就活を続けいくといつの間には「内定をもらうこと」がゴールになっている学生がおられます。ES提出後あたりから、なかなかESが通らない、一次面接は受けられたものの次に進まないなど、就活が思うように進まない現状での不安や焦りが背景にあるようです。
そのような状況に立つ学生の心情を察することはできますが、まず考え直して欲しいことは、内定は「もらうもの」ではなく「獲得するもの」だという意識を持つことです。つまり、与えてもらうものではなく、自分の力で得る姿勢が大切です。実際そういった姿勢は採用のプロはしっかりチェックしているものです。
そしてもう一つ、あなたの進路先は相手が決めるのではなく、自分で選択でき自分で決めるものだということです。就活の意思決定者はあなた自身なのです。つまり、主体性が就活では試されると捉えることも大切だと思うのです。
昨今ビジネスの世界では自律自走できる人材が求められています。ブレない基準を持ち、自分で考え、決めて、行動できる人材像です。ひと言で「考動する人」と表現することもあります。
自分で決めるために必要になるのが、就活におけるあなた自身の軸です。活動における判断基準と考えてもいいでしょう。そのベースとなるが、Self-awareness(自己認識)と人生観・仕事観です。
一般的に就活では、皆さん「自己分析」に取り組まれます。しかしその内容を見聞きしますと、非常に薄っぺらで質量ともに残念なものである学生が多いのです。正直いってこれで志望企業から「ぜひ我が社に来て欲しい」と言わしめることは難しいと思われるのです。
コロナ禍から面接の質問で話題に挙がっている「ガクチカ」にしても、質問の意図をわかっていないのか、少しピンボケした回答が返ってくるケースも珍しくないのです。
面接では「あなたが人生で達成したいことは何ですか?」も非常に定番です。この質問の回答で、その学生がどれくらい自己分析に取り組んだのかその資質が伺えるのです。
まだ20代そこそこで、人生経験だって浅いのに「人生で達成したいこと」と聞かれても・・・と思われるかも知れません。勿論、質問した企業側も分かっていることで、それでも訊くにはそれなりの意図があるのです。
20代学生の今の段階で、これから長い自分の人生をどのように捉えているか、ざっくりでも構わないのでどんな人物になりたいのか、社会や関わる人々にどのような影響を与えたいのか、そのようなことを自分と向き合って考えた中で、人生の長い時間を過ごすことになる職業人としてどんな成果を創りたいのか、その文脈での志望動機との整合性などが確認できるのです。
この時期に内定がまだない、内定の獲得見込みもない学生の方は、今一度自分が行った自己分析を見直してみること必要です。内容に過不足があるのかについては、自己チェックではなく大学の就職課やキャリアセンターを活用されることをお勧めします。
もう一つこの時期に苦戦している学生に多く見られるが、独りで就活をしていることです。自分の進路のことなので、自分でおこなうことではあるのですが、上手く進めている学生は、周りを上手に活用しています。
例えば、上述したSelf-awareness視点で見ると、自分のことを自分で理解する内的自己認識だけではなく、他者が自分をどう見ているかを理解する外的自己認識を高めるために、就活中の友人と他己分析を相互におこなっていますし、面接での体験を共有し合いながら、うまくいかなかったことの問題抽出とその対策などを仲間内でおこなっています。また、必要に応じて大学OBに協力仰ぎ、キャリアセンターなども積極的に活用しています。外から見ていても、ポジティブかつアクティブに就活を進めているのです。
独りで取り組む学生の多くは、インターネットにある情報と数冊の参考書を基に活動を進めていますので、参照した情報通りにことが運ばない状況に直面すると情報と現実のギャップで自信を喪失してしまうこともあるのです。就活がうまくいかない状況が続くことで、自己効力感や自己肯定感が下げ止まりしてしまうこともあるのです。
就活は基本、自分の進路決定ですので自分で進んでいく活動ではありますが、それをどんな環境で取り組むのかを決めることも自分でできるのです。就活は決して孤独な行進ではありません。自分より少しうまく進んでいる人からアドバイスをもらうことから始めてもいいのです。
社会に出ると大人として一人ひとりが多くの責任を背負うことになりますが、ビジネスの世界ではチームワークが重視されます。就活を通して、コミュ力やチームワークの疑似的体験学習をするつもりで周りの友人や大人と関わり合ってみることも大切です。