入ることで、読む側に“興味”と“理解”を促す効果があります。
② エピソードは“具体的”に書く|抽象表現は避ける
「頑張りました」「努力しました」「協力しました」だけでは、何も伝わりません。
読み手に“場面が思い浮かぶ”ほど具体的に描くことが大切です。
❌ 抽象例:
「部活動では仲間と協力しながら頑張りました。」
✅ 具体例:
「毎週のミーティングで役割分担を明確にし、意見が対立した際は“目的に立ち返る”ことを意識し、全員が納得する運営方針を作りました。」
③ 失敗や困難も隠さず書く|“乗り越える力”が伝わる
企業が知りたいのは、あなたが「順風満帆にうまくやってきた人か」ではなく、
「壁に直面したとき、どのように向き合い、どう成長できるか」です。
失敗や葛藤を丁寧に描写することで、人間らしさと成長力が伝わる魅力的なESになります。
④ 企業に合わせて内容を調整する|“伝えたいこと”より“伝わること”
同じ経験でも、企業の重視する価値観に合わせて「どの部分を強調するか」で印象は大きく変わります。
• 協調性重視の企業 → チームワークや対話力
• 主体性重視の企業 → 自ら行動した場面
→ 「相手視点」を意識した表現の工夫が差を生みます。
⑤ 学びや成長を“次に活かす視点”で締めくくる
エピソードの最後は、「何を学び、それをどう活かしていきたいか」で締めましょう。
この一文で、未来への志向性=“成長の再現性”が伝わります。
❌ 曖昧な締め:
「この経験はとても印象的でした。」
✅ 効果的な締め:
「この経験から“対話する力”の重要性を学び、今後も多様な価値観を尊重する姿勢を大切にしたいと考えています。」
よくあるESのNG例とその改善法【深掘り解説】
❌【NG1】テンプレ通りに書きすぎて個性がない
■ 課題
ネットの例文をなぞっただけでは、あなた“らしさ”が伝わりません。
採用担当は“その人ならではの経験”や“価値観の背景”を見たいのです。
✅ 改善法:具体性+自分視点で語る
✏️ 改善例:
「私が所属していたフリーマーケット企画サークルでは、売り上げよりも“お客様との交流”を大切にする方針を掲げていました。私はイベントの運営リーダーとして、“出店者同士が顔を合わせて話せる場づくり”を提案しました。運営中のトラブルにも直面しましたが、メンバーと対話を重ね、最後には“私たちらしいイベント”を形にできました。」
→ 経験の背景・価値観・行動・葛藤・成長が描かれ、「その人らしさ」が伝わります。
❌【NG2】経験の羅列で、何を伝えたいかが曖昧
■ 課題
経験をいくつも詰め込むと、一貫性のない印象になり、結果として何も伝わらないESになりがちです。
✅ 改善法:「伝えたいこと」を1つに絞って深掘る
🔧 STAR+Learning構成がおすすめ:
• Situation(状況)
• Task(課題)
• Action(行動)
• Result(結果)
• Learning(学び)
✏️ 改善例:
「私は飲食店でのアルバイトで、新人スタッフの離職率が高いという課題に直面しました。そこで、マニュアルの見直しと“気づき共有ノート”の導入を提案し、自主的に実行。結果として半年間で離職率が改善され、店長からも“現場の雰囲気が変わった”と評価をいただきました。この経験から、“課題は人で起きて、人で解決できる”ことを学びました。」
→ 一つのエピソードに絞ることで、説得力と印象が強くなります。
まとめ:ESは“あなたの物語”を伝える自己表現
エントリーシートは、ただ事実を並べる場所ではなく、
「あなたという人間を、あなたの言葉で伝える場」です。
• テンプレではなく、あなた自身の言葉で
• 経験の数より、“ひとつを深く”
• 抽象より、具体
• 成功より、そこに至る過程や意味づけ
この視点を大切にして、自分の過去と丁寧に向き合ってみてください。
“あなたしか書けないES”は、きっと誰かの心に届きます。
次回は、初めての面接でも安心して挑める「準備の仕方」についてお届けします。